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 エデンの南

日本に対する嫌悪とスペインへの思い

 いつの事だったかはっきり覚えていないけれど、多分四年程前の事だったと思う。私は自分の国、日本の事を、つくづく嫌だと思い、ふと、もし日本を出るとしたら、どこに住むのがいいだろうと考えた時、真っ先に頭に浮かんだのがスペインだった。スペイン以外は考えられなかった。
 スペインには1993年四月、八日間のパックツアーで、マドリッド、バルセロナに行っただけだった。ガウディーの建築物のおもしろさとそれをひきたてるような青い空、そして何よりも親切で感じの良い人々が強く印象に残ったのだった。ダリや、ピカソなど、スペイン出身の芸術家がもともと好きということもあった。
 それ以来、テレビや雑誌、本などで、スペインの事を知れば知る程、その気持ちは強くなっていった。私は特に、アンダルシア地方に興味を持ち、次は必ず行きたいと思っていた。兄が仕事でアンダルシア地方のリナレスという所に一ヵ月半程行った事があり、その話を聞いていた事も理由の一つだ。
 テレビのスペイン特集などの物は、ほとんどチェックして、ビデオにとるなりして見ていたのだが、その中で、一番印象に残っているのは、昔カメンライダーで死神博士をやっていた俳優、天本英世さんが出演していた、NHK衛生放送の『世界わが心の旅-グアダルキビール川に私の灰を』だった。天本さんがアンダルシア地方に旅するという番組で、「私が死んだら、グアダルキビール川に遺灰をまいてほしい」という遺書を書いた、という内容だった。残念ながら、録画をしそびれてしまったのだけど、( 是非再放送を望む) 多少の考え方の違いや、気持ちの強さなどの違いはあるかもしれないが、私も天本さんと同じ様に日本が嫌いなわけで、その理由はいろいろあるが、一番気に入らないのは、人を助けない、というところだ。国家も、そして人もだ。国は阪神大震災の被災者に金を出さない。道や店などは健常者中心にできており、少し身体が不自由というだけで、この国では外に出るのは大変危険である。そういう事は、外国に行ってみると良く分かる。例えばアメリカでは、車椅子の人達がたくさん外に出て活動していた。回りの人達も自然に手伝う。自分たちがたまたま手足を動かせたり目が見えたりするだけなのに、多くの日本人はそれに気がつかないんだろう。例えばスペインでは、バスに乗っていて、年輩の方があとから乗ってくると、ごく自然に若い人たちはサッと席をかわる。習慣になっているのだ。
 私が一番初めに行った外国は、イギリスのロンドンだったのだが、ロンドンで、ある日、道を歩いていた時、自転車に乗った男の人が、車道側にころんでしまった。その時回りの人達は、すばやくいっせいに助けに行ったのだ。もちろん自転車の人は事故に遭わずにすみ、私はその時、なんてかっこいい人達なんだろう、と思った。と同時に心地よいショックを覚えた。
 それ以来、外国に行くたびに、日本の事が良く分かるようになった。例えばもう一つ、私が行った外国では、だいたいの人が、ちょっと人にぶつかってしまったりしたらすぐに「エクスキューズミー」なり謝る。日本 (東京近辺だけかな?) では謝る人は少ない。会社の電話対応などで、やたらと「すみません」と言っているのを聞くが、あれは何なんだろう?謝るべき時に謝ってほしいものだ。日本人は知り合い・友達と、他人の区別をはっきりつける。外国、特にスペインのように、知らない人同士でも挨拶したりするのは私にとっては気分の良いものだ。そういうちょっとした事で、一日気分良く過ごせるではないか。他にも会社や政治の事など言いたい事は山ほどあるが、それを書いているとスペインの話が書けなくなってしまうので、このへんでスペインの話に移りたいと思う。
 そんな訳で、当時ジュエリーの専門学校に週一~二回通いながら単発の派遣の仕事をやっていた私は、収入も少なかったので、とりあえず一番金のかからないNHKラジオスペイン語講座で、スペイン語の勉強を始めた。あとは、ラジオ講座のスキットなどを録音したスペイン語テープをさんざん流してBGMのように聞く、ということをやった。
 そして、どうにかジュエリーの専門学校を卒業できそうだ! という時に、とりあえずは語学研修という事で、スペイン行きを決めたのだった。
 スペイン語講座のテキストに出ていた広告を見て、A・H・Pというところに頼み、予算を考えて、語学研修四週間+旅行で計四十一日間という計画をたてた。学校は、アンダルシア地方で学びたかったのと、A・H・Pの強いお薦めということで、マラガにあるマラカ・インスティトゥートに決めた。学校の卒業制作に思ったより時間がかかってしまったせいで、結構忙しくなってしまったが、どうにか支度もすみ、いよいよ、やっと念願のスペインへ、夢と不安を抱えながら出発だ。


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