宇奈月温泉事件判決について
宇奈月温泉事件
<事実の概要>
Xは、宇奈月温泉を経営するY電鉄会社の引いた引湯管が、ある地主甲の土地を
2坪程度かすめているのに目をつけ、甲からその土地を廉価で買い受け、Yに不当
な高値でその土地を売りつけてYにこれを拒否されると、引湯管の撤去を求めた。
<判決の要旨と解釈>
所有権が侵害されてもこれによる損失がいうに足りないほど軽微であり、しかもこれを除去することが
著しく困難で莫大な費用を要するような場合に、不当な利益を獲得する目的で、その除去を求めるの
は権利の濫用にほかならない。(大判昭 10・10・5 民集 14-1965)
所有者の側から見れば、自分の土地上に他人が勝手に物を置いているのであるから、それを撤去し
ろと請求する権利がある。この権利行使を許さないとする具体的な条文は、どこにも存在しない。しか
し、その権利行使は、会社の落ち度に目を付けて不当な利益を得る目的でなされているものであり、社
会通念上到底許容できるものではない。
ただし、Xは時価相当額(正当な金額)でYに土地を売りつけることは可能である。
<権利濫用の禁止>
(1)意義
→形式的..
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