2009/07/09(木)21:06
清水正『手塚治虫版『罪と罰』を読む』その3
こちらから続いてます。
清水さんの素晴らしい所は、実に客観的な見方が出来る点です。
アリョーナ婆さんみたいな、ほとんど顧みられないけど考えてみりゃあ大変気の毒な脇役にまでスポットをあてているんです。
彼女が金貸しばーさんになるに至るまでの彼女の人生はどんなものだったのだろう、と考え巡らすことが出来る点が素晴らしいんです。
また、リザヴェータに関しても謎がいっぱいでして、ドストエフスキーが書いていない部分の謎って、すんごい多いんだ、と気付かされます。
以下引用です。
ラスコーリニコフは老婆アリョーナ・イワーノヴナに対して、愛のまなざしも向けることは微塵もなかった。アリョーナ・イワーノヴナにはアリョーナ・イワーノヴナの人生があり喜怒哀楽があったはずだが、そういったことに対してラスコーリニコフは何の想像力も働かせることはなかった。ついでに殺してしまったリザヴェータに関しても同じである。 ―中略― 作者がその子どもたちに関して何ら具体的に書いていないにせよ、彼女に子どもがいたことは事実である。ラスコーリニコフはリザヴェータを殺した。リザヴェータの子どもたちにとってラスコーリニコフは鬼畜でしかあるまい。―中略― こんな男が、こんな殺人者がルージンを卑劣漢と言って非難している。このことを読者は決して忘れてはいけない。
こういう見方というのは、普段から大切なものだと私は思うんです。
一方的な視点でしか語られないマスコミなどにコロッと騙される人が多いのは、多方面から、客観的に物事を見るという事が出来ていないからではないかと思うんです。
入ってくる言葉や映像等を表面的に、ろくに考えもせずに受け入れるだけじゃ、簡単に間違った方向に流れていってしまうと思うんです。
*清水さんが、このブログを紹介してくださいました!こちらです。ありがとうございます。
清水さんの著書の感想こちらからどうぞ。最近のは、まだリンク貼れてないんですが。時間のある時に貼っておきます。
ドストエフスキー関連はこちらです。
*今日は残業ナシで帰れたとオモたら…人身事故で振り替え輸送で遠回りで帰りますた…私に愛の1クリックを~~~。うー勘弁しちくり、ほんっっとに。電車も走れる範囲は走ってくれりゃあいいのにさっっ(○`ε´○)
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