無題 1昨夜の悪夢が夢のようだった、、あのオソロシイ光景が、再びフラッシュバックした。思わず、下げていた頭を手で支えるようにして宙を見た。白い無機質な天井がみえた。白みかけた空は、紛れも無く朝で、、窓から外を見下ろした、川沿いに散歩している老人が見える。川向こうには田んぼが広がり、山あいには工場が見えた。まちがいなく、私は病院にいて、昨夜の出来事は現実だった。自分の靴についた血をみて、背中が寒くなるのを感じた。重厚なメタリックのドアを開けると、、薄暗く間接照明が壁を照らしていた。名前を呼んでも、ケイの返事はない。ただならぬ様子を感じて、靴のまま、フローリングへ上がり見回した。身体を震わせ、幼虫のように身を固くしたケイがいた。彼は泣いていた、、か細い身体には、おびただしい傷痕があり、致命傷に近い、、手首からは、、赤い液体がしたたっている、、、 ケイ。どうしたのよぉ、ケイ。。抱き寄せて肩を抱いた、、 ケイは頭を、あたしの肩にもたせかけ、泣いていた、、かれの呼吸を確認しながら、、ケイ。 大丈夫だから、、 あたしは、自分に言い聞かせながら、、ケイの手首にタオルを巻いた。 上着を肩からかけ、ケイと階段を一段一段下りた。今にも飛び降りそうな恐怖におそわれながら、急いだ。彼を助手席に乗せ、車のキーをまわした。 久しぶりに来た隣町はすっかり変わっていた。 緊急専門外来は、尋常じゃない事態を察知して、、彼を治療室へ運んだ。 看護婦や医者の顔を見た途端、景色が回った、、意識がとんだ。 目覚めると、ベットに寝かされていた、、起き上がると、心配そうに看護婦が声。お連れの方、落ち着いてますから、ご安心ください。あなたも、少し休まれてくださいね。 コトバが出ず、頷いた。 渇いた喉をどうにかしたくて、待合室の自販コーナーに向かう、非常口と示した緑色のランプが床に映って、、変な感じだ。缶コーヒーを飲みながら、煙草に火をつけた・・煙とため息が同時に、吐き出された。 血まみれのケイの震えた姿が脳裏に焼きついていた。 少しばかり、心配していたことが現実という形になって具体化した。 無力さと、重圧感と、虚無感の狭間で、なにも、考えられなかった。 ただ、ねむかった。 |