花より男子2 第10話花より男子2(リターンズ) 第10話ケンを見つけ、青信号に変わると途中まで追いかける司。 「ケ~ン!!」 「道明寺財閥にとって起死回生のチャンスはまだあるはずよ」 「司お坊ちゃんをお呼びした方が…。勘当は解かれたのでは…?」 「そんなことしなくても。そのうち泣きついてきますよ」 つくしが家に戻ると漁村の人達が押しかけてきていた。 ケンを何とか追い詰めた司。 追い詰められたケンは土下座をして謝る。 「すみません、すいません、坊っちゃん」 「どういうことだよ!?ケン!!」 つくしの両親は家賃を払っていなかったので、押しかけていていたようですが、つくしが道明寺財閥の御曹司と付き合っていると言うと保留しにしていてもらっていたらしい。 だが、本当に付き合ってのかどうかと詰め寄られるのだった。 「何が嘘で何が本当なんだよ。きちんと話せ!!どういうことだ!?」 「全部仕組まれたシナリオだったんです。坊っちゃんの行き過ぎた行動をセーブさせるための、シナリオだったんです。坊ちゃんの発言が元で大規模なリストラが行われたのは本当です。私がリストラで解雇されたことも本当です」 ケンが司と仲が良いと聞いた楓が策を練る。 「私は、リストラが原因で落ちぶれていく男を演じるように会長に頼まれました」 「でも俺の目の前で飛び降りたのは確かにケンだったよな?」 「そうです。しかし…私は予め段取りされた通りに姿を消し、見返りは、坊ちゃんのいない日本で新たなビジネスを始めさせてもらうということでした」 「ハハハ…間抜けだな。それで俺はまんまとババアの策略に嵌って、この一年悩みまくってたってわけか」 「本当に、申し訳ありませんでした」 「このことは西田も知ってたのか!?」 「いや、坊ちゃんをよく知る人間には知らされていないはずです」 「俺様をここまでコケにするとはいい度胸だな。さぞやこの一年、楽しかったろうな」 F4に経緯を話す司。 「しかし司の母ちゃんもそこまでやるとはね」 「それだけ必死だったってことだろ」 「冗談じゃねえ!!人の心玩ぶような真似しやがって。ぜってぇ許さねえ!!」 つくしは漁村で働かせてくれるように頼んでいた。 「おい、落ち着けよ!!」 「お袋さんには会ったのか?」 「まだ会ってねえ」 「やばいことしでかすつもりじゃねえだろうな」 「お前らには迷惑かけねえ、心配すんな」 つくしは雇ってもらえることになったそうで、元気一杯に喜びながら気合を入れ、歩いています。 だが、そこで看板が目に入ってくる。 『命を大切に!!』や『断崖絶壁!注意せよ!』 その先に進もうするおじさんを見てしまう。 「え、うっそ」 「牧野はどうすんの?会いに行くの?」 「もう道明寺財閥がどうなろうと知ったこっちゃねえ。ま、どのみち勘当された身だしよ、俺は。今度こそ牧野と二人、人生を歩いてく。昨日は悪かったな、総二郎。お前の言う通りだった。お前に本当のこと言われて、カッとなって」 「司、これ持ってけよ。金持ってねえだろ」 四枚程度のブラックカードを渡す総二郎。 「司、現金も必要だろう、ほら」 「しかし、あきらは相変わらず現金払いだよな」 「基本的にそういうお家柄なんでね」 「司。これで連絡しなよ。持ってっていいよ」 携帯電話を渡す類。 「悪ぃな、お前ら」 「何言ってんの」 「何か、類達は友を呼ぶって、このことだな」 「使い方違うちがうだろ、つうか達は要らないから」 「でも微妙に合ってるし」 「だろ!!俺にとってお前らは友だろうが」 笑顔になるF4。 「家のヘリ使っていいから、早く行ってこい」 「おぅ」 自殺の名所らしき所にやってきたおじさんを止めようとするつくし。 「関係ないだろう!!放っといてくれ!!私がどうなろうと、君には関係ないだろう!!」 「関係ないよ!!関係ないけど気分悪いっつうの!!おじさんは飛び降りたら、はい、終わりかもしれないけど、間近でそんなもん見せられた人間の気持ち、どうなんのよ!?おじさん、あたしのこれからの人生、苦しめたいの!?もう充分苦しんでんのに、これ以上、あたしを苦しめたいわけ!?大体そんな綺麗な格好して、家よりずっといい暮らししてんでしょ。毎日毎日毎日毎日、わかめしか食卓に乗らない家族の気持ち、おじさんには解かんないでしょ!?」 「は」 「何笑ってんのよ!!」 「君ん家は、そんなに貧乏なのか」 「悪いけど、家は日本一の貧乏ですよ!!文句ありますか!?」 「はっはっはっはっはっは…」 おじさんもつくしも笑い出す。 司はへリポートから早速借りた携帯で進に電話しています。 「おう弟か!!お前、今どこに住んでんだよ。姉ちゃん一緒だろ。今からお前らのとこに飛んでいくからよ」 借りた自家用ヘリで飛んでいく司。 自殺しようとしていたおじさんはコンピュータの部品を作っている小さい会社の社長で、会社で開発した部品を売り込みに行っても、全く相手にされな買ったと言う。 正規の大発明だというのに、世の中馬鹿野郎ばっかりだというおじさん。 「でも、その製品を愛するように、相手の人も愛してあげると何か変わるんじゃないかな」 「相手の人も愛する?」 「家のパパっていい加減で、だらしなくて、会社も首になっちゃって娘ながら情けないなあって思うこと沢山あるけど、でも凄いなあって思うことが一つだけあって。パパは、絶対、人の悪口を言わないんです。いつも人には、ありがとうっていう気持ちを持ってて。だからダメダメなパパだけど、あたしは大好きなんです。ありがとうって言葉は、魔法の言葉なんじゃないかなあって思うんです」 「つくしちゃん、おじさん、もう一度、やり直してみようかな」 「そうだよ!!社長なんだから!!頑張んないと」 「ありがとう」 つくしが漁村に戻るとそこでは宴会が始まっていた。 「何これ!?どういうこと?」 「道明寺さんがやってくるって聞いて、漁村の人達大集合して宴会始めちゃった」 「ちょっと待ってよ!!何で道明寺がここに来んのよ!?」 「迎えに来たんだよ」 「へ!?…道明寺…」 村人達は大騒ぎを始める。 「あんた、牧野さんの娘さんと、お付き合いしてんのか?」 「牧野が許してくれるなら、俺はそうしたい」 「道明寺…」 「でも、俺は道明寺財閥とは縁を切った人間なんだよ」 「何だとー!?」 「惚れた女を迎えに来た、ただの男ですから。牧野、ケンは生きてた。ケンの自殺は、ババアの仕組んだでっち上げだった。もう道明寺財閥なんかに未練なんかねえ。今の俺には何もねえけど、それでも俺はお前と一緒にいてえ。付いて来てくれ」 司が差し出した手をつくしもその手を掴もうするが、話が違うと、詰め寄ってきた村人に囲まれてしまう。 それを止めようとした進が突き飛ばされ、転落しそうになったのを助けようとした司も一緒に転落してしまう。 「道明寺!!」 病院に運ばれた司は何とか一命を取りとめる。 司のもとに、つくし、類、総二郎、あきらがお見舞いにやってくる。 だが、司は部分的な記憶障害を起こし、何故かつくしのことだけ完全に忘れてしまっていた。 「何で、あたしだけ!?ありえないつうの!!」 つくしは病院でぶつかったことから中島海という女の子と出会う。 初めて出会った制服姿でもう一度司の病室を訪れるつくしだったが、リアクションがなかった。 「ま、別の作戦考えようか」 喉が渇いたつくしは水を飲んだ。 明るい性格で患者仲間の中でも人気の海と仲良くなっていくつくし。 「あのさ、気難しい患者さんとかもいるでしょ?そういう人にはどうやって接するの?」 「そういうこと、あんまり深く考えないで気軽に話しかけるだけかな…。海も自分じゃよく解んないや」 「そっか」 そこに司が壁伝いに歩いてやってくる。 海は看護士が噂してた人かもと司に近づいて話しかける。 そして、こけそうになった司を支える海。 「歩けないならきちんと松葉杖使わないと。転んだりして他の所怪我したらどうすんの!?」 「うるせえ。何だよ、お前。うぜえんだよ」 「あのね、うざくても危ないものは危ないんだよ!!あなたがどんなに有名人でもあたしには関係ないし、病院では病人は平等なの!!解った!?」 海と司は接近していく。 海とは楽しげに話す司もつくしがやって来ると不機嫌になってしまう。 三人で屋上に行くことになるが、海と司は手を繋いで屋上へと向かう…。 司に思い出してもらえないつくしは気が気ではない。 「思い出せねえことがあんだよ。医者の話だと記憶障害なんだと。例えば、ここの土地に来たことは覚えてる。でも、何の為に来たのかが思い出せねえ。すげぇ大事なことのような気がすんだけど」 「誰かに会いに来たとか?」 「誰かに、会いに?俺は誰に会いに来たんだ…!?」 「それは…」 「誰でもいいじゃん。会いに来たのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。無理に思い出そうとしなくてもいいんじゃないかな?沢山お友達いるみたいだし、新しい出会いもこれから沢山あるんだよ。埋めていけばいいんだよ、忘れてることは。人生のリセットだと思ってさ」 「人生のリセット?」 「思い出せないってことは案外大したことじゃないかもしれないし、思い出そう思い出そうって必死になると大切なことかもって勘違いしちゃうんじゃない?」 「諦めないでよ…思い出すこと諦めないで」 「俺…」 「止めて。そういうのが患者さんにとっては一番プレッシャーになっちゃうんだよ、つくしちゃん」 「あ、ごめん…。そうだよね」 屋上から戻ってきたつくしにF4メンバーが話しかける。 「何なんだ!?あの女。わけ解んねえ」 「そういう言い方よくないよ。つくしちゃんだって心配してるんだから」 「あいつ、お前のダチか?」 「まぁ、ね」 「あの女に近寄るなって言っとけよ」 「うん、解った」 そこにF4メンバーがやってくる。 「どう?何か思い出した?」 「今もその話してたんだけど、無理に思い出さない方が…」 「部外者は黙っててくれないかな。俺は司の話してんだよ。消えてくれない?目障りなんだよね。牧野の気持ち考えろよ!!あいつが今、どんな想いで毎日ここに通ってるか、どれだけ牧野が傷ついてるか」 海はつくしに司が思い出せないのがつくしのことなのか訊ねる。 「そう、あたしのこと」 「二人は付き合ってたんだよね?彼氏入院中とか言ってたもんね」 「あ、いや」 「ごめんね、そんなこととは知らずに」 「あたしもハッキリ言わなかったから…」 「でも…。これからも海、協力するよ。司君の記憶が戻るように色々頑張ってみる。今の司君ね、何気に海に心開いてるし、突破口になると思うんだ」 つくしは進にお見舞い行くなら美味しいものでも作ってあげたらと言われ、クッキーを作ることにする。 そして、司の枕元にクッキーを置いていく。 眠っている司の顔の上にペンダントを垂らして催眠術をかけるように唱える。 「思い出せ~牧野つくし~思い出せ。牧野つくし牧野つくし思い出せ~」 目覚めた司はクッキーを見つけ、一口齧る。 「恋の味がした。このクッキー…俺が忘れている人ってもしかしてお前なのか?俺達付き合ってたのか?これ、お前が作ってきたんだよな?」 海は微笑み、司にキスするのだった。 つくしは落とした土星のネックレスを拾い、土を払っていた。 第10話完 |