佐藤けんじのつれづれなるままに

2009/04/13(月)22:21

定額給付金もらいます

定額給付金の通知がやってきた。導入決定までとにかく悪者であった。知恵がない、もっと困っている人に、ばらまきだという点が指摘であった。知恵がないというのはこれを先行してクローズアップさせてしまい、中期、長期の環境対策、イノベーション施策、教育投資の側面を議論しなかったことによる。困っている人では派遣村のクローズアップで製造業日雇い派遣の是非だけをみせてしまった。こういう議論の建て方は人々を大きくミスリードし、不安の拡散につなげるモノとなる。本来議論すべき内容をパッシングしている。 定額給付金は減税対象の所得把握の時間と事務処理コストを勘案すれば、所得税減税より即時性はある。ばらまき指摘は高額所得者から無所得者までを広範にカバーする包括性はむしろ是認されるものである。ただ所得分配の公正という観点から低額所得者への傾斜配分ができないという難点がある。 中期長期の目標である環境対策、新技術開発、教育投資であっても所得再分配からいえば実は同じ難点を内包してはいるのだ。結局誰の所得につながるかを考えればである。施策はこの資源配分と所得分配の変化を必ず引き起こす、コインに裏表があり、絶えず「誰に」をもって是非がある。観点をごちゃごちゃに議論すればなにもできない。それでも中長期目標にはその外部効果の大きさ(もちろん把握不能な側面込みである)は期待感であり、無駄になる可能性の不確実さがあっても、人々は否認しにくい性質を持つ。その中身の個別施策で初めて是非が分かれるのである。 不況の短期課題としてクローズアップされた日雇い派遣は、製造業を派遣対象としたことへの是非が問われた。これはなくせばまず済むが(派遣会社はさておき)、日雇いの仕事そのものの是非を問うても始まらない。一日単位の仕事、これは必ずある。むしろこのような雇用形態が企業が内部に留め置く熟練と日々、協業するメンバーによる改善の喪失につながったことにより大きなマイナスがあり、企業の中長期課題として生じているのである。これは好況期では気がつかなかった「熟練」と「改善」の喪失という事態の発生を企業に鮮明な課題として突きつけている。 好況期にはいつも大概のことは気にとめずにやり過ごす。でも不況期には実はしなければならなかった取り組みがあったことを噴出させてしまう。トルストイだったけ幸福な家庭は一様に見えるが、不幸な家庭は様々であると、 課題が噴出する、今がそのとき。懸命に守り、育てるものを見極める時期。定額給付金はしっかりもらいます。いつのまにか消えると思いますけど。

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