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カテゴリ:空蝉
今朝、あっと耳が留まった。
この夏初めての つくつくぼうし の声。 (ああ、もう夏が往こうとしてるんだ) 急に 胸の中に ひとひらの雲が陰を落としたような、名状しがたい寂しさに捉われた。 時が過ぎていくことなど、いつだって当たり前のことで、 季節の変わり目には、決まって何かのサインがあるのに、 つくつくぼうし の声だけが、どうして私をこう得体の知れない寂しさに誘うのだろう? (ああ、そうか。 私はきっと、つくつくぼうし の鳴く頃に死ぬんだな) 私は体のどこも悪くはないし、年寄りでもない。 まだ死が迫っている気もしない。 ただ、そう考えると、妙に納得できて、妙に落ち着くのだ。 寂しさの中に落ち着くことができる。 その寂しさを、私は、どう形容したらいいのだろう? けっして嫌いな寂しさじゃない。 懐かしくて、胸の奥がじんわり熱くなって、 愛しさと、少しの後悔と、ちょっぴりの悲しみと、静かな満ちたりたような感覚が、 全部一つに融けたような、そんな寂しさ。 今年もまた、つくつくぼうし の季節が来たんだな。 (夏よ、まだ往かないで。 もう少し、あともう少しだけ) 未練がましい私は、毎年そう思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.12.19 15:12:35
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