声優養成書店のブログ

《 母音の無声化例題 》

「ピカピカ光る服を着た人が、
つかれきった視線をおとして薬を口に含むと、
力なく腰掛けて描きかけの菊を捨てています」



「ピカピカ ヒカル フク ヲ キタヒト ガ、
ツカレキッタ シセン ヲ オトシテ クスリ ヲ クチ ニ フクムト、
チカラ ナク コシカケテ カキカケノ キク ヲ ステテイマス」



※のどに軽く手をあてながら読んでみましょう。

無声化する音には、サイドにラインがついています。


日本語 (共通語) における
「母音の無声化」の「草」を
ローマ字で書くと「kusa」ですね。
ですが、東京方言、ひいては
共通語では「kɯ」の「u」が口の構えのみで、
実際には声帯の振動を伴っていないのです。
つまり、ほとんど「ksa」と発音されていると
言ってもいいでしょう。
「～です」、「～ます」も、実際には「～des」、
「～mas」と発音されています。

この無声化は、ウ列、イ列の母音に
先立つ無声子音が頭高型（あたまだかがた）以外の
アクセントの語頭にあり、
その後に無声子音が続くときに発生しやすいと言えます。

「岸」の「き」、「櫛」の「く」は
ともに無声化します。
では両者を混同することなく区別できるのは
何故かと言えば、「口の構え」です。

普通「き」は[k]＋[i]、「く」は[k]＋[u]と
言っていますが、
実はここに省かれているのが口の構えです。

「き」：【[k]という調音法＋[i]の口の構え＋声帯の振動】
から声帯の振動を無くしたもの

「く」：【[k]という調音法＋[ɯ]の口の構え＋声帯の振動】
から声帯の振動を無くしたものは区別がつくのです。

「ice cream」は２音節なのに「アイスクリーム」は
７拍だと言われることがありますが、
共通語ではほぼ「aiskri：mu」と発音されており、
「aisukuriimu」などと発音されてはいません。
国語辞典はいちいち注記していないので、
日本語を学習する外国人が「草です」を
「kusadesu」と発音すると、
東京人の「ksades」とは違った
発音になってしまうのはしかたのないことでしょう。

《無声音の発声の説明》

無声化とは言語を発する際、
「声帯が振動しない」音のことです。
では、声帯が振動しているかどうかを
確かめてみましょう。



喉仏に軽く手のひらをあて、
【あー】と、声を出してみてください。

喉が小さく振動しているのが分かりますか
これが、有声音です。

次は、喉に手のひらをあてたまま、
内緒話をするみたいに
【しー】といってみてください。
喉は振動してませんよね　
それこそが、「無声音」なんです。

今度は、同じ【し～】でも、
普通の発声練習の時みたいに【しー】と、
言ってみてください。
今度は喉が振動しましたね

《無声音というものについての説明》

このように、
普通は喉が振動する＝有性音のはずの音が
喉が振動しない無声音になる事を、
母音の「無性化」と言うのです。
次に、日本語の発音について、
簡単に学びましょう。

4 続く