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カテゴリ:読んだ本
作者:横山秀夫 横山秀夫の作品はけっこう好きで、特に警察関係の話とか好きで、今回もそういう事件性の話かと思っていたら全然違った。 ちょうど先日、テレビでもやったのよね。数年前に映画化されていたんだわ。 学徒出陣した大学生が人間魚雷となって特攻することになる話。国民学校で「お国のために」と純粋培養されている弟と違って、戦争について考え、特攻について考える。自分の夢とか好きな女性とか、そういう悩みは今の若者と一緒。でもそれを語ることは許されず、決められた道を進むしかない。そんな中でもかつての甲子園優勝投手だった彼はある夢(というか目標)を捨てず、最後の最後まで、日の目をみることのない目標に向かって努力を続ける。それが彼自身の心の中でのけじめであり、「己の戦争」への決着だったりする。 今になって検証すると、荒唐無稽な作戦だったり、時代錯誤の戦艦だったり、精神論だけでの邁進だったりするあの戦争。心の中ではみんないろんなことを考えていても、誰も口には出せず、お国のために与えられたことこなしている。 私は仕事柄、当時のニュース映画をたくさん見た。「大本営発表」の事実が隠されたプロパガンダ。あのまやかしの中に封じ込められたたくさんの本音は、こうして戦後何十年もたったからこそ、作品になり、人々の中にしみこんでいくのだろう。「硫黄島からの手紙」もしかり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年09月22日 17時52分43秒
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