花より男子2 第9話花より男子2 第9話空港にお供と共にやってきた楓。 「やっぱりそういうことだったのね」 「なんだよ、あんたも見送りに来てたのか!?ちょっとは人間味あることすんだな」 「司、明日、本社の会長室に来なさい」 「話があるんだったらここでしろよ」 「業務命令です」 「あの、あたしもきちんとお話したいことが…」 「明日、道明寺財閥の次期経営者として、出社しなさい」 楓はそう言うと、つくしを無視して帰って行きました。 その話をF4メンバーに話す司。 「しょうがねえだろう、見つかっちまったもんは」 つくしもタマさんに報告するのだった。 「で、後悔、してんのかい?」 「恐いですけど、後悔は…」 「うん、それでこそつくしだ!!」 「でも、あたしがここにこれ以上いるのは…」 「今夜奥様はお帰りにならないと連絡入ったから、安心しな」 「はい」 楓につくしが住み込みしてるのはまだ知られていないが、手を握っている所を見られたのでもう付き合ってると思われたに違いなかった。 「手握って喜んでる場合じゃねえだろ」 「喜んでねえよ!!別に、手握ったくらいでドキドキするわけねえだろ!!」 「ドキドキしてたんだ~」 「自分の置かれてる状況、解ってんのかよ!?」 「おそらく、かつてない怒りだろう、お袋さん」 「今まで以上のとんでもねえことしてくんじゃねえか?」 「まあでも、いつかは越えなきゃいけない壁でしょ?」 「え!?」 「司と牧野にとって、司の母ちゃんはさ」 「フ、今更逃げ隠れしたってしかたねえしな。戦ってくるぜ!!」 つくしのクラスは授業も終わり、後は卒業式を待つのみであった。 会長室にやって来た司。 「実際のところ、滋さんは牧野つくしに気を使って身をひいたのよね?それとも、あなた方二人がそう仕向けたのか」 「だったら何だって言うんだよ」 「調子にのるのもいい加減になさい」 つくしは三人娘から卒業式の後のプロム(ダンスパーティ)では司と踊るのかと聞かれます。 そして、司以外のF4メンバーと踊りたいので頼んで欲しいと言われるのだった。 「あなた本気なの?」 「本気だよ。俺は牧野以外の女はなんとも思ってないから」 「それはグループの次期経営者としての言葉?」 「実際、大河原財閥との合併はチャラにはなってねえだろ。ホントに会社のこと考えてんだったら、こんなところで俺の惚れたはれたにうつつぬかしてねえで、さっさとNY帰った方がいいんじゃねえか!?」 「フフフフフ、アハハハハハ」 つくしは非常階段に来ていた。 「この場所ともお別れか。大丈夫かな、道明寺。頑張れ~道明寺ぃぃぃぃ!!」 「大丈夫だよ」 「花沢類」 「ここまで来たら司、信じるしかないでしょ」 「そうなんだけど、さ…」 「ほーら、落ち込んだ顔しない。俺は牧野がずーっと笑顔でいれば、それでいいんだからさ」 「花沢類」 「じゃなきゃ、諦めきれなくなるでしょ」 微笑む類を見て、つくし も笑顔になる。 「俺は新しい道明寺財閥を作る、牧野と共に。そして、うちに関わる全ての人間に幸せをもたらしてみせる」 司が出て行くと、楓は怒りのあまり眼鏡を破壊してしまう。 そこへ西田がやって来ます。 「問題は色々とあるかと思いますが、坊っちゃんもなかなかしっかりなさってきたかと」 「飼い犬に手を噛まれるって言うけど、ふん、まさかあたしがそんな目に遭うとは、露ほども思わなかったわ」 下校途中のつくしのところに司がやって来た。 「どうだった?」 「分かんねえ」 「分かんねえって、それで大丈夫なの?あたしと二人でいて」 「何だかんだ監視されてるかもしんねえな」 「マジ?」 「でも、折角二人でいられんのにコソコソすんのうざってえだろ?」 「また前みたいに、色んな人に迷惑かけたりしないかな?」 「あんな鬼みたいなババアでも、母親には違いねえ。何度も話せば解ってくれんだろ。時間かかるかもしんねえけど」 「うん」 「それより、誰に後ろ指立てられることもねえんだ」 「後ろ指立てられるってどういう状態よ!?」 「あ、後ろ髪指される、か」 「後ろ髪はひかれるものでしょ?」 「いやいやいや、髪ひっぱったら痛いじゃねえか」 「ふ、興奮してる意味がよく解らないっつうの」 「兎に角俺は、お前と二人でいることを大事にしたいんだよ。信号は青だ。行くぞ!!」 「ちょっと待ってよ。ちょっと」 楽しそうな二人は美味しそうに食事しています。 「俺の周りには、お前みたいに美味そうに食う奴はいないな」 「あんなに長いテーブルで食べてたら表情なんて解んないよ。真ん中にお鍋おいて、皆の手が届く食卓が一番だよ。湯気でむせ返るくらいのさ」 「基本、お前んとこの食いもんは口に合わねえけど」 「悪かったね、坊っちゃんのお口に合わなくて」 「でもそういうのもいいかもな。牧野と二人だったらよ」 「おっと。食いついてきたね。じゃあ今度、家で鍋しよっか?」 「断る」 「何じゃそりゃ」 「フ、嘘だよ、招待しろ」 「おう、招待してやるぜ」 「約束だぞ」 「うん」 その頃、司とつくしに楓が何をしてくるのかを心配する類、あきら、総二郎。 レストランで支払いをしようとすると、司のブラックカードは使用できなくなっていた。 「でもお袋さんもある意味なりふりかまわずくるだろうな」 「今、道明寺財閥は崖っぷちだしねえ。下手すればこの波紋はとんでもないとこまで広がるでしょう。司がそれをきちんと自覚してればいいんだけど」 結局、つくしが現金で支払いをするのだった。 「あの店、絶対ぶっ潰してやる!!」 「怒んない、怒んない。でもホント現金持ってないんだね、お金持ちって」 「牧野に奢ってもらったなんて、ホント情けねえ。てえか死んじまいてぇ」 「おーほっほっほっほ。ご主人様と呼びなさい、司くん」 「お前、性格悪悪だぞ」 「性格に関して君からダメだしくらいたくないんですけど。お金なんか持ってなくても、いっくらでも楽しむことはできるよ。庶民のデート教えたげる。信号、青だ、行くぞ!!」 しかしその頃、楓は大河原グループから提携を断れていた。 ペットショップで犬を恐がる司に無理やり仔犬をだかせるつくし。 ペットショップを出た後、はしゃいでいた二人はそこで西田に会う。 その後、司から西田がクビにされたと聞くつくし。 『嘘ではございません。解雇されました。心配なさらないで下さい。私はケン・ウチダのような早まった真似はいたしませんから。今、会長は道明寺グループを維持することに躍起になっておられますが、これは企業本来の形でないように思います。世界の道明寺グループはもっともっと、かつてのような血の通った企業であるべきです』 『西田、俺はどうすればいい?』 『自信を持って下さい。今は苦しいでしょうが、これを乗り越えれば、会社はもっともっと成長すると思います。頑張って下さい。今の坊っちゃんなら大丈夫です』 「西田さんが、NYで道明寺に何があったか教えてくれたんだよね。だから、道明寺を許してやって欲しいって。西田さんが背中を押してくれたんだ」 「お前が倒れた時も、教えてくれたのは西田だった」 「西田さん、うちらのせいで巻き添えくっちゃったんだ。あたしらのせいで、こんな目に遭う人が出てくるなんて…」 F4メンバーと話す二人。 楓の逆襲の序章に過ぎないと言われる。 カードも使用不可になっていたが、とりあえず金の心配はまったくないとF4メンバーに言われ、司も笑顔になる。 つくしは優紀の家に泊まる事にし、手作りの唐揚げを食べていた。 もっと頼ってくれていいと言う優紀の両親につくしはすいませんと言うのだった。 司を待っていた楓は最後のチャンスをあげると言う。 「冗談じゃねえ!!西田、クビにしたり、カード止めたりやることがせこいんだよ!!」 それがあなたの答え?」 「何なんだよ、回りくでえ言い方しやがって」 「大河原財閥が、正式に合併を断ってきたわ」 つくしはバイト先のおかみさんに取引を断られたりするようなことがないか心配しますが、おかみさんは大丈夫だと言った上に励ましてくれる、 そこへあきらと総二郎がやって来て、司が勘当されたと言う。 「大財閥を背負って立つはずの男が、縁を切られた」 「ここまで本気になるとは、やっかいだぞ」 司は類の家に厄介になっていた。 「悪ぃな、類。ホントはお前に世話になれる立場じゃねえのに」 「司に振り回されんの、子供の頃から慣れっこだし」 「そんなに振り回してきたか?俺は」 「その自覚がないところが、笑っちゃうよ」 「それからもう一つ、笑ってられない大事件」 「大河原財閥との合併が正式に白紙になった」 「え、どうなるんですか!?それ」 「道明寺グループにとっちゃ相当にやばい」 「大規模な事業縮小を敢行いたします。去年のリストラ程度ではことは済まなくなってきました。現在のこの苦境をのりきるためには子供騙しの事業縮小ではないと覚悟して下さい」 「そうなると、相当な数の企業が潰れるかもしれないし」 「日本経済にも大きな影響が出るぞ」 つくしは立ち上がると一人で考えたたいと言い残し、出て行くのだった。 「二人とも、つくしの前であんなこと言わなくても」 「でもいずれ解ることだよ。隠したってしょうがないし、その事実からは逃げられないだろ。大企業の跡取りと一緒になるってことは、そういうこともひっくるめて責任をもつってことなんだよ」 歩くつくしはウィンドウの中のテレビの臨時ニュースで道明寺グループ崩壊危機と、倒産のおそれを知る。 「今回の件の原因の一端には遠からず牧野という存在がある。これは紛れもない事実でしょ」 「俺らはそこらへんも踏まえて、あいつらに協力するけどさ」 「道明寺財閥が大ピンチで、司が勘当された今、相当腹くくらないとな」 「取り返しのつかないことが次々起こっても、それでも、今の二人のままで、いられるか」 「なぁ、類。俺は牧野を守って生きていけっかな」 「珍しいね、司が弱気になるなんて」 「道明寺財閥の看板背負って、調子こいてただけじゃねえよな?俺は」 「これからの司が、それを証明すればいいんじゃない?」 そこへ、召使いが新聞を持ってくる。 「司、いきなりやってきたよ、大きな決断」 新聞の見出しには道明寺グループ崩壊とあった。 楓の言葉と、ケンのことを思い出し夢に見て、夜中に目覚める司。 つくしは優紀の部屋で眠れずにいた。 すると部屋から優紀の両親の話し声が聞こえてくる。 父の取引先のメインバンクが道明寺グループなので、うちも煽りを食うのは確実だと話す父とローンなどを心配をする母。 「つくし、気にしないで。寝よ。大丈夫だよ、きっと」 「あたし、取り返しのつかないことしてるのかな…」 翌日、道ですれ違った人の持つ新聞での記事を見たつくしは皆の言葉を思い出す。 道明寺グループのビルをみあげ、楓のもとを訪ねる。 「あたしが身をひけば、全て何とかなりますか!?もしそうなら、今後一切道明寺家と関わらないと、約束します。だからお願いです。道明寺を勘当しないで下さい。それと何とか他の企業も倒産から救って下さい」 「あなたに言われなくても、最善は尽くしてます」 「どうか、お願いします」 「やっと、事の重大さが解ったようねえ。仕事の邪魔よ、帰って。 もう決して、決してあたし達の前に姿を現さないで」 つくしはお辞儀をして帰っていく。 その頃、司はもう迷わず、つくしと新しい生活を始めることを決心したことを類に話す。 つくしは道明寺家へ向かい、部屋で荷物をまとめる。 司は電話をしても繋がらず、携帯まで止められてしまったようです。 司はお団子屋を訪ねると、道明寺家へ帰ると出たと言われる。 そして、雨が降り始める。 ヴァイオリンを弾く類も窓の外の雨に気づき、手を止める。 総二郎とあきらもバイクを降りて雨宿りしています。 つくしは雨の中、荷物をもって道明寺家から去ると、ずぶ濡れの司とばったり会う。 「何やってんの?お前。いやでもよ、金ねえからタクシーも乗れねえし、まいったわ、この雨。庶民は雨降っても一大事なんだな。勉強になったわ。髪もよ、濡れるとストレートになっちまうんだよ。でもこっちも結構いけんだろ!?まぁ、あれだな、俺にも庶民の生活ができるってことがこれで証明されたけどな」 「終わりにしよう、道明寺。もうあたし、あんたとは付き合えない」 「冗談止めろよ」 「冗談なんかじゃないよ」 「俺は決めたんだよ!!お前と一緒にいるって。何があっても一緒にいるって!!ほら、行くぞ」 司が掴んだ手を離すつくし。 「あなたは、道明寺グループの次期経営者。だからね、ほら、頑張らないと」 「お前、ふざけてんのか!?」 「ふざけてなんかないよ」 「じゃあ何でそんなこと言えんだよ。昨日一緒に飯食ってた時、笑ってたの嘘か?庶民のデート教えてくれるって、あれっきりかよ!!まだ公園でバドミントンだってしてねえだろうが。な、鍋に招待してくれるっていうのも、あん時だけの、口からでまかせかよ!!何で、何で全部、自分で勝手に決めてんだよ!!」 「約束してきたんだ、道明寺のお母さんと。もう今後一切、道明寺家とは関わらないって」 「脅されたのか?あのクソババア!!」 「違うの、そうじゃない!!あたしが決めたの!!」 「え!?」 「あたしが全部、自分の意志で決めたことなの」 「何だよ、それ」 「あなたは、世界の道明寺なんだよ。あたしと関わって沢山の人が傷ついて、そんなの馬鹿らしいじゃない。道明寺だって、解ってるはず。ホントは自分がどうすべきか」 「俺は…」 司の背中を押すつくし。 「はい!!道明寺が頑張ることで、沢山の人が幸せになれるんだよ」 「牧野!!お前は俺を一人の男として見たことがあるか?家のことや母親のこと、全部取っ払って、ただの男として見たことが、一度だってあるか?」 背中を見せたまま涙を堪えるつくし。 「…どうだろ?でもね、もしあんたのことが本当に好きだったら、こんな風に出ていかないよ」 司の方を振り向いてて微笑んだつくしは司に背をむけてそのまま歩きだす。 つくしのもとへかけよってきた傘を差したタマ。 「つくし…何やってんだよ!!強がって、坊っちゃんの前であんな嘘までついて。そんな顔して。馬鹿だよ!!もうホントに、あんた、馬鹿だよ!!」 タマさんに何も答えずにお辞儀をして去っていくつくし。 タマはそんなつくしの後姿を見送るタマも涙を流していた。 雨に打たれるままの司。 窓から外を眺め、笑う楓。 汽車に乗るつくしは両親や弟のいる漁村へと向かった。 海辺を歩くとワカメを干している両親を発見する。 父は船酔いで漁に出られないらしく、実はずっとワカメを干しているそうで、こちらにきてから生活レベルは格段に落ちたそうです。 「それより突然どうしたの?」 「やっぱりパパとママと進と一緒にいたいしさ」 家族もまた一緒にいられて嬉しいと受け入れてくれる。 一人でいる司を励まそうとやってきた類、総二郎、あきら。 「何なんだよ、全員集合でアホ面下げて。うざってえんつうんだよ」 「はぁ!?そういう言い方ねえだろ、皆心配して」 「だからそれがうざってえんだよ!!道明寺家なんかどうなったって構わねえっつうか俺はもう関係ねえんだからよ」 「じゃあ、何で牧野追っかけねえんだよ!?」 「総二郎、止めとけよ」 「はぁ!?」 「牧野が身ひいたのだって本心じゃねえことくらい解ってんだろ!?牧野をとめられなかった自分が、情けなくて落ちてんだろうが!!」 「何!?」 「それでウジウジ不機嫌になってる手前の方よっぽどうぜえっつうんだよ!!」 司は総二郎を殴る。 「手前は俺に説教しにきたのか、コラァ!!」 「勘当されたって家に未練ありありなんだろうが。このショボ僧が!!」 あきらは殴り合いする二人を止めに入るが、類は傍観していた。 夜、つくしは海を見つめ、楽しかった司とのデートを思い出して一人で涙を流す。 その頃、司は一人、街を歩いていた。 つくしのことを思い出していた時、道明寺の目が大きく開かれる。 横断歩道の向こう側にいた男はケンのようなのです。 信号が青になり、駆け出す司。 「おい、待て!!」 司は逃げるケンを追いかけていくのだった。 第9話完 |