小林裕「知のノウハウ 成功するものの見方小林裕 「知のノウハウ 成功する『ものの見方・考え方』」 PHP研究所 ★ルールや手法には必ず前提条件がある 「・・ルールや手法には必ず前提条件がある。・・ この前提条件があるということを裏返せば、それを使うことができない状況が あるということだ。つまり、どんな手法にも限界があるということを忘れてはい けない。プロとアマの違いは、さまざまなルールや手法の限界を理解して、それ を使うべき時と所を心得ているか否かというところにある。 マニュアルや過去の蓄積をベースにすることは確かに有効であり、それがなけ れば新たな発展は生まれない。しかし、それにとらわれてはいけない。 マニュアル社会の最大の危機は、自分で考えることのできる人が少なくなって しまうことだ。特にノウハウものに代表されるビジネス書には、その手法の限界 など、ほとんど書かれていない。それどころか、それがすべてだ。それですべて が解決できる位の論調のものが目につく。こうなると宗教と変わらない。それに すがれば救われるのだから。書物の読み方一つにしても注意を要するところだ。」 (p51) ★まず耳を傾けろ 「謙虚さと頭の良さの関係だ。 「いや、それは違うよ」-最初の第一声が、こうした否定の言葉から始まる人が いる。とくに優秀といわれる人にその傾向が強いようだ。 再三述べているように、価値観やものの見方というものは、想像以上に多様な ものだ。また全般をつかんでいるつもりでも、問題のほんの一面しかみていない ことも多い。それだけに、自分が正しいと思いこみ過ぎないことが肝要である。 おかしい、間違っていると思っても、とにかく言い分を聴いてみる、耳を傾ける という姿勢が重要なのだ。情報が入らなければ、的確な判断をすることも難しく なるし、自分の考えに付加価値がついていくこともない。 どんなに博識であろうと一人が持っている情報の量や知識の量はたかが知れて いる。自分が絶対に正しいと信じていることも、それは自分の持っている情報や 知識の範囲内での判断だ。もし、まったく別の情報が入ってくれば、考え方は 180度変わってしまうかもしれない。自分の価値観や見方だけで即断すること の恐ろしさはここにある。 自分が正しいと信じることは重要だが、自分だけが正しいと考え、反対意見を 無視することは、貴重な異質の情報に門前払いを食わせるようなものだ。 「森羅万象これすべて我が師なり」という言葉の通り、あらゆる事象に謙虚さを もって接する姿勢が必要だ。謙虚であれということは単に人間としての美徳の観 点から言っているのではない。 謙虚でなければ入ってくる情報にバイアスがかかり、情報量が減る。これが大 きなポイントである。こちらが何か言えばすぐ反論する。一を言えば十返ってく る、というのでは、話すのも面倒になるのは当然の成り行きと言えよう。」 (p70~72) ★知っておきたい読書のコツ (1)読みにくいハードな書物は、楽な本と並行して読め (2)腹を立てながら読むな 「・・だいたい、千五百円か二千円で、一つか二つでもメモすべきことがあった ら御の字ではなかろうか。」 (3)本には願望を書く傾向があると知れ 「我々はどうも活字に弱いようだ。身近な人が同じことを言っても信用しないの に、書籍等に書かれていることは無批判に受け入れる傾向があるので、注意しな ければならない。 実際に本を書いてみると分かるのだが、自分でこうあるべきだ、こうあって欲 しいと考えている事柄には、思い入れが強くなりがちである。したがって、真面 目な信頼のおける著者であっても、時には割り引いて読んだ方が良いことがある。 特に、自分が主張する手法や理論ですべてが解決するような書き方をしている 書物には気をつけた方が良い。事例があるともっともらしく見えるが、それらの 正反対の事例をあげようと思えばいくらでもあるものだ。 それだけに、手法や考え方の限界や前提条件を明確に述べている書物は良い本 と考えて良いだろう。」 (p146~148) ジャンル別一覧
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