Shining tears×wind 第4話シャイニング・ティアーズ・クロス・ウィンド第4話「使命×仲間」 『また物語を聞きに来てくれたのね。フィリアスとセイランの戦争は宰相シュマリの陰謀でした。蒼真は単身シュマリを倒しに行きましたが、捕らえられ、処刑されそうになったその時…』 「うわぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!」 単身セイラン砦へと向かった蒼真は如現われた巨大な移動要塞が放ったレーザー砲によって、砦もろとも消滅した。 「ゆ、夢…?まさか、そんなことないよね、蒼真…」 「天水の塔の機能は回復したぞ」 「ご苦労。これでセイランの水不足も解消だな」 「次はフィリアスの転生の塔だな」 「それが…私にはまだ巫女の力が…ないんです」 「焦ることはない。何か方法があるはずじゃ。ともに考えるとしよう」 「それにしても済まなかったな。俺の留守中のこととはいえ」 「いいえ、過去のことですわ。こうして国交が回復できたのですから」 「うん。ところで気になることがあるんだ。北のことで」 「俺のせいだ。一人で行かせるべきじゃなかった」 「霧谷君のせいじゃないわ。私の…」 「何よ、二人とも。蒼真が死んだと決め付けないでよ。死体が見つかったわけでもないし、その内ひょっこり戻ってくるって。『よぉ』って」 「まさか…」 「念のため、バソウを偵察に行かせてるんだが」 戻ってきたバソウによると、中立地帯に正体不明の軍勢がいたのだそうです。 蒼真のことを知った霧谷達が悲しみにくれながらも無事を信じ、移動要塞の正体を確かめに行くと、そこにはエルフ兵やロボット、戦車からなる魔装錬金帝国ベイルガルド軍がいた。 「な、何だ?これは」 「SFだよ、うっそぉ」 「あの耳…」 「ひょっとして霧谷君が夢で見た人って…あの人なの?」 「似ている。でも、本人かどうかは…。ん!?」 「あの人も同じ耳」 ゼクティの横にキルレインも現れる。 「エルフ族です」 「お前ら、エルフの国・アストライアだな」 「アストライアはもう存在しませんよ。我らは魔装錬金帝国ベイルガルド」 「どういう意味でしょう?」 軍を率いる皇帝“トライハルト”が現れる。 それは紛れもなく、行方不明になっていた生徒会長・西園寺だった。 「さ、西園寺!?」 「会長!?」 「控えるがよい、こちらは心剣士にして我らが皇帝トライハルト陛下なるぞ」 そして隣にはまるで別人のように変貌した蛭田の姿があった。 「あなたは蛭田さんね」 「いかにも。ベイルガルド四皇剣が一人、業火の錬金術師・ヒルダレイアとは私のことよ」 「まるで別人…」 「久しぶりだな、霧谷」 「どういうことだ?皇帝って…。それにその軍隊は!?」 「諸君らはこれから我々の管理下に入る」 「何ですって!?」 「降伏せよ。無条件で」 「そんな話のめねえな」 「ならば」 西園寺の合図とともに巨大な砲台がビームが発射される。 「何故だ!?何故こんなことを!?」 「綻び始めたこの世界を救うためだ」 「救いたいのは私達だって同じよ」 「仲良く皆でやりましょう」 「無理ですね。かつてアストライア、フィリアス、セイランの三国和平会議の席上で何が起こったか考えれば。また同じ過ちが繰り返されるだけ」 「世界を管理できるのは選ばれた者だけだ」 「選ばれた者って?」 「心剣士、つまり俺とお前。霧谷、ともに覇道を歩むのだ、新たな秩序をもたらすために」 「それは…」 「どうしても拒むというのならゼクティ」 「はい、陛下」 「その心、美しく形成せ」 西園寺がゼクティから心剣を抜く。 「力ずくで従わせるしかない、我が剣をもってな」 そこに白馬に乗った王子様・カリスが現れる。 「姉さん、城が…首都が何者かに制圧されてしまった」 「そんな…」 「姫、しっかり!!」 「お前の仕業か!?何てことを…」 「やるのか?」 「首都に戻らなければ…」 「無理だよ、ライデルも…」 「一先ずセイランに来い」 「はい…」 「返事は早い方がいいぞ。次はセイランだ」 「分からない…何をやろうとしてるの?」 「世界征服ごっこ?だったら止めなきゃ」 「どうしてまた仲間同士で戦わなきゃならないんだ」 「死んじまった…あっけないもんだな。でも、何で死んだんだっけ?えっと…そうだ、何か変なものが出てきて…。何だったんだ、あれ。ま、いいか。でも、シュマリ達はどうなったんだろ」 「死んだよ」 「え、誰?空耳か?それとも天の声?でもシュマリが死んだんなら平和になるな、良かった…」 「どうかな?新たな脅威が生まれた」 「ひょっとしてゼロ!?ゼロなのか!?ゼロなんだな?そうか、お前の正体は俺をあの世に導く…」 「君を死なせない。君にはすべきことがある。」 リュウナと薪割りをしているラザラス。 蒼真は二人にゼロの所まで案内してもらうのだった。 「まず、生き返らせてくれてありがとよ」 「勘違いしないでくれ。僕にはそんな力はないよ」 「でも…天使なんだろ?だったら俺をあそこからどうやって助けたんだ?」 「それなら君を一時アストラル界に引き込んだんだ」 「アストラル界!?」 「君がこの世界に来る前に僕と会った所だよ。二つの世界の間に位置する世界と言えば分かるかな?まぁ、いい。それより折り入って君に頼みがある。どうだろう、僕の代わりに世界の監視者になってくれないかな」 「意味分かんねえ」 「世界はこのままだと崩壊する。それを食い止めてほしいんだ」 「だったら無理だ」 「どうして?」 「俺にはそんな力はねえ」 《失くしちまった、心剣も呉羽も》 「君にはまだ力があるさ」 「あったって俺に何ができる!?何もできねえ!!世界とか国とか相手がでかすぎて。そうだ、霧谷がいい。あいつなら…」 「君にしか務まらない」 《だから俺なんか…》 「僕の片方の目だ」 ゼロから指輪を渡された蒼真は外すことができなくなった。 「それで世界がよりよく見えるようになったはずだ。じゃ」 「だいたい他人に頼まず自分でやればいいじゃんか」 「ゼロは世界にとって特別な存在だから…直接手を下すことは避けたいのでしょう」 蒼真は手を水で濡らして滑りやすくして指輪を外そうとするが、それでも外すことができない。 そして、リュウナとラザラスに連れられてこの世界の現状を見せられる蒼真。 フィリアスの首都がゴーストタウンと化していた。 「この街で何があったんだ?」 「それを見るのがあなたの仕事です」 「分かった、分かった。あ、そういえばゼロが言ってたな。この指輪、よく見えるって」 その時、城から悲鳴が聞こえ、蒼真達は城へと向かう。 そこには亡霊のような者に囲まれたライデルがいた。 ラザラスに真っ二つに斬られた状態であっても蒼真の足を掴んでくる。 そして、斬られた痕をくっつけて再生してしまう。 「何だ、こいつら」 「アンデットです」 「ゾンビってことか」 ライデル達を逃がすと、蒼真がアンデットに囲まれてしまった。 しかし、リュウナが聖なる結界でアンデットを瞬殺する。 そして今のうちに逃げようとすると、そこに新たな敵が現れる。 「闇に帰るのです。ターンアンデット!!」 リュウナが魔法で攻撃しますが、全く効果がない。 「ベイルガルド四皇剣の一人、暗黒騎士団団長・魔剣士ジード」 ジードの持つ剣が血を吸いたいと言っているらしく、攻撃してくる。 ラザラスがジードの攻撃を受け止める。 ラザラスを押し始めるジード。 「そこまでだ、ジード」 「さ、西園寺!?やっぱりお前、こっちの世界に来てたのか蛭田もか?それより無事でよかった、心配してたんだぞ」 「どうして止めるんです?トライハルト皇帝陛下」 「知り合いでな」 「どういうことだ!?トライハルト皇帝陛下!?」 「俺のことだ。ベイルガルド皇帝陛下トライハルト」 「こいつとはどういう関係だ!?仲間か!?」 「部下だ」 「部下って…化け物だぞ。こんなの部下にしてお前、何考えてんだ!?」 「この地に秩序をもたらすのだ」 「そんなことできるか!!」 「できるさ。蒼真、お前も心剣士か?」 「いや、俺は…」 「じゃあ、お前に用はない。命だけは助けてやる。行け。それとも力ずくで阻止するか」 《止めたいが、俺にはそんな力は…》 「なぁ、西園寺」 「トライハルトだ」 「トライハルト、目を覚ますんだ。化け物軍団の皇帝なんか辞めるんだ」 「折角の忠告も水の泡だったか。ジード」 ジードから心剣を抜くトライハルト。 すると、ジードにも鎧が纏わりつく。 「それが心剣!?」 「心剣とは魂の結晶。様々な形がある。さぁ、行くぞ」 蒼真達に攻撃してくるトライハルトとジード。 蒼真はトライハルトと、ラザラスはジードと戦う。 ラザラスはジードを吹き飛ばすが、トライハルトに斬られそうになる蒼真を庇い、背中に傷を負ってしまう。 「蒼真は俺が守る」 「いい覚悟だ」 「だが守りきれるかな」 ラザラスは命を懸けて蒼真を守るため戦う。 「命を賭けるって俺のどこにそんな価値があるんだよ!?」 「ありますよ」 「ない!!世界を救うどころか、俺の為に必死になって戦ってくれているラザラスを助けることもできないんだぞ!!」 「その気持ちがあるのなら助けられます」 「どうやって!?」 「私から心剣を」 「お前から?」 頷くリュウナから心剣を抜いた蒼真はトライハルトとジードの動きを封じ、向かっていく。 そして、トライハルトの剣を折り、ジードの鎧を壊すのだった。 「心剣出せたんじゃないか」 「もう出せないと思ってたんだがな、二人に乗せられちまった。俺の肩に掴まれ」 ラザラスを支え、蒼真は去っていこうとする。 「その心剣をどう使うつもりだ?」 「それはこれから考える」 「どう遣おうとお前の勝手だが、俺の邪魔をする気なら覚悟しておけ」 「あぁ」 次回、「妖精×妖精」 ジャンル別一覧
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