2006/03/26(日)17:52
ヘルレイザー/リターン・オブ・ナイトメア
ホラー映画とおとぎ話の共通点というのが昔から気になっておるのです。
例えば、親に捨てられた兄妹が、この世にはありえないもの(おかしの家)を発見し、魔法使いと出会い、打ち負かしてお宝を持って親元に帰る話。
作り方によっては立派なホラーになりそうです。
おばあさんに化けた狼に食べられる話なんてのは、もう言うまでもなくホラーです。笑。足りないのは残虐シーンの克明な描写のみ、って感じじゃないですか? 笑
こんなふうに、とりいそぎ結論だけ言うと、ホラーは現代のおとぎ話だ、と思うわけなんですが、では現代のおとぎ話には何が描かれてるかというとですね。。人の心の闇であったり、病んだ心の構造だったりするのだと思うのですよ。
つまり人の心の闇の部分に光を当てること。獣性とでもいえる部分を描くこと。このあたりに醍醐味があると思うのです。
だから闇とか獣性とかを見たくないときはホラーに興味がわきません。
というか、世の中にホラー映画というジャンルがあること自体、忘れております。
で、このところしばらくホラーから遠ざかっていたのですが、ヘルレイザー・シリーズがレンタル屋さんで目にとまり、思わず借りてしまいました。
でもですね。。話の流れをブチ壊すようなことを言わせて頂くと、別にホラーを見たい気分だったわけではないのです。。汗
ジャンルを超えた傑作であるヘルレイザーの1と2に対する敬意というか。。笑
3があまりにも普通だったんで、もう見なくてええやろうとは思ってたんですが、1と2に敬意を表してお付き合いしておこうか、というような。笑。
そんな感じでありました。
若い頃は平気で見れた残虐シーンも、今ではちと目をそむけてしまいますしね。。笑
歳とったなぁ、て、感じる瞬間だったりします。笑
ヘルレイザー・シリーズの構成を知らない方がほとんどでしょうから、ちと説明致しますと、シリーズ通して出てくるのは、ピンヘッドと呼ばれる魔道士です。詳しいことは忘れましたが、この魔道士を召喚するための道具があり、それはルービック・キューブほどの大きさの立方体のパズル箱なのです。そのパズル式の箱を(意図的にであれ、意図せずであれ)開けてしまうと、ピンヘッドが現われ、「(お前がほしいのは)苦痛か? 快楽か?」なんてことを問われるはめになります。
うろ覚えですが、どちらを選んでも代償として魂を地獄に持っていかれたんではないかと思います。このあたりの徹底した非情さがピンヘッドというキャラクターの魅力です。絶対的な力を持つこの非情さの下で繰り広げられる人間模様、というのがヘルレイザー・シリーズの基本構造ですが、これって聖書の物語の構造と似てますよね。ヤハウエには慈悲の心があるようですが、ピンヘッドにはない、というところが違ってますけど。
シリーズ構成は、1と2は主人公が同じで完全な連作です。3は主人公は変わるのですが、ピンヘッドの過去が明らかになり、いちおうこれが連作の完結編とされているようです。
4以降は外伝という位置づけでして、それぞれが1本で完結しています(現在は8まで出てます)。
今回私が観た6は、連作である1,2の主人公の後日譚でした。
1,2には遠く及ばない普通の映画でしたけれど、1,2に対する敬意を払って製作されてたのは感じられました。そのあたりは好感が持てました。
ピンヘッドが徹底した非情さを見せる一方で、快楽にのめり込む人間の姿、欲に溺れる姿が描かれます。つまるところ、「徹底した行為」、「行くところまで行ってしまった人の姿」の描写というのがこのシリーズの見せ場であり、その意味では6もそこそこいいところ行ってた気がします。
ただちょっともって回りすぎ、ひねくりすぎ、て気がしました。
ゆえにエビは5尾かなぁ。(10尾満点)