システムエンジニアの晴耕雨読

2009/05/26(火)23:43

アーロン・アントノフスキー「健康の謎を解く―ストレス対処と健康保持のメカニズム」

メンタルヘルス、モチベーション(163)

健康の謎を解く アーロン・アントノフスキー「健康の謎を解く―ストレス対処と健康保持のメカニズム」 訳は、山崎 喜比古&吉井 清子  健康を、病理志向ではなく、  健康志向で解明しようとする試み。  病理志向は、死や疾病から病人を回復するべく治療に焦点を当てる。    健康志向では、健康維持に資源を投じ、予防するほうが効率的であるとの立場をとる。  究極のストレス環境・・ナチスの強制収容所からの生還者に共通する特徴・・は、    首尾一貫感覚(sense of coherence :SOC)であった。  SOCとは、「人に浸みわたった、ダイナミックではあるが持続的な確信、  すなわち、自分の内的・外的な環境が予測可能であり、また、ものごとが適度に  予測されるばかりか、うまく運ぶ公算も大きいという確信の程度によって表現される、  世界(生活世界)規模の志向性のことである」と定義される。  SOCの概念は3つの構成要素・・  ・把握可能性(comprehensibility)  ・処理可能性(manageability)  ・有意味性(meaningfulness)  の感覚から成り立つ。    把握可能性とは、「人が内的環境および外的環境からの刺激に直面したとき、その刺激を  どの程度認知的に理解できるものとして捉えているかということである。・・  把握可能感の高い人は、将来出会うことになる刺激が予測できるものと考えている。  少なくとも、たとえそれらが突然にあらわれたとしても、秩序だった説明がつくものと    考えている。」  処理可能性とは、「人に降りそそぐ刺激にみあう十分な資源を自分が自由に使えると  感じている程度と定義した。「慈雨bんが自由に使える」とは、自分の統御(コントロール)  下にある資源や、その人が頼れると感じて信頼している正当な他者(legitimate others)    -配偶者、友人、同僚、神、歴史、集団の指導者、医者などーによって統御されていると  いってよかろう。  高い処理可能感をもっているかぎり、自分が出来事の犠牲になっているとは感じないだろうし、  人生は自分に不公平だとも思わないであろう。  人生には困難なことが起こるものだが、それらが起こったとしても、  そういう人は、対処することができ、いつまでも悲嘆にくれたりはしないだろう。」  有意味感とは、「人が人生を意味あると感じている程度、つまり、生きていることによって  生じる問題や要求の、少なくともいくつかは、エネルギーを投入するに値し、  かかわる価値があり、ないほうがずっとよいと思う重荷というより歓迎すべき挑戦である  と感じている程度のことである。  ・・不幸な経験が課されたときにも、その人はその挑戦をすすんで受けとめ、  それに意味を見いだそうと決心し、尊厳をもってそれに打ち勝つために最善を尽くす  だろうということである。」      再び、SOCとは、「その人に浸みわたった、ダイナミックではあるが持続する確信の感覚によって  表現される世界(生活世界)規模の志向性のことである。  それは、第1に、自分の内外で生じる環境刺激は、秩序づけられた、予測と説明が可能なもの  であるという確信、  第2に、その刺激がもたらす要求に対応するための資源はいつでも得られるという確信、  第3に、そうした要求は挑戦であり、心身を投入しかかわるに値するという確信から成る。」 <目次> 1章 健康・病気の新しい見方のために 2章 「首尾一貫感覚SOC」とは何か 3章 SOC概念と他の健康観の類似性 4章 SOC概念の測定:新しいスケール 5章 SOCは生涯どのように発達するか 6章 対処の成功と健康への道 7章 今後解明されるべき問題

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