無題1-2程よくきいた冷房が心地よかった。 冷たく冷えたドンペリのロゼを口移しされながら、眼下に広がる非日常な景色を伏せ目がちに見下ろした。高層32階から見下ろす夜景は綺麗だ。彼のキスを首筋に受け止めながら腕をからめ、耳元で言った。 「見えるかも・・そこのビルから・・」「見えないさ、それに、見えてもかまわないだろ・・」彼の目が笑う。「そうね・・」 頬にキスしながら都心の高速道路を見下ろした。たくさんの車が行き交う。 都会の夜は眠らない。この街のどこかに、ケイがいるのだと、思った。 頭のいい彼だから、大金を握り締め今夜も街に繰り出しているだろう。 どうにもならないことには首は突っ込みたくない。たとえ、逃げだとしても、卑怯者で構わない。 きっと、そう思ってしまった時点から、ケイは意味の無い存在でしかなくなっている。 そうなっていなければ、考えかけて、ドンペリを口に含んだ。私は向きを変え、彼の唇を押し開き、移した。柔らかい唇の感触が心地よかった。 「最高だね。。」彼はやさしく笑った。私も笑った。 夜の街に浮ぶ無数の光は、キレイだけど怖いようにも思えた。遠くの景色は漆黒で別世界のよう、、何が本当で嘘なんかなんて、関係ない。 言い訳ばかりしてる自分と自問自答しながらも、今を堪能していた。夜はまだ、これからだと、、思った。 |