2007/03/10(土)15:47
京都 侘び寂びを無視して食い倒れる その2 ~ 大徳寺一久
大徳寺は京都市北区紫野大徳寺町にある、臨済宗大徳寺派大本山の寺です。
禅宗寺院の集合体といった感じで、20か寺を超える塔頭(たっちゅう、本山寺院の境内周辺にある関連寺院)が集まっています。
始まりは1325年で、一休宗純、千利休を輩出し、茶の湯と商人に関わりが深いようです。
大徳寺一久は、中国の宋の時代に大徳寺の僧侶が料理法を持ち帰り、その料理法を元に大徳寺の精進料理を任されるようになったのが始まりです。
500年以上続いているお店です。
大徳寺納豆、大徳寺麩(大徳寺で作られた利休麩、利休麩とは生麩を濃い口しょうゆで煮しめて油で揚げたもの)が有名なのだそうです。
本場の精進料理を食べてみたいと思い料理を見たところ、「大徳寺精進料理縁高盛」(12~15時まで)なら手が届きそうですので、事前に電話で予約をお願いしました。
予約をお願いした日は団体客の予約があったらしく、2階の部屋になりました。
ネットで検索しても全然出てこない2階の部屋に興味津々です。
大徳寺付近は紫野という風流な地名です。
紫野とは、平安京の大内裏に接した船岡山の東北一帯を指し、洛北七野(内野、北野、平野、萩野、蓮台野、上野、紫野)の一つで、朝廷の禁野として御猟、遊覧の野原だったのだそうです。
今は普通の閑静な住宅街です。
大徳寺一久は大徳寺の側にあるのですが、大徳寺の敷地が広いため、どの面の側か迷いました(^^;)。
ぐるぐる回っているとお店を見つけました。
事前にネットで地図を印刷していたのに迷うのはデフォルトです。
老舗の店構えに気後れし、入り口はきっとのれんがかかったあの入り口だと悩みながら行きました。
幸い間違えていなかったようで、しばらく待った後に2階の部屋へ案内されました。
そこは上品な和室の床の間で、客が私たちしかいなく、机が無く座布団2枚が置いてあるのみです。
10畳以上ありそうな広い部屋です。
床の間を見ました。
外には住宅街が広がっています。
しばらくするとおしぼりが座布団の前に置かれました。
外の景色を眺めたり床の間を見てくつろいでいたころに、「大徳寺精進料理縁高盛」が運ばれてきました。
お弁当ふたを開けて、その上にお吸い物を置くように言われました。
机は無く、料理を畳の上に置いて頂くようです。
料理を頂くことにしました。
精進料理なので、肉、魚は使われていません。だしに鰹節やいりこも使われず、昆布や大豆を使っているのだと思います。
お吸い物は昆布だしで、具はほうれん草と湯葉、ゆずです。
だしはほどよく濃く薄口醤油の案配は最高、ゆずの香りが立ち、ほうれん草の味の濃さとよく合っています。
素晴らしくおいしいお吸い物です。
・豆腐をそぼろ状にしたものに味を付けて固めたもの
・ごぼうを柔らかくなるまでゆでてあく抜きしててんぷらにしたもの
・百合根のきんとん
・きんかんの甘煮
・湯葉をたくさん重ねて煮付けたもの
・大徳寺麩(中央の焦げ茶色)
・豆腐と味噌とくるみ(ごま?)の濃い白和え
・きのこの炊き込みご飯
などで盛りだくさんです。
どの料理も薄味ですが十分に濃く、砂糖と塩の使い方が絶妙で大変おいしいです。
意外と油を使っているのかこってりな料理も多く、あっさりし過ぎて物足りないということはありません。
かなりお腹一杯になり、もう食べられない~!です。
お弁当箱を下げた後は、上生菓子とお茶が運ばれます。
どこのお店の上生菓子か分かりませんが、かなりレベルの高いお菓子です。
しつこくなくしっかりした甘さに上品なあん、京都の和菓子特有の作りたての風味がします。
この日は椿のこなし生地のお菓子でした。
帰りに大徳寺納豆(八丁味噌に似た糸を引かない塩辛い納豆)を買って、お店を出ました。
お店の応対は丁寧で、最高の精進料理を頂いて、大満足でした。