カテゴリ:日本史・世界史
トマス・プラッター「放浪学生プラッターの手記―スイスのルネサンス人」 訳 阿部謹也 平凡社 1985年刊 1499年、スイス生まれのトマス・プラッターの自伝。 1572年1月28日から、16日間で書かれたもの。 貧しい家に生まれ、幼くして父は亡くなり、母は再婚し町を出る。 そのため、プラッターは、6歳で山羊番として働くが、何度か死ぬ目に遭います。 その後、放浪するひよっ子となる。 ひよっ子は、乞食をして食べ物をもらうが、みな学生に召し上げられた。 面白いのが、校長は生徒にしようとするが、それを断り、 学校の床の上で眠り、放浪を続けたこと。 それでも、チューリッヒで貧乏生活を送っていた時、 ある家に家庭教師として雇われ、食事をごちそうになるようになる。 この機会に、ラテン語、ギリシャ語、ヘブライ語を同時に学ぶ。 この時の猛勉強ぶりがすごい。 ≪ほとんど眠らずに夜を過ごすことも多く、 睡魔と戦うために大変な苦労をした。 しばしば冷たい水を口に含み、生の蕪や砂を口に含んで、 万一眠りこんでも砂が口の中でザラザラしてすぐに目が覚めるように しておいた。≫ こんなプラッターさんのもとへ、ヘブライ語を学びたいという説教師が教えを請いにきます。 その人の家で、文法書を読み、ヘブライ語の聖書と対照し、一緒に練習します。 そこに、80歳ぐらいでヘブライ語を学びたいという老人がきたので、 教えに行ったといいます。 これが16世紀の話とは正直驚きでした。 ≪私の出身身分は大変低いにもかかわらず、 神は名誉を与えてくださり、この有名な町バーゼルで大学の外の ギムナジウムを31年間にわたって統率し、そこで多くの高位の 人びとの指定を教育し、多くの博士や学者、所領の領民や所領を 支配する貴族の子弟や裁判所の判事や市参事会員となった者たちを 育てたのである。≫ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.12.31 10:44:46
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