システムエンジニアの晴耕雨読

指導力革命 価格：1,937円（税込、送料別）

ロバート・ケリー「指導力革命―リーダーシップからフォロワーシップへ」

訳は、牧野昇

プレジデント社

１９９３年刊


　フォロワ―（人に仕える身）とはどういうことなのか？

　いかにして、より良いフォロワ―になるか？
　
　について述べた本。


○リーダーとフォロワ―に関する、驚くべき事実

　・ほとんどの組織において、その成功に対するリーダーの平均貢献度は２０パーセントにすぎない
　・フォロワ―は、残りの８０パーセントの鍵を握っている
　・圧倒的多数は、フォロワ―として働いている
　　私たちは、一生涯の７０～９０％をフォロワ―として過ごしている。

　リーダーシップ以上に、フォロワ―シップの研究が必要とされている。
　でも、皆無に近い。

　一握りのリーダーへの依存は、人間が本来持っている能力を奪い取る。
　誤ったリーダーシップの神話は、改められなければならない。
　

「リーダーとはフォロワ―を引きつけ、はなさないでおくことのできる人物である」

　フォロワ―がいなければ、リーダーシップは意味がないし、
　リーダーも存在しない。

　全員が誰かのフォロワ―である以上、フォロワ―の得る・得ないは問題にならない。
　私たちは、有能なフォロワ―と無能なフォロワ―を区別して、
　強い模範的なフォロワ―を生み出していく必要がある。

　
　フォロワ―は、貢献力と批判力の２つの軸によって、５つのタイプに分けられる。

　貢献力が高いとは、組織の活動に積極的にコミットしようとする姿勢がある。
　一方、貢献力が低いとは、消極的・受け身の姿勢である。
　批判力が高いとは、組織や上司の価値観に対して、建設的に批判をする姿勢であり、
　一方、批判力が低いとは、無批判・依存的な姿勢である。


　貢献力が低く、批判力は高い　　孤立型フォロワ―

　貢献力が高く、批判力は低い　　順応型フォロワ―

　貢献力は中位、批判力も中位　　実務型フォロワ―

　貢献力が低く、批判力も低い　　消極的フォロワ―

　貢献力が高く、批判力も高い　　模範的フォロワ―
　

　孤立型フォロワ―の特徴は、「自立した考えを持つ一匹狼」や「組織の良心である」といった
　自己イメージを持っているケースが多いが、他人からは、「問題児・シニカル・ネガティブ」「不満分子」「頑固で判断力に欠ける」「チームプレイヤー向きではない」と見られている。
　
　順応型フォロワ―の特徴は、「気安く仕事を引き受け、喜んでこなす」「チームプレイヤーだ」
　「リーダーや組織を信頼し、身をゆだねている」という自己イメージを持っているが、
　他人からは、「自分の意見に欠ける」「こびへつらい自分を卑下する」人と思われており、
　摩擦を恐れるために、本当は断りたいことも、「ノ―」と言えない人になっている。


　実務型フォロワ―の特徴は、「仕事を遂行するために、組織をどう動かしたらいいか
　承知している」「バランスのとれた見方をする」という自己イメージを持っているが、
　他人からは、「まあまあの情熱、月並みな手腕で業務をこなす」「危険を嫌う。
　失敗したときの逃げ道を用意している」と思われている。

　
　消極的フォロワ―の特徴は、「リーダーの判断や考えに頼るべきだ」「上司が指示を出したときだけ行動を起こすべきだ」
　と思っているが、他人からは、「勤務時間に仕事に来ているだけで、何もしていない」
　「ノルマをこなしていない」と思われている。


　模範的フォロワ―は、独自の批判的思考（クリティカル・シンキング）を持ち、
　リーダーやグループを見極め、自主的に行動することのできる人である。
　「知力を含む、あらゆる才能を組織やリーダーに捧げている。ときにはリーダーの
　　職務を補い、またあるときにはリーダーの困難な仕事を引き受けたりもする。」

　「クリティカル・パスの立場から見て、この仕事はどうだろうか？」と自問する
　習慣が身についている人である。



　孤立型フォロワ―が、模範的フォロワ―になるには、貢献力のネガティブな面を
　克服し、改めて前向きに仕事に従事するようになることである。


　順応型フォロワ―は、批判的思考を身につける訓練を
　積むことで、模範的フォロワ―となり得る。ＷＩＮ－ＷＩＮの関係を模索するために
　建設的に対峙、議論することで相手との関係が壊れることはない、と知ることが大切な
　経験となる。

　実務型フォロワ―は、「後悔より安全」の価値観を持っているが、
　自問すべきことは、あなたは生き残るだけで満足か？という問いである。
　実務型は、目標を、より高い目標を持つことで、模範的フォロワ―となり得る。

　消極的フォロワ―は、まずフォロワーシップとは何かを知ること。
　フォローするとは、考えないことでも、消極的でいることでも、スポーツ観戦する
　ようなものではない。それを知ることからはじまる。

　
「最高のフォロワ―は組織を共有地とみなす。
　組織を犠牲にしたり、自分のことだけ考えて仕事という列車にタダ乗りする
　のではなく、組織の中での相互責任ということをわきまえて行動するのだ。」


「いろいろな点で、フォロワ―はリーダーの目、耳の役割を果たしている。」



＜目次＞
プロローグ 警告「リーダーシップが危ない」
1章 人々がリードすれば、リーダーは従う
2章 21世紀の組織の盛衰を分かつもの
3章 なぜフォロワーの道を選ぶのか?
4章 人は何に満足するのか?
5章 あなたは、どのタイプのフォロワー?
6章 模範的フォロワーは、ここが違う
7章 人間関係がフォロワーを育てる
8章 リーダーに「ノー」が言えるか?
9章 勇気ある良心を発揮するための10のステップ
10章 模範的フォロワーから見たリーダーシップ
エピローグ フォロワーシップのフロンティアへ