国立天文台は21日、米ハワイ島のすばる望遠鏡の「視力」を最大10倍に高める新システムを開発したと発表した。星々の光は、地上に届くまでに大気のゆらぎの影響を受けてゆがんで見える。同天文台は、レーザー光線で夜空に約10等級の人工星を光らせ、この星の観測データを基にゆがみを補正し、鮮明な画像が得られるようになった。
人工星は、レーザー装置で上空90キロ付近に発生させ、この星の光が大気で揺らぐ様子をセンサーで計測する。望遠鏡本体の鏡が集めた光は観測装置に導かれるが、新システムでは、その途中に反射鏡を組み入れた。この鏡は188個に分割され、計測データを基に表面を瞬時に微妙に変形させ、ゆがみを相殺する。
現在は赤外線観測にしか対応しないが、補正装置を使わない場合に比べて解像度は10倍向上し、望遠鏡の設計限界に近い成果が得られたという。
研究チームの家正則教授は「これまではすばる望遠鏡の本来の性能を生かし切れていなかった。これで、赤外線なら米ハッブル宇宙望遠鏡の3.4倍という高い解像度になる。宇宙誕生初期の銀河の詳しい観測や太陽系外の惑星の発見に威力を発揮する」と説明している。
以上、Yahoo!ニュースより