中秋の名月と満月~ひとひらのことば(その7)
数年ぶりにかく記事です。ひとひらのことばシリーズを最初に書いたのが2007年の春のお彼岸のシーズンでした。ちょうど今は2010年の秋のお彼岸。ただ今日書くのはお彼岸の話ではなく、「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」について。ことしはちょうど昨夜(9月22日の夜)がいわゆる「中秋の名月」でした。じゃあその「中秋」ってなんでしょう。まだ秋がはじまったばかりなのに、もう「中」って。実はここででてくる「秋」というのは旧暦(きゅうれき)で考えた季節のこと。昔は旧暦の1月~3月を「春」旧暦の4月~6月を「夏」旧暦の7月~9月を「秋」旧暦の10月~12月を「冬」としていました。今でも詩歌の世界ではこのように考える場合も多いです。(俳句の季語など)そして7~9月の秋で、なかごろの8月を「仲秋(ちゅうしゅう)」と呼びます。(「中秋」とは「ちゅう」の字が違います。)さらにそのど真ん中の旧暦8月15日を秋のど真ん中ということで「中秋」といいます。その旧暦8月15日の夜に見る月を、昔の人は愛し「中秋の名月」とよんでいました。ただ旧暦の周期は30日ですが、月の満ち欠けの周期と誤差があるために、「満月」になる日は月によって15日から多少前後します。その満月になる日は今月(旧暦8月)は16日(9月23日の夜)です。ですので今年の中秋の名月は「満月」ではありませんでした。とはいえ昔から中秋の前後の月を楽しむのが月見でしたから、そんなに厳格に昨夜の月でなければダメというわけではないでしょう。そもそもなぜ、「中秋の名月」としてこの時期に月見を楽しむかといえば、おそらく暑さも終わり、ちょうど夕方ごろから夜にかけて涼しく、月を眺めるのにいい気候だったからではないかと思います。理科を勉強していればわかりますが、「満月」はなぜ「満月」になるのかといえば、その180度反対に太陽があるからです。だから「満月」は必ず日没とともに東の空にあらわれます。そういえば、名作漫画「ドラえもん」にて「さよならドラえもん」という回で、のび太くんが夜寝付けなくて公園にいると、寝ぼけてさまよっているジャイアンと遭遇し、けんかになるというシーンがあります。そのシーンで家の屋根のすぐ上あたりに「満月」が描かれています。ということはその時間は、日没直後(19時ごろ?)か日の出直前(6時ごろ?)になるのですがけんかをしている最中に朝にならないということは、日没直後。ジャイアンは実はもう日没直後には寝ぼけていたということになります。