アンノウン (2006/アメリカ)
男が目を覚ますと、自分を含めて5人の男が倉庫に閉じ込められていた。なぜか5人全員に記憶がない。自分は誰なのか、ここはどこで、なぜ閉じ込められているのか・・・。そこへ外から電話があり、2人は人質で3人は誘拐犯であることがわかった。加えて、電話の主はもうすぐ戻り、電話の主が倉庫に戻ると人質が殺されることも。誰が人質で誰が誘拐犯かを探りあいながら、5人は倉庫からの脱出を試みる。閉じ込められた5人には敵味方が明確にあり、記憶も徐々に戻ってくるという疑心暗鬼を煽る設定はとても面白い。5人の人間関係が次第に見えてくる流れもいいし、オチのアイデアも悪くない。しかし、残念ながら話の組み立て方や見せ方が悪い。気になるのは次の2点。1つ目は、電話の主が戻ったら5人がどうなってしまうのかが明確に示されていない点。人質側だと確実に殺されると観客に思わせるイベントや情報が少なすぎる。なので、画面の中で焦りまくっている5人ほど、観客は緊張感を持てない。もう1つは、記憶を取り戻すペースが早すぎる点。結構早い段階から記憶が次々と戻ってくるので、周りの状況や思い出した記憶の断片から、観客がああでもないこうでもないと考えるヒマがない。サスペンス映画にとって、この考えるヒマ=”タメ”はけっこう重要だったりする。序盤は傑作になりそうな予感があっただけに厳しい評になったが、平均点以上の楽しめるサスペンス映画であることは確か。本作は傑作に一歩及ばなかったが、密室劇には傑作が多い。「フォンブース」「十二人の怒れる男」「CUBE」「裏窓」などなど。マイナーなところでは「レッサー・エヴィル」がおすすめ。■アンノウンおすすめ度(3点満点):