カテゴリ:書評・読書メモ
松本清張「青のある断層―松本清張短編全集〈02〉」(光文社文庫) 松平忠輝・・徳川家康の十五人の妾の一人、茶阿の局(ちゃあのつぼね)の子供。 この忠輝・・不幸な面貌をしていました。 ≪生まれたばかりの赤ン坊の顔だが、これはひどい。 皮膚の色は赤いというより、どす黒い。眦(まなじり)はさかさまに裂けて、 鬼子のような面相だ。あまりの醜怪さに、家康は、 (これが、わが子か) と身ぶるいした。≫ そして、長じても、 ≪彼の容貌は誰からも好感はもたれなかったのだ。重鎮も彼に冷淡であった。 彼の顔からうけとる印象が、冷たく、陰気で、どう努力しても、不快で親しめないのである。≫ 本多正純、江藤新平、そして「啾々吟」の主人公など、 みな実力はありながら、愛嬌なく、 力で物事を進めようとするがゆえに、かえって人に疎まれてしまいます。 本作品では、容貌への激しいコンプレックスが描かれていますが、 清張さん自身の自己イメージなんじゃないか、と連想してしまうのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.02.15 07:54:01
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