コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE20STAGE20 キュウシュウ戦役「我々はここに正統なる独立私権国家『日本』の再興を宣言する」 大雨が降る中、旧日本政府第二次枢木政権で官房長官だった澤崎敦がフクオカ基地を占拠し、「日本」として独立を宣言したことをニュースで報道されていた。 黒の騎士団は関与しておらず、キョウトもこのことを全く知らなかった様子で、サクラダイトの採掘権のみ一方的に通告してきたそうだと言うディートハルト。 「ゼロ、私達はどうすれば?」 「澤崎のグループはキュウシュウブロック内のテロ組織と協力し、ホンシュウ、シコクブロックとの陸上交通網を寸断した後、中華連邦両党軍管区の支援を受け、フクオカ、ナガサキ、オオイタを中心に占領範囲を広げています。中華連邦のツァオ将軍によると、これはあくまで人道支援であり…」 ロイドはセシルにスザクの様子を聞くと、それが作戦なら従うと答えたと話す。 シュナイゼルはトウキョウ租界でスザクの問題に続いて、今回のキュウシュウ占領があったので主不在だが、これをクリアしなければならないのだ。 「自分にはあなたの騎士たる資格がありません」 「命令違反のことならシュナイゼル兄様が非常時のことであり、責を問う必要はないと…」 「自分を許せないんです。だから…」 「重荷だったでしょうか?騎士に任じたこと」 「いいえ、感謝しています」 「だったら…」 「思い出してしまったんです。自分は父を殺したんです。なのに、罰せられることもなくのうのうと生きている。そしてまたこうして守られて…。殉職者やイレヴンの人達を横目に一人だけ…。そんな自分にこんな資格は…」 「資格なんて私だって…」 コーネリアに損害が大きく、天候が荒れているので空も使えず、上陸作戦は天候が安定してからだと言うギルバート。 ツァオ将軍は暴風雨の間にキュウシュウをまとめられると澤崎に話すと、澤崎は天が味方しているのでこの戦は勝つと言うのだった。 「戒厳令は必要ないよ、市民を不安にさせるだけだからね。EUのガンドルフィ外相に親書を。あぁ、それとカンボジアのトロモ機関に繋いで」 「シュナイゼル殿下。トロモは扱いが…」 そこにユーフェミアがやって来る。 「いやぁユフィ、どうしたんだい?」 「何かお手伝いできることはありませんか?エリア11の副総督として、私も…」 「ありがとう。その気持ちだけで十分だ」 「でも…」 「副総督には何もさせるなと、総督のご命令です」 「お姉様?いくら勝手に騎士を決めたからといって…」 「あぁ、いえ、それは違います。枢木の件は私も…」 「解ってあげなよ、ユフィ。こんな時だからコーネリアにも余裕がないんだよ。ダールトン、さっきの件だけど、私の知り合いがルートを持っている。頼んでみるよ」 アッシュフォード学園生徒会室 「こーんなに頑張って準備してるのにやっぱり中止かな、学園祭」 「そんな問題じゃないっしょ。戦争だよ?」 「戦争って…」 「間に亡命政権を挟んでいるだけで、これは中華連邦との戦争だって」 「ニーナ、美術館から借りる予定の屋外ブースは?」 「あ、今日手続きに…。できればその後、化学庁に寄りたいんだけど…」 「それって…例のプレゼント?」 「欲しい物があって頼んだらくれるってロイド先生が…」 「ロイド!?あの女ったらし!!」 「いいから、あんたは作業を進めて」 「んなこと言っても三人分やってんだよ?スザクは軍隊、カレンは病院、残ったバカは雲隠れ。は~ぁ、何か変わっちまったよな、ルルーシュの奴」 シャーリーは手紙を思い出していた。 『驚きました。まだ混乱しています。ルルがあのゼロだなんて…。まだ誰にも言ってません。ルルに会って直接確かめたいから…』 《…あれは、私が書いた物なの?どうして私は忘れているの?ナナちゃんのお兄さんの…ゼロのことを》 セシルに何故騎士をやめようと思ったのか訊ねられるスザク。 「それは…ユーフェミア皇女殿下はこんな僕でも認めてくれたんです。だから迷惑をかけると…あの人が自分自身を嫌ってしまいそうな、そんな気がして…」 《お飾りの副総督…それは最初から解ってたし。でも、やれることを頑張ろうと思ったのに…。ごめんなさい、クロヴィス兄様。ゼロに会ったんですけど、敵…取れませんでした。でもルルーシュやナナリーを救う方法も思いつかなくて…。私にはお姉様やシュナイゼル兄様のような力はありません。どこへ行っても足手まといで気がついたら我侭ばかり。お姉様に逆らって騎士を選んでみたのですが…》 「返されちゃいました」 「澤崎とは合流しない。あれは独立ではなく傀儡政府だ。中華連邦のな。名前と主君が変わるだけで未来はない。無視するべきだ、あの日本を」 「ブリタニアの行動も放っておくのか?」 「ゼロ、組織としての方針を明確にしておいた方が」 「そうだな。澤崎の件はおいておくとしても、当面の目的ぐらいは」 「トウキョウに独立国家を作る」 驚く黒の騎士団メンバー。 《…成程、やはり貴方は》 「待ってくれ!!いくら黒の騎士団が大きくなったといっても」 「敵は世界の三分の一以上を占める大国」 「俺達だけでそんなこと!!」 「では聞こう。お前達は誰かがブリタニアを倒してくれるのを待つつもりか?誰かが自分の代わりにやってくれる、待っていればいつかはチャンスが来る…。甘えるな!!自らが動かない限り、そんないつかは絶対に来ない!!」 ユーフェミアに近づこうとして警備員に捕まえられるニーナ ホテルでのことを思い出したユーフェミア。 「お止めなさい。彼女は私の友人です」 「ランスロットで実証済みだからねぇ~」 「枢木少佐、作戦概要を再度確認します。当艦は高高度から敵の前線を突破し、発艦ポイントまで移動中。嚮導兵器Z-01・ランスロットはフロートユニットを使用し、敵司令部フクオカ基地を強襲せよ。なおフロートはエナジー消費が激しいため稼働時間に留意」 「イエス、マイロード。…MEブースト」 「ランスロット発艦!!」 「発艦!!」 ランスロットは空を飛びながら発艦する。 「キュウシュウブロックを占拠しようとしてる連中の大義名分は澤崎敦の存在。つまり彼を失えば、中華連邦も介入の口実を失って撤退をせざるを得ないよね」 ランスロットは攻撃を避けながらフクオカ基地へと向かう。 その時、澤崎からオープンチャンネルで通信が入る。 「あの時…ユーフェミア様が私を助けてくれた時、女神様に見えたんです。光輝いていて、まるで…すみません!!服を借していただいたお礼から先に言うべきでした」 「そんなこと気にしないで。それにね、私はそんな立派な人間じゃないわ。姉達に比べたら全然ダメで」 「ユーフェミア様がダメだなんて…私なんかいいところ一つもなくて、本当に何も…。両親だってただの人で…全然綺麗じゃないし」 「そんなことないわ。あなたとっても可愛いのに」 《…嫌いなのね、自分のことが。でも私だって…》 「頭では解ってもスザク君のことだって」 《あ、そうか。スザクも》 「だからユーフェミア様が自分をダメだなんて言うのやめて下さい。だって…だって…だって必要なんです。私にとって…」 「ありがとう、ニーナ。あなたに会えてよかったわ。何か解っちゃった」 「父は関係ありません。自分は戦いを終わらせるために来ました。降伏さえしていただければ」 『君は日本独立の夢を奪う気か?』 「なら、正しい手段で叶えるべきです」 『君はそうやって我侭を通すのか?理念なき正義だな』 「っ違います!!それは…」 攻撃を受けてしまうスザク。 会話だけで気を逸らすとはまだまだ青いと言う澤崎。 「シュナイゼル兄様、プライベート通信の許可を下さい」 エナジーを戦闘と通信に絞り込むように言うセシル。 『投降したまえ、スザク君。枢木ゲンブ首相の遺児として丁重に扱うことを約束するよ』 「お断りします。ここで父の名を使ったらもう自分を許せない!!」 『そうか、似ているな、君は。強情なところが父親そっくりだよ』 『枢木スザク!!』 「え!?ユーフェミア様!?」 『スザク!!私は貴方を…えーっと…えーっと…私を好きになりなさい!!』 「はい!!…え!?」 セシルに何があったのか訊ねるとロイドでしたが、セシルはプライベートだと言う。 『その代わり私が貴方を大好きになります!!スザク、貴方の頑ななところも優しいところも、悲しそうな瞳も不器用なところも猫に噛まれちゃうところも全部!!…だから自分を嫌わないで!!』 「…!?…そうか、かえって心配させちゃったんですね。あなたって人は…。いつもいきなりです。出合った時も、皇女だって名乗った時も、学校を決める時も、僕を騎士に選んだ時も…いつだって!!」 『そうです、いきなりです!!いきなり…気づいちゃったんですから…』 「でも、そのいきなりの度に僕は扉を開けられた気がする。ありがとう。…最後にお願いをしてもいいですか?僕に何があっても自分を嫌いにならないで下さい。あと、その時は僕の存在を全て消してもらえると…。友達に迷惑はかけたくないから、転校したことにでもして下さい」 『スザク、まさか!?』 「もう、エナジーが尽きました。あぁ、いけない。セシルさんやロイドさん、それとシュナイゼル殿下によろしく。…あぁ、最後まで一人よがりだったな、僕は」 『スザク、死なないで!生きていてぇぇぇぇ』 その生きていてに反応するスザクの瞳。 そこに現れるガウェイン。 「あの白兜、ランスロットとかいう名前だったか?相変わらず無茶な戦い方だな」 「あぁ。しかし今回はバックがいるようだかな。単騎で本陣を撹乱し、イレギュラーを作る。失敗してもコーネリアは動きやすい」 《この策、シュナイゼルが…》 「邪魔なんだよ、君達は」 「…ハドロン砲は未完成のはずじゃ…」 「集束できてる!?僕が完成させるはずだったのにぃー!!」 《うーん、ゲフィオンディスターバーの応用でなんとかなったな。でもフロートシステムの開発は私の負け。やっぱり相手はプリン伯爵か?》 「思わぬ共同作業ね。…あーあ、気持ち悪」 「枢木よ、ランスロットはまだ動くか?」 『やはりゼロか』 エナジーフィラを差し出すゼロ。 「私は今から敵の司令部を叩く。君はどうする?」 『…ふっ…残念だけど、ゼロ。お前の願いは叶わない。自分が先に叩かせてもらうよ』 ゼロと枢木を止めるように言う澤崎。 ランスロットとガウェインは共闘して敵を倒していく。 『ゼロ!!お前達は日本を憂うる同士ではないのか!?』 「我ら黒の騎士団は不当な暴力を振るう者全ての敵だ」 『不当だと!?私は日本のために』 「澤崎さん、日本のためならどうして中華連邦に逃げたんです?残るべきだった、皆のためにも」 《共同作戦か~。…ガウェインと》 《ランスロットの》 「スザクとルルーシュが…」 「何!?ゼロが!?」 「はい。枢木と共に」 「何を考えている、あの男」 「ブリタニアから逃れるためにも、ガウェイン単独での作戦は正解でしたね」 「でも、紅蓮が壁になればもっと楽に…。どうせ私はもう家にも学校にもう帰れないし。今更ランスロットなんかと手を組まなくったって…」 「必要なことは勝利ではありません。この戦いに黒の騎士団が参加したという事実です。無論、表立っての報道はなされないでしょうが、噂は流せます。ゼロが言う通り、これは私達の立場を全世界に伝える役に立つでしょう」 「枢木スザク、ただいま帰還しました」 「お帰りなさい、スザク」 「…」 「…」 「「……あの」」 笑いあうスザクとユーフェミア。 「スザク、私ね、わかったんです。理想の国家とか大義とかそういう難しいことじゃなくて、ただ私は笑顔が見たいんだって。今大好きな人と、かつて大好きだった人の笑顔が。…私を手伝ってくれますか?」 「イエス、ユアハイネス」 STAGE20完 ジャンル別一覧
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