おすすめ和英辞書
英作文をする際に欠かせない?(あった方がいい)のが和英辞書。しかし、多くの和英辞書は、基本的には英和辞典をひっくり返しただけの構成になっている。結局英作文をする際は、いったん和英辞典で調べた後、そこに出てきたいくつかの単語候補を一つひとつ英和辞典あるいは英英辞典に戻って調べなければならない。英和辞典で語法や文型を調べ、正しい英文を作る必要がある。しかし、それでもネイティブからすると不自然な英語が出来上がったり、単語の選択を誤っていたりすることが少なくない。良い和英辞典がないか書店で調べたり、実際に購入したりを繰り返し、その上で使用した感想であるが、現時点ではウィズダム和英の右に出る辞書はない。ということで、うちの本棚でもこのウィズダム和英辞典を、棚の一番右隅に置いてある。そうすれば、右に出てく・・・ウィズダム和英辞典の優れたところは、ディスコースマーカーが採用されているところである。表紙の裏にディスコースマーカー一覧が載っており、本文の中でも所々に採用されている。たとえば、「投資する」という単語を引くと、そこには英作文の例文としてBased on the reasons statet above, I conclude thatというディスコースが載っており、「これは上で述べた理由に基づき、私は...と結論に持っていくディスコースマーカー」という説明がなされている。なお、ディスコースマーカーとは、論旨の転換点などを示す記号で、分かりやすい例はこんな感じ。→ココ この和英の素晴らしい点の2つめは、頻度チャートである。たとえば、「思う」を引くと、think, feel, expect, suppose, imagin, guess の使用頻度が棒グラフで表現されている。また、それぞれの意味の違いを「ワードチョイス」というコーナーでこと細かく説明されている。同様に「言う」を調べれば、日本人が間違えやすい、say, speak, tell, talk の違いなどもしっかり説明されている。 「出発する」を引けば、leave と start のニュアンスの違いも説明されており、非常に分かりやすい。 この辞書の3つめの長所は、随所に設けられた「翻訳のこころ」であろう。「なめとこ山の熊」などの日本の古典を訳すときの心構えやルールが、所々に設けられており、日本語の固有名詞の表現法などにも触れている。4つめの特徴は「英和辞書いらず」ということではないだろうか。冒頭でも書いたように、和英で書いた英作文は「これ、和英辞書使ったな」と相手に分かってしまうことが多い。しかし、このウィズダム和英辞典は、ほぼこれ1冊で英作文が可能。否定疑問文や付加疑問文での「はい」と「いいえ」の答え方に関しても、「はい」の欄を引けばきちんと説明がなされている。 付録も優れている。「アカデミックライティング入門」では、英語評論文の書き方のルールが載っており、英語独自の文章構成の特徴が綴られている。パラグラフリーディングという手法がなぜ可能なのか、この辞書を読めばきちんと分かるようになっている。もちろん、こうしたことは既に多くの学参にも書かれており、ディスコースマーカーについてもZ会はじめ多くの参考書に記載されている。しかし、それに則って英作文をするという視点は、他の参考書ではあまり見られないこの辞書の大きな特長であろう。 最後に私が最も気に入ったのは、付録の基本文型表である。たとえば、adviceであれば、SVの後ろにどんな形が来るのか、すべてパターン化し、一覧表にしてある。この文型表だけで80ページほど割かれており、語法問題を解く際や英作文をする際に重宝するに違いない。とにかく、学習用和英辞典としては、「来るところまで来た」という感じの1冊である。なお編集はジーニアスの小西氏。語法には滅法強い方なので信頼できる。あとついでに、表紙の高級感も良い(笑) 私は、塾の業務日誌を偶数日は英語で書いているのだが、最近はこの和英辞典を使いながら英作文をするのが趣味になっている。なかなか良い辞書に巡り会えたと思う。