大晦日/「NoTV?」
通し。とはいうものの、営業時間が短くて、労働時間は昨日と一緒。本当にヒマ。売りものの雑誌を片っぱしから読んでやりすごす。なんだか、病院の待合室にいるような気分になった。昼食。小法師、味玉味噌ラーメン。横浜西口。すき家、まぐろたたき丼。帰宅。のんびりしたいけれども、HDD残量を確保しなければならない。テレビ、あれこれ。◆TBS「あの戦争は何だったのか 日米開戦と東条英機」。主演、ビートたけし。演出、鴨下信一。クリスマスイブのゴールデンタイムに、こんな硬派な番組をもってきたTBSに拍手。このような番組こそが、TBSの本領だという気がする。4時間半、前半がドキュメンタリーで、後半がドラマという構成。ドキュメンタリー部分で本物の東條英機の映像が流れるが、これがもう、たけしにしか見えないので驚いた。写真ではわからなかったが、立ち居ふるまいまでもがじつに似ている。あまりに似ているので可笑しいくらい。よくぞ、このキャスティングを発見したものだ。ビートたけしという俳優はなにをやってもビートたけしなので、東条英機を演じているというよりも、東条英機に扮しているといったほうがおそらく正しい。評判の良かった「点と線」などは途中で観るのをやめてしまったが、この東条英機の扮装はみていて飽きない。メロンをただ食べているだけで、東条英機という人物の滑稽さと悲哀を体現してしまうような俳優が、はたして、ビートたけし以外にいるだろうか。特殊な人物の役は特殊な俳優にしか表現できない。そのことは、昭和天皇に扮する野村萬斎にも感じた。ドキュメンタリー部分は、安住紳一郎と鳥越俊太郎が進行していたが、たけしは、ドラマだけでなく、ここに出演しても良かったと思う。◆11月放送、日本テレビ“BIG3”特番3連発の最後、「ビートたけしの今まで見たことないテレビ」。完全に、今まで見たことあるテレビだったけれども、今田耕司をサブ司会に置いたことがかろうじて救いになっていた。たけし的なものを再現するはずが、ダチョウ倶楽部的なものになってしまった困った例。どんなVTRにももっともらしくコメントしてみせる宮崎哲弥。「ほんとに55周年にふさわしい番組だと思いますね。」「今、テレビってね、特にゴールデンタイムのテレビって、がちがちに作り込んで、精密すぎるんですよ。これがね、テレビのエネルギー!」◆TBS「NoTV?」。「TV Bros.」にも内容が書いてなかったし、今朝の新聞でたけしが出ることを知ったのだが、これは観逃したひとがけっこういるんじゃないかな。一応、録画したものの、たいして期待せずに観始めたのだが、これがすごく面白かった。まさかのツービートで90分生放送! これだけでも興奮するに充分なのだが、内容もそれに見合うレベル。今年のニュースをかつての「たけしメモ」的な斬り口でふり返っていくのだが、キヨシが横にいることでボケとツッコミが反転する。キヨシのズレた反応に、たけしが喜々として突っ込む。そこへさらに、たけし軍団らと思しき面々の声で、カメラのフレームの外から野次が飛んでくるのは新機軸だ。ツッコミに厚みが増し、非常にエキサイティングなムード。東国原英夫、田中義剛が、すりガラスに囲まれて答えるインタビュー。本当は浅草キッドがそれぞれ扮していて、ウソばっかり、ばんばんひどいことを言っていて傑作。さすがにあとから本人も出てくるのだが、たけしでなければまったくシャレにならないような、キツいジョークにつきあうふたりもなかなかだ。漫☆画太郎が描く「流しの立ちショウベン」もそうとうに馬鹿馬鹿しくて爆笑。最後には、島田洋七も乱入。残り時間がフリートークで、ほとんど、洋七の漫談のようになってしまったのだが、まぁ、これはサービスみたいなもの。日テレの特番のようにかつてのたけし的なものを再現するものではなく、今年最後になってひさしぶりに、現在進行形でのたけし的な番組を観た気になれた。年越しは、TBSラジオの宇多丸の番組を聴きながら。