システムエンジニアの晴耕雨読

2007/05/09(水)22:34

プラトン「パルメニデス イデアについて」

プラトン「パルメニデス イデアについて」  訳は、田中 美知太郎 。  プラトン全集4巻「パルメニデス ピレボス」より。    パルメニデス・・・   「あるものはある、あらぬものはあらぬ」として、「あらぬ」=「無」を否定。   世界の多様性は見せかけであり、われわれの目の前に現れる   現象の背後には真の存在者「一なるもの」 のみが「ある」とした。  ゼノン・・・   「アクレウスは亀に追いつけない」「飛んでいる矢は止まっている」等の   パラドックスで有名。  物語は、   パルメニデス 65歳、   パルメニデスの弟子・ゼノン 40歳   ソクラテス  20歳頃  の設定。  当然、プラトンの生まれる前のお話。  ゼノンがアテナイで、新論文のお披露目の朗読会を開く。  ゼノンの先生パルメニデスも同席している。  朗読を聴き終えたソクラテスが、ゼノンに質問するところから始まります。  副題にあるとおり、  前半は、「イデア」の存在をソクラテスが、パルメニデスから  一生懸命引き出そうとします。  「・・これらの形相は、ちょうどお手本(原型)のようなものとして、   自然のうちに不動のあり方をするものの、   複写物(同じように似せてつくられたもの)としてあるのだということです。   そしてこの限りにおいて、形相に対する他の事物の分有(共有)関係というのは、   他の事物が形相に似たあり方をさせられる(似せられる)ということに   ほかならないということになるのです。」    でも、パルメニデスの方が、年の功もあり、うわ手に描かれています。  「・・もし形相が、そうあらねばならぬとわれわれが主張するような性質のものだとすると、   それは知ることのできない(不可知の)ものだということが当然の結果として出てくる・・」   形相を不可知とする立場を固執する相手は、容易に納得しないだろう、   とイデアを前提した場合のアポリアー(行きづまり)を指摘する。  ただ、ソクラテスも簡単に納得しない。  なぜそうなるのか、と重ねて問う。  そこで、物語の後半、  パルメニデスが問答法の先生になった対話がはじまる。  でも、ここでの議論、  解説に整理されていますが、  イ.部分と全体、終始、限、形態、あり場所、動と静  ロ.同と異、類似と不類似、等と不等、大と小  ハ.年長と年下、同年、時間、有(う・ある)、知識、名、思いなし、感覚  の分類と、その組み合わせを使って、  「一」と「一以外」「多」等の存在について議論しているのですが、  このケースなり場合分けの列記が、順序だてた議論に思えず、  また、網羅的なのかわからず、  最後の落としどころがあるようにも見えず、  ちょっとつらい。  途中、イデアの例として、「ものが異なるのには、異なるということそのことがなければ  ならず、その<異>によってはじめて「異なる」という考えがでてくるが、    こういう考え方、全然馴染みません。  プラトンの中期の作品と思っていましたが、  解説読むと、後期の最初の作品とのこと。  初期・中期の楽しげな話との落差を感じた瞬間でした。

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