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システムエンジニアの晴耕雨読

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2013.04.06
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カテゴリ:将棋


米長邦雄「われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る」

中央公論新社

2012年刊



 今日は、電王戦、第三戦目。
 
 「船江恒平五段 vs ツツカナ」

 今日は天気も大荒れ模様ということだったので、朝9時からニコ動に入室中(^_^;)


 




 先週の土曜日、ついに、現役棋士がコンピュータ将棋に負けました。

 本書は、昨年、引退棋士として、はじめてコンピュータ将棋に負けた米長さんの敗戦記。

 すでに、プロ棋士の平均棋力より、コンピュータ将棋の平均棋力の方が上になっている

 ともいわれています。

 
 1秒間に3000万手(昨年のボンクラーズは1800万手)読むコンピュータ将棋と、

 1時間に1000万手しか読めない・・といっても物凄い世界ですが・・人間の戦い。

 プロ棋士の1時間の思考は、コンピュータの0.1秒分に相当する。

 読み手数で勝負しては、F1の車と人間が走って競争するようなものになっている。



 2005年6月、「激指(げきさし)」というソフトが、
 
 アマチュア将棋界の最高峰である第十八回アマチュア竜王戦全国大会に特別参加し、

 いきなり三連勝し、ベスト16になる。この時点で、アマチュアのトップクラスに

 並んだといわれています。


 そして、2006年5月、世界コンピュータ選手権の優勝ソフトであったボナンザと、

 渡辺明竜王が戦う。熱戦の末、渡辺竜王が勝ちましたが、現役最強棋士をここまで

 苦しめたコンピュータ将棋恐るべし、の印象を強めた戦いだった。

 ところで、この後、ボナンザを作った保木邦仁さんは、ボナンザの持つ最強の

 将棋アルゴリズムをオープンソースにします。

 以後のコンピュータ将棋ソフトは、みなボナンザをスタート時点にしてどんどん

 強くなっていった。





 コンピュータ将棋の特徴・・

 答えが1つしかない局面での速さは圧倒的。


 このコンピュータ将棋にどう対峙するか?

 プロ棋士を引退後、9年たった米長さんが、「どうすれば将棋が強くなるか」

 という原点に立ち戻って考えたこと。

 それは、詰将棋を解くことでした。

 アマチュアの初段か二段ぐらいのレベルであれば、人に教わり、参考書から学び、

 何度も実戦を繰り返せばよい。

 でも、プロ棋士になる、タイトルをとるためには、こうした方法論の多くは

 無駄になるだけでなく、むしろ害になる。

 対局場には、アドバイスをしてくれる人もいないし、参考書も持ち込めない。

 自分と将棋盤以外、何もないところで戦う。

≪実際問題として、将棋盤の前で必要ななのは、目から入ってくる情報、

 耳から入る情報ではなく、自分の頭の中の思考だけなのです。

 外から入ってくる情報すべてを捨て去って、自分の頭だけで考える能力。

 それが、プロ棋士に求められる力なのです。≫

 そして、そのためのトレーニングの一つが、詰将棋を解く、ということ。

 決して答えは見ない。答えを見ると、「自分の力で解けた」と錯覚してしまう。

 自分の頭で解いてはじめて自分の力となる。

 この究極のアナログ思考が、プロ棋士が将棋を指すことの本質である。

 詰将棋に加えて、体調を整えていくこと。具体的には、体重を適正にするため、

 対局日までに5キロ落とし、体調、体力を万全に持っていくことでした。

 これが、コンピュータ将棋と対峙するにあたっての米長さんの方針でした。



≪職人芸という言葉があります。

 どれほど優れた機械であっても、手作りにはかなわない、ということがある。

 逆にいえば、手作りの尊さを忘れたときに、人間は機械に敗れます。≫

 そのため、米長さんは、詰将棋を一生懸命時、脳に汗をかく、という

 地道なトレーニングを続けた、といいます。




 コンピュータ将棋との戦いは、人間との戦いとはまったく異なる。

 読みが絞られる終盤は、コンピュータ将棋が圧倒的に強くなることを踏まえると、

 「序盤で必ず圧倒的優勢を築き、そのまま逃げ切る」という戦略を立てた。

 米長さんが現役時代にとっていた「泥沼流」という双方が斬り合いをする

 スタイルは、コンピュータ将棋には全く通用しない。

 コンピュータ将棋の方が、自分よりも強いと言うことをわかった上で、対策を立てた。



 それは、

 1秒間に1800万手読むというコンピュータ将棋に対して、

 人間側がコンピュータ将棋以上に手を読むのではなく、

 コンピュータ将棋に手を「読ませない」指し方をすること。


 コンピュータ将棋は、駒の位置などによって点数付けをしているが、

 大局観などを評価するところが弱い。

 コンピュータ将棋の点数は高いが、つまりコンピュータ将棋自身は優位になっている

 と思っているが、人間から見て、大局観的に勝っている状況を作ること。

≪厚みを築き、じっくりと押さえ込んで、相手に何もさせない。≫(羽生善治)

≪相手の定跡データベースを無効にし、お互いの力だけで戦う作戦だ。≫(久米宏・

 インターネット将棋道場「将棋倶楽部24」席主)
 





<目次>
第1章 人間を凌駕しようとするコンピュータ将棋ソフト
第2章 後手6二玉への道
第3章 決戦に向けて
第4章 1月14日、千駄ヶ谷の戦い
第5章 記者会見全文
第6章 コンピュータ対人間、新しい時代の幕開け
第7章 自戦解説
第8章 棋士、そして将棋ソフト開発者の感想





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最終更新日  2013.04.06 13:07:33
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