2004~2013

2005/05/09(月)00:42

横浜三越 閉店の日

街(59)

休日。 「やじうまプラス」を観たのち、昼まで睡眠。 午後、横浜へ。 三越、本日で閉店につき、最期を見届けに。 特に横浜三越に思い入れがあるわけではないが、街の変化はやはり淋しいものがある。 ましてやこのあとに入るのがヨドバシカメラだとなると、街の品格に関わる問題だ。 岡田屋モアーズの地下はパチンコ屋になっちゃったし、横浜駅周辺はもう、なし崩し的に安っぽい薄っぺらなヤンキー文化に支配されていくのではないか。町田辺りのほうがまだきちんとしているような気がする。 ダイヤモンド地下街を通ってゆく。 入口、さすがに混雑。入場制限をしているようで、係員がお客を並ばせている。とりあえず、脇の階段から地上へ。 三越正面、シンボルのライオン像が鎮座。閉店に伴い、子供はまたがって写真を撮ることが許されているが、僕は今年で三十歳。さすがにまたがる勇気はなく、ライオンだけを撮影。 地下入口は混んでいたが、1階からはすんなり入場。 閉店バーゲン。上階数フロアを占めていた大塚家具はひと足先に撤退したようで、そのフロアも含めて全館が三越のバーゲン。 バーゲンではあるのだけれども、僕が欲しいものはちょっと見当たらない。 2階、バーゲンとは関係のないユニクロでTシャツを購入。 階段には、買い物に興味がないちびっ子たちがたむろ。 最上階、8階へ。催事場。綿菓子などの縁日や、幼児が遊ぶようなアスレチック器具も。こうゆうのこそデパートらしい光景だと思える。子供の頃にデパートに連れてってもらうなんてけっこうなイベントだもの。 デパートってのはやはり家族のものだ。若い客を取り込むのに失敗したからだなんて意見もあるが、デパートなんて元々、若者の来る場所だったのだろうか。デパートには大人のほうがよく似合う。 若者が大人であろうとする時代と、大人が若者であろうとする時代の差。世の中の若者化(または幼児化)がデパートを潰しているに違いない。自分も含めて反省せねば。 縁日などは、本来なら屋上にあるべきだと思うが、屋上は閉鎖中。淋しい限り。デパートの屋上もまたわくわくするものがある。建物が低かった時代、というだけではない何かが。 再び、地階へ。僕は下りエスカレーターに乗っていたのだが、上りエスカレーターが止まる事故が発生。何も最終日にと思ったが、まったく騒ぎには至らず復旧。良かった良かった。 地下2階。神田のカレー屋、エチオピアの支店があるなんて今日の今日までまったく知らなかったよ。知ってれば食べに来たのに。今日のような喧騒のなかでは食べる気も起きず。申し訳ない。 地下1階へ。閉店時間までまだ間があるので一旦退出。相変わらず入場制限をしているが、他の出入口は空いている。そっちを案内すれば良いのに。 すき屋、ハーブチーズ牛丼。 ダイヤモンド地下街。AV Roadでひと休み。アイスコーヒー。 再び、三越。 17時。閉店1時間前。 最後の1時間の空気を味わおうと。 ライオン像の前には、そろそろ報道陣の姿が。 しかし、1時間はけっこう長い。地下から最上階まで行ったり来たりするが、それでも間が保たなくてトイレに入ったり。なんとも情けない。 そうこうしているうちに30分前。買い物もしないのに各フロアを念入りに物色。 8階、縁日はひと足早く終了。下の階では、マーフィー岡田が実演販売を。   10分前。従業員の皆さんの表情が変わってきたように見える。 10分前だがまだまだお客はごった返している。 18時。ついに閉店時刻。 閉店時刻だからってすぐ閉められるわけではない。お客を退出させるまでに時間がかかる。 そのロスタイムを味わうべく、エスカレーターと階段を行き来しつつ館内に留まり続ける。こうゆうときでなければかなり不審な行動だ。 しかし、なかなか閉まらない。ちっとも客が帰ろうとしない。 やはり、みんな名残惜しいのだろうか、というと全然そんなことはなく、普通に買い物を続けている。 ひょっとすると、閉店時刻だと気が付いてないのではないか。いつもは20時閉店なので。 18時10分を過ぎてもまるで客が減る気配がない。ちょっと1階の様子を見に行く。 エスカレーターを降りたらそこには従業員の皆さんが並んでいて、ありがとうございますと一斉におじぎを。 それが正面出入口まで続いていて、あれよあれよという間に外へ。 外には大勢のギャラリー。警備員も。   いやいや、ちょっと様子を見たかっただけで、まだ退出する気はなかったのに。 1階、他の入り口へ。さすがにシャッターが降りている。 地下へ。地下正面入口はまだ開いていた。すんなり再入場。危ない危ない。 しかし、外と違って、館内はますます閉店の気配なし。18時半だというのにまだ上りエスカレーターが動いているとはどういうわけか。 地下食料品売り場はさらに活気づいているかのよう。閉店30分を過ぎて半額になったりして。 僕も勢いで、3個300円のパンを買う。ようやく三越の買い物袋を持つことができた。 あちらこちらで、従業員とその友だちと思しきお客とが一緒に記念撮影をしている光景を何度か目にする。 予想していたようなしんみりした空気というのは意外となく、ま、お客が居なくなってからしんみりするのだろうけど、むしろ明るく元気にすら思えたのだった。 いつまでも居残ってても迷惑だろうし、いい加減、外へ。2度目のお見送り。 正面入口前、大混雑。 「芸能人? 芸能人?」と、まるで事情がわかっていない絵に描いたような頭の悪いカップルも。 19時過ぎ、閉店時刻を1時間過ぎてようやく閉店セレモニー。店長の挨拶。 いよいよ、31年間の歴史に幕を閉じる。ここで気が付いたのだが、僕とほぼ同世代だったのだな。そう思うとまた色々な思いが産まれるというものだ。 ついにシャッターが降りてゆく。 シャッターが降りれば観衆は散ってゆく。 店長ほか重役風の皆さん、脇の扉から中へ。自分たちのときに閉店になるのは一体どんな気持ちだろうか。 一部始終を静観していたライオン像。ヨドバシカメラになってもいいけど、このライオン像だけでも残すわけにはいかないか。かつて三越があった証拠として。 これで全部終わり。さぁ帰るか、とも思ったが、念のため地下へ。我ながらしつこい。 案の定、地下入口はまだ開いていた。店内に残ったわずかなお客にお帰りいただくために。 本当の閉店はこれからだ。最後の客をみんなで見届けようじゃないか、と思っていたかどうかはともかく、われわれ物好きな野次馬が若干名。従業員さんに、セレモニーはありません、と言われながら。 ここまでくるとなんの感傷もない。 原因不明の使命感に駆られながら、最後のお客さんを見送り、従業員がカートや机を片付けるのを見届け、そして最後のシャッターが閉まりきる瞬間までを共有。     本当の最期というものは意外とひっそりしたもので、それ故に、余計な感情がすべて嘘臭く感じるような。そんな感触を得つつ、その場を去る。 疲労感。すべての意味がわかるのはもっと先の話。 タワーレコード。「菊地成孔手帳」、入手。 帰宅。 テレビ少し。 ◆「お笑い登龍門」。麒麟、「人は口ゲンカで何歳年下に勝てるのか?」。審判、山本小鉄。これ、「平成口ゲンカ王」でしょう。 ◆「徹子の部屋」山上兄弟。アシスタントがネコ耳のメイドである必然性は、手品の起源とけして無関係ではない気がする。兄のほうがアニメの声優をやってみたいと言っているのがやや心配。 ◆「音楽・夢くらぶ」、coba、大西ユカリと新世界。大西ユカリは良くも悪くも着実に和田アキ子に近づいているように見える。 山藤章二・吉川潮「芸人お好み弁当」、読了。芸人についての本は読んでて楽しくて楽しくて。 吉川先生、「マライア・キャリーの泣き節がいい。」と意外なものも評価。

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