海への誘い(うみへのいざない)

2020/05/18(月)20:00

感覚…【水中写真】

自然・宇宙(304)

京丹後で海中洞窟の調査をしたことがあった。 前人未踏の地への冒険である。 もちろん水中撮影に入るのも初めてだった。 どのくらいの大きさなのか、どのくらいの距離なのか。 通り抜けできるらしいという話は聞いていた。 真っ暗な中、所々狭い通路もあった。 人一人がやっと通り抜けできるような狭い岩間である。 いつになったら出口の光が見えるのか。 本当に通り抜けられるのか。 洞窟は一本なのか。 穴が何本かあって迷ってしまわないのか。 光の無い暗闇の中での時間はとてつもなく長く長く感じた。 終わりの見えない時間…。 入口から出口までとてもとても長く感じた。 結果、距離は約200mの洞窟だと言うことがわかった。 浜近くの浅い崖下に通り抜けられることがわかった。 そして、帰りの道のりはとても早く短く感じた。 何度か行き来する内に、時間も距離も短く感じるようになった。 出口がわかっているだけで、こんなにも感じ方が違うのか。 人間の感覚と言うのはおもしろい。 コロナで緊急事態宣言が出て、 外出自粛になってから過ごしている時間の感覚がおかしい。 あの時、洞窟を探検した時の感覚に似ている。 後でふりかえった時に、今この時の感覚をどう感じるのだろうか。

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