空のむかしばなし

2008/04/19(土)06:38

どこまでも果てしなくつづく『小径(こみち)』

  細い道です。もちろん幾多の曲折も、時にけわしい岨道(そばみち)もあって、しかしどこまでもつづく道です。昔は、けものみちだったかも知れません、けものたち、そして人間たちの足が、永い時をかけて踏み分け、踏みかためた道、それが径(こみち)です。けたたましい車の、まして戦車などの通る道ではないのです。私たちもまたその道を歩みつぎます。歩んで、先人の、同時代の人びとの、すぐれた仕事に出会いたい。生きる知恵と勇気を分かち与えられ、狭いとらわれから、みずからのたましいを解き放ちたい。その仕事にたしかな形を与えて、読者、あなたに手渡したい。言うまでもなく、人間の事業は、生きつぎ生きつぎする人間の総体によって、果てることなくになわれていきます。人間が、人間を侵すあらゆるものとたたかい、それにうちかって人間として生きつづけていく。それが、人間の事業です。時と所をへだてた人と人を結び、心と心を通わせる書物。それが書かれ、読まれるのも、この悠久の事業の一部、欠くことのできないいとなみでしょう。この道であなたに出会うために、ともによりよく生きるために、いささかなりともはたらくことができるならば、こんなにありがたいことはありません。末永いお導きとご支援をいただけますよう、深く願ってやみません。1980年8月15日     径(こみち)書房  ペイさんへの道 ペイさんの墓

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