第12話 姫の選ぶ道プリンセス・プリンセス第12話 姫の選ぶ道 逃げるさやかを追いかける亨。 そしてこの2人を追いかける裕史郎、実琴、秋良。 崖に追い詰められたさやかはこっちに来たら飛び降りると言います。 どうしようと実琴達も困惑気味です。 「さやか…」 「来ないでってば!!」 「さやか、やっぱりお前だったんだな。どうしてこんなことをするんだ!?人を傷つけることはもう止めてくれ」 「亨くんが悪いのよ。私より他の人を大事にして!!亨くんは私の物なのに!!」 「さやか…」 「どうして皆、私から亨くんを取ろうとするの!?」 「違うんだ、さやか!!とにかく、こっちへ」 「嫌!!だったらその人と別れてよ!!それで私と一緒に家に帰って!!」 姿が消える秋良。 「それは…」 聞いてられないなと動き出す裕史郎。 「小さい子どもみたいに駄々こねて、自分の気持ちばかり押し付けて、あんたは亨の気持ち考えたことあるのかよ!!」 「裕史郎…」 「妹だと思って大事にしてきたのに、その妹が他人を傷つける。それも自分が原因でなんて亨がどんな気持ちをしているのか考えたことあるのか!?」 「ごめん、さやか。ちゃんと話すべきだった。お前のことは本当に妹以上に見れないんだよ」 「嫌よ!!そんなの認めない!!亨くんが受け入れてくれないんなら死んだ方がマシだもん!!」 さやかの頬を叩く亨。 「死ぬなんて簡単に言うな!!」 「亨くん…」 「死んだらもう会えないんだぞ。おじさん達を悲しませるつもりか!!」 小さい頃を思い出しているさやか。 笑顔で遊ぼうと言っていた頃のことを。 「私…」 崖のギリギリのところに立っていたので、落ちてしまうさやか。 助けようと亨も落ちていくので、驚く裕史郎と実琴。 さやかを抱える亨。 落ちたところには有定会長と生徒会役員、秋良がマットを敷いていたそうです。 大事な姫に怪我がなくて良かったと言う有定会長。 実琴、裕史郎も崖の上から無事かと尋ねています。 何とかと答える亨は秋良にお礼を言います。 無事で良かったと言う秋良。 さやかも起き上がり、あんなことしたのにどうして助けるのか尋ねます。 大事な妹なのには変わらないと答える亨。 「運命だと思ってたの。小さい時から本当に大好きで、だから思い込んじゃったの。私と亨くんは結ばれる運命なんだって。なのに亨くんは私を受け入れてくれないし、他の人間が近づいて来るし、それが嫌で感情のコントロールが出来なくなって苦しくて…。でも分かってきたの。こんなことしたって何にもならない。亨くんの気持ちが離れていくばっかりだって」 「嫌いじゃないよ、さやかのことは。大切な家族だから」 「ごめんなさい、お兄ちゃん」 よかったねと言う秋良。 秋良、裕史郎、実琴にお礼を言う亨。 さやかは裕史郎に迷惑をかけてごめんなさいと謝ります。 裕史郎はこっちもきついこと言ったからいいと言います。 さやかは裕史郎に亨のことを宜しくお願いしますと言います。 もう邪魔はしないと。 固まる裕史郎。 「待て、さやか。それは誤解だから。裕史郎とは何でもないから。あの時はああするしかさやかが帰ってくれなかっただろうし…つまりあれはお芝居で…だから裕史郎とは何でもないから!!」 笑っている実琴と微笑んでいる秋良と会長&生徒会役員達。 P-ROOM とりあえずこれで問題は解決だなと実琴は裕史郎に嫌がらせはもうないだろう言います。 裕史郎は俺のことはいいと言い、これから大変なのは亨だろうと言います。 1度壊れた家族とどう向き合うかは亨次第だと。 でも亨なら案外打たれ強いから大丈夫だと言う実琴に、打たれ弱いもんなと言う裕史郎。 何だとと言う実琴。 電話をしている亨。 おじさんはさやかも反省しているようだと言っています。 ちゃんと話をつけるべきだったと言う亨。 これでさやかも落ち着くだろうの後に言われたおじさんの言葉に驚く亨。 部屋に戻ってきた亨は今なら電話空いてるよと言います。 電話してくると言う実琴。 毎日毎日彼女と何話してるんだろうなと言う亨。 何があったと尋ねる裕史郎。 何もないと答える亨に真剣な目を向ける裕史郎。 廊下で生徒達から挨拶されている秋良は亨と裕史郎に挨拶します。 おはようと言う2人ですが、元気がありません。 どうしたのか尋ねる秋良。 亨はおじさんに帰ってきてくれないかと言われたそうです。 家族としてやり直そうと。 屋上で話している3人。 俺のこと本当に思ってくれてるって分かって嬉しかったと言う亨。 「それで亨はどうするの?前の学校に戻りたい?」 「俺は…前の学校も嫌いじゃなかったけど、でもここと比べたら全然違う。きっと向こうでは上辺だけで笑ってた。心の芯では冷めてる自分を感じながら、それでいいって。でも、この学校に来てから俺、自然に笑えるようになってた」 「亨…」 「いきなり姫なんてやらされたり、色々問題が起きたり、走り回って怒って笑って。でも凄く楽しいんだ。お前達がいるから。だから俺この学園にいたい」 「だったらいればいいだろ!!いくらおじさんの頼みでも素直に聞くことなんてないんだぞ!!」 「でも、俺にとっては家族なんだ」 難しいねと言う秋良。 「亨も家族を大切に思っているからおじさんの思うとおりにしてあげたいと思うんだよね。徹がどうしたいかよく考えて答えを決めるしかないと思うよ」 「秋良…」 その話を聞いていた生徒が走っていきました。 「でも正直に言うとね、亨にはこの学校にいて欲しいな俺にとって大事な友達だから、いなくなったら物凄く寂しいと思うんだ」 裕史郎にもそうだろうと尋ねる秋良。 実琴は怒って引き止めると言う裕史郎。 もう少し1人で考えてみると言う亨。 去っていく秋良と裕史郎に、実琴には何も言わないようにと言います。 分かったと言う2人ですが、物凄く嫌な予感を感じる亨。 亨がこの学校を辞めるというのが生徒達の中でどんどん広がっていきます。 生徒会室にまで伝わったみたいです。 ここにもいたいけれど、おじさん達をがっかりさせたくないので悩む亨。 今までどおり波風立てずに望まれた通りにと思っています。 その時、家族と話せて良かったと言う裕史郎の言葉や一緒にいる家族でもちゃんと言葉で伝えないと伝わらないこともあるし、大切だからこそ言わなくちゃいけないこともあると思うと言う秋良の言葉、喧嘩していても嫌いじゃないと言う実琴の言葉を思い出しています。 また同じ過ちを繰り返そうとしていると感じる亨。 遠慮して、気を使って、周りが望むように振舞って、それが結局関係を壊すことになったと。 これまでと同じだったら駄目で、変わらないとと考えています。 ぶつかっていかないとと。 「河野!!河野聞いたぞ!!転校するかもしんないんだって!?」 屋上にやって来る実琴。 それって姫を辞めるってことじゃないかと実琴はお前だけ一抜けするのは許さないぞと言います。 予想通りと思う亨。 「大体、考えてもみろ!!河野が抜けたら俺と四方谷の2人で姫をやらなければならないだぞ!!そんなことになったら俺は…シンデレラの姉の如き四方谷にいびられまくるに決まってるじゃないか!!うわぁ~嫌だ!!」 頭を抱える実琴。 「実琴…」 「きっとさ、河野がいなくなったら鬱憤を俺ではらそうとするんだ。俺が悪いわけじゃないのに八つ当たりされるんだ。そういう奴だよ、絶対!!」 ため息をつく亨。 お前がいないと非常に困ると言う実琴。 そうだろうねと言う亨。 「だからいなくなるなよ、河野。俺達3人で姫なんだ。四方谷と河野がおよび腰の俺を引っ張ってくれないと…」 「実琴…」 家庭の事情は分かってるけどこのままいて欲しいと言う実琴。 「裕史郎、秋良、何見てんだよ!!」 お前ら聞いてたのかよと振り返る実琴。 そんな風に思ってたんだと言う裕史郎。 実琴に言うなって言っただろうと言う亨。 ごめんねと言う秋良と、こんな面白いこと黙ってるわけないと言う裕史郎。 裕史郎は思いとどまらせるためなら何でもやると言います。 生徒達が慌しいです。 亨姫、行かないでと多くの生徒達が屋上に向かって叫んでいます。 転校しないで!!行っちゃ嫌だ!!いなくなると勝てないとか、応援がないとホームランが打てないなど言ってます。 練習すればホームランくらい打てるようになるって思わないのでしょうか。 「皆、河野くんが転校するって聞いて慌てて集まったんだよ」 有定会長と生徒会役員登場です。 「まさか、本当に転校する気じゃないよね?」 そんなことはありえないと越廼は1度引き受けたことはきちんとやり遂げてくれるさと言います。 春江はこれほど皆に慕われている姫なんだからと言い、糺は竜崎理事からも問い合わせがきていると言います。 きっと緊急理事会が招集されるだろうと。 情報が早いと言う秋良。 名田庄先輩は俺の衣装を着こなせるのは君達だけどと転校しないで欲しいと訴えています。 3人の姫のバランスを考えた最高のデザインなので1人でも抜けたら意味がないのだと。 新しい衣装も完成間近だそうです。 名田庄先輩は本当に衣装のことしか考えていないなと言う裕史郎、ここまで徹底していると尊敬すると言う亨、そうだなと言う実琴。 撤収と指を鳴らす有定会長。 名田庄先輩は連れられていきます。 「あれでも名田庄先輩は名田庄先輩なりに亨を心配してくれているんだと思うよ」 「そ、そうかな?」 亨姫と屋上に向かって言っている生徒達を見ている亨。 亨を見て微笑んでいる裕史郎、実琴、秋良、有定会長、生徒会役員。 「俺、わがまま言ってもいいかな?」 「いいに決まってるだろ。俺が許す」 「俺、もっと皆と一緒にいたい」 笑顔になる裕史郎、実琴、秋良、有定会長、生徒会役員。 「皆、俺はここにいるよ!!どこにも行かないよ!!」 喜ぶ生徒達。 数日後 おじさん宅に帰った亨。 家庭科室 姫衣装を着ている亨、裕史郎、実琴。 「やっぱり思った通りだ。イメージ通りだよ、まさしく理想的だよ。この衣装はふんわりレースとリボンを使って可憐さを出して…」 また連れられていく名田庄先輩。 廊下で会う姫3人と秋良。 「お仕事ご苦労様」 「秋良も生徒会の仕事だろ。頑張れよ」 「うん、ありがとう。じゃあ、亨達も頑張って」 歩いていく秋良は生徒達に挨拶されます。 「相変わらずだな、秋良」 やっぱり3人の姫が揃っているといいなと言っている生徒達。 「さて、今日も張り切って仕事しますか」 「まずは野球部の応援からだな」 「あーあー、やっぱり嫌だ、こんな格好」 「実琴、諦めが悪いぞ」 「そうそう、俺達は皆に求められているんだからな」 「分かってるよ、はぁー」 やる気なさそうに歩く実琴。 「そう言えば、裕史郎…」 「ん?」 「あの時、お前はどう思ってたんだ?はっきりお前の気持ち聞いてなかったよな」 「なっ!?」 頬を赤らめて、下を向く裕史郎。 「俺もお前にここにいて欲しいって思ってたに決まってるだろ」 歩いていく裕史郎。 先に歩いていた実琴が、亨に早く来いよと言います。 「あぁ。今日も頑張ろう!!」 第12話(最終話)完 |