ひと塾リベラダイアリー

2008/02/20(水)15:53

セルフ 2本来の自分を取り戻す

自分を育てる(2)

  セルフ2 本来の自分を取り戻す 学びをサポートするというのはどういう事なのかと考えます。 昔、ちいさな私塾をやっていたことがありました。そして、私塾をやっている仲間のグループでよく話し合ったことなのですは 「教え込むのはやめよう」 「子どもの内発的な学びの芽を育てよう」 「教えないで、自分で発見させる、気づきを促すために何が出来るのか」 といったようなことです。 上から、外から、教え込む教育(正に、強いて育てると読めてしまう)ではなく、 子ども自身のうちからわき起こる、学びの意欲、疑問の芽、好奇心を育てたいと考えたのだけれど、数十年がたって、このごろやっとその辺の、こころのメカニズムが読めてきたような気がするのです。私が考えてきたことを、偶然検証して、整理してくれた・・・そんな思いなのですけれど。 それは、たまたまセミナーでご一緒した、日本のスポーツ・メンタル・コーチの草分けである、白石豊福島大学教授のおかげで知ることになった、ティモシー・ガルウェイのインナー・ゲームでした。白石先生は日本のオリンピック選手達のメンタル・コーチをされている方です    テニスのレッスンプロであったガルウェイが、がんばって、何とかうまくしてやろうとして、教え込めば教え込むほど、選手は硬くなって、上手にプレーが出来なくなってしまうという経験をした、ガルウェイは、ある時、うるさく指示したり命令したりすることをやめてみたのです。これは、多くのコーチや教師にとってそうであるように、長いこと、教え込み型、指示命令型のコーチをしてきた彼にとっては、大変に苦痛なことでした。でも、指示・命令・激励・良くも悪くもの評価をやめてみると、選手は自分自身の本来の力を発揮して、すばらしい上達をしたのです。 上の表に挙げたように、外からの教え込み・プレッシャーが、選手(生徒)自信のセルフ・プレッシャーとなって強く働き、本来の、のびのびとした無心な自分セルフ2を押しつぶしてしまっていたのです。 子どもが、無心に、大変な集中力で遊び、学ぶそんなこころの状態がセルフ2で、この集中の様子をゾーンに入ると言います。世界のトップアスリート達が大きな試合ですばらしい成績を上げるとき、ほとんどがこの状態にあると言われています。トップアスリートにとって結果的に良い成績が挙げられるかどうかは、90%以上はメンタルな要素・ゾーンに入って最高の集中を手に入れられるかにかかっているのだと言われます。  スポーツのコーチのこの経験は、教育現場でも、様々な職場でも、家庭の中でも有効な、とても大切な人間の心のありようを示唆してくれると思います。 会社のマネージメントでも、教師が子どもに対するときにも、親が子どもに対するときも、相手の本来の自己セルフ2を信頼するのでなく、とかく高いところから指示命令を発しがちなのです。でも、実は、がんばって教え込み、叱咤激励し、評価し、コントロールすればするほど、主観的な意思に反して、こども達やあるいは部下・・(私はこの言い方がとても嫌いなのですが)は、能力が発揮できなくなってしまうのです。 一人一人が持っている、外からの評価に縛られない本来の無心な自己に全幅の信頼を寄せて、見守ることが、最も大切なことなのです。  学びも、仕事も外的動機ではなく、内発的な動機、自分からやりたいという思いが最も大切なのだと思います。こども達が無心に遊ぶように、外から強いられたのでなく、たのしくて、好奇心に任せてなにかをする・・そんな状態の時に脳も最高の力を発揮できるようです。 人間の脳は、現状では能力の数%しか、力を発揮できていないのだと言われています。でも、外からの指示命令をやめて、セルフ1を解きほぐし、セルフ2が自由に動き出すことで、もしかしたらとんでもない可能性を秘めているのかも知れません。 環境問題、いつまでも止まない殺し合い、饑餓、貧困・・・人類は、叡智を発揮して早急に解決を迫られている課題が山積しています。そのためにも、セルフ2 を発揮して、もっと本来の力が発揮出来るようにしないといけないと思います。  教育でも、様々な教授法の技術、理解のための方法論があるのですが、それ以前に、外からの、上からの教え込みから脱却して、一人一人の内発的な能力の発揮を促すことが先決の気がします。 良く、お母さん方のお話をうかがっていると、 「子どもが、やる気がなくて」 とか 「意欲が無くて」  なんて声を耳にします。 そしてたぶん 「一体何回言ったらわかるの。試験はもうすぐじゃないの!」 なんて、叱咤激励をたっぷり投げかけて、子どものセルフ1を肥大化させ セルフ2をつぶしてはいないでしょうか。 一人一人の内発的な意欲を信頼してみると、人間がいきいきと力を発揮してくると思います。 

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