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浅田次郎「初湯千両―天切り松 闇がたり」第三巻 収められている6編、どの話もいいのですが、 とりわけ「大楠公の太刀」が、素晴らしい!!! 黄不動の栄治の幼馴染の女性が不治の病になる。 彼女のために、天皇が軍刀にしていた刀を盗み出す。 宮内庁の責任者も兼ねていた森鴎外まで登場して「宝物展」を開くという 名目で、宮城から刀を持ち出す段取りをしてもらう・・ けれども、さすがの栄治もしり込みする。そこで、 親分の目細の安吉はこう言う。 「日本中の目利きをみごと欺(だま)くらかしたって、小龍てえその芸者だけは欺しちゃならねえ。 やい黄不動。てめえも天下の職人なら、横着な仕事はするな。 男だったら筋の通らん嘘はつくんじゃねえ。 たとえ空っ穴だろうが酔いどれのろくでなしだろうが、通さずばならねえ筋さえ通して生きれァ、 男は男なんだぜ」 と。 登場する森鴎外も、重い病気を押して、最後のご奉公中。 目細の安吉から、「・・くれぐれもご無理をなさいませんよう」と声をかけられ、 鴎外曰く、 「無理をするな、か・・・その忠告を生涯何度耳にしたことか。 真に受けてまったく無理をせぬは輩(やから)が多いのには困りものだな」 一本取られました! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.01.25 23:04:47
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