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システムエンジニアの晴耕雨読

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ケプナー・トリゴー法について




新・管理者の判断力

ケプナー・トリゴー法・・基本書として「新・管理者の判断力」があり、
また、2~3日の研修がありますが、
以下、栗本慎一郎さん『縄文式頭脳革命』(残念ながら、現在絶版)に、
面白く要約されているので引用します。

***

 アメリカの経営学者でコンサルタントでもあった人たちに、
チャールズ・ケプナーとベンジャミン・トリゴーという二人がいた。
 彼らは、この世の中で「優秀」と言われている人には、なにかはっき
りと「凡人」とは違うところがあるのに気づいた。もちろん、発想法や
思考法における違いである。
 優秀といわれる人たちは、どこかがはっきりと、しかも系統だって普
通の人とは違うのである。だから、優秀な人間は、なんとなくお互いを
知るということも起きる。
 そこで何が違うか。彼ら二人は、誰からも優秀な管理職と見なされて
いる二千人を対象にして調査をした。そして、結果を次のようにまとめた。

 いかにも、体を使って考えるアメリカ人の面目躍如だ。
そういうやりかたが面白いではないか。
妙な先入観にとらわれない知的パワー、そんなものを日本の学者は感じるであろう。
ケプナーもトリゴーも、間違いなく優秀な人たちである。

 ケプナーがK、トリゴーがT。この二つの頭文字をとってKT法というのが、
その考察に基づいた、優秀な人の思考法はどういうものかという理解であり、
かつその優秀な人のやり方を学んで新たに優秀な人を作り出す方法である。
 なかなか考えさせるし、面白いので、ここで紹介しよう。

 で、ともかくこういうことだ。優秀な人たちは、問題を解決できる。
そうだ。
そこが、ただぶつぶつ言っているだけで、なにも解決にいたらない
「凡人」と一番違ってくる点だ。
だが、問題を解決するには、言うまでもなく、まず問題に取り組まねばならぬ。
当たり前だ。
 優れたと言われる人たちには、その取り組みかたに四つの特徴がある。
と言うより、四つのどれかに当たるやりかたで彼らは問題にぶつかる。

 それを私(栗本のこと)の言葉でまとめてお伝えする。
 -細かくは、『新・管理者の判断力』(産業能率短期大学出版部)を
読んでもらえばよいのである。しかし、私のまとめかたを信用しなさい。
そのほうが、分かりやすいのだから。
 でも、『新・管理者の判断力』はとても良い本である。
企業内教育の関係のかたには、ご推薦をしておく。
もっとも、ケプナーとトリゴーが研究して開発した「人を優秀にさせる法」
は、すでに一流企業ではかなり知られているし、実際に使われているもいるから、
いまさら宣伝は不要と思われる。

 さて、四つとは、次のとおりだ。

 まずキイポイントは、優秀な人は、なんと、いきなり問題そのものに
はぶつからない人だということである。

これは、先に、視野を広げるためには視野をせばめよという、
一見、逆説的なことを言ったのとあい通じるところがあるではないか。
なかなか興味深い一致である。

 そして、優秀な人は次のどれかのアプローチをまず採用するという。

 1、まず、何が問題となっているのかを見ようとする。つまり、問題
   がそこにあるのは誰にもよく分かっているが、それが何かをつき
   とめるようにすることだ。
 2、なぜそこに問題があるのか、を考えようとする。
 3、どのようにしたら、解決できるか、その方向を考える。あるいは、
   少なくとも軽減を考える。
 4、もし、その問題が解決されるとしたらどういうことになるのか、
   を考える。もちろん、解決方法も考える。

 ということだ。こうまとめると、なにか当たり前のようにも感じるだろうか。
 いや、決してそうではない。
もっとも、これは、私が私の言葉でまとめたので、まだしもよいのだが、
原文だと場合によるともっと当たり前ふうに書いてある部分だってあるのだ。
でも、これは決して、凡庸なことを言っているのではないぞ。

 言っていることは要するに、優秀な人は、問題という戦場のなかで、
いきなり白兵戦を始める人ではないということだ。
 いきなり、切った張ったを始めてしまえば、事態はさらに悪くなる。
 また、不思議なことだが、そういうような気短な人にかぎって、
はっきり問題の本質が分かっているときにこそ、逆にもじもじして行動しな
い。
そして、必ず正解の正反対を出すようなことが起きる。
 なぜかと言えば、いきなり切った張ったを始めるのは、じつはしばしば、
問題を怖がっているからなのだ。気が小さくて恐怖心が大きいから、
事態を見つめるのも怖い。それで、とりあえず、最初に気づいたことをやってしまうのである。
 ある意味で、早く負けてしまおうとばかり、負けるほうの手段を
無意識のうちに選択するのである。

 それにしても、無意識と頑固でしっかりしていて、確実なものである。
それをこれまたしっかり取り除いておかなければ、あなたが投手なら、
必ず9回裏2死満塁のピンチに、思わず強打者に内角高めの棒だまを投
げ込むのだ。他人が客観的にそれを見ると、まるでわざとやっているように見えるものだ。
 監督は、「またやりやがって」と、頭にくる。
 それども、そいういうとき、管理者が「駄目だ、そうするな」と言う
だけでは、絶対にその「癖」は直らない。
 そういう管理者は、管理者としては失格である。
自分は、成功ばかり
していて滅多に失敗しなかった大選手が、なかなか優秀な監督になれないのは、
こういうことに無理解だからということが多いものだ。
 まずその無意識を取り除くよう、働きかけねばならない。たとえば、
そのように行動しなくても大丈夫なだけの力があるのだということを
その選手に知らせる必要がある。
そういうケースで、結果としてたまたまヒットを打たれても、
実力いっぱいに投げ込んでいたということが見て取れたら、
しっかり誉める必要もある。
 これは、野球だろうと、会社だろうと、研究室だろうと、同じことである。
 
 こういうことから言えることがある。
 KT法を生かすためには、自分自身の無意識を乗り越えておくことが
要求されるということだ。
 実は、乗り越えるなんて簡単にはできないから、自分自身の無意識の
方向を知っておくことだけでも、ずいぶん、違うのである。
少なくとも、またまた9回裏に棒だまをど真ん中には投げ込まないようになるというわけだ。

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