2016/03/08(火)21:53
松岡正剛「18歳から考える国家と「私」の行方 東巻 セイゴオ先生が語る歴史的現在」
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松岡正剛「18歳から考える国家と「私」の行方 東巻 セイゴオ先生が語る歴史的現在」
春秋社
2015年刊
本書、「国」をめぐる編集力をテーマにしたもの。
日本はどうなのか?
≪日本はインタースコア編集や地政学的戦略を生かしてきたのでしょうか。
古代日本はどうだったのか、中世や江戸時代はどうだったのか。
明治日本はどうだったのか。そして、最近に日本はどうなのか。≫
ロバート・カプラン『地政学の逆襲』によると、
≪戦略アナリストの目で世界を眺めると、21世紀になって各国の駆け引きと
非国家勢力の台頭が激しくまじりあい、
それぞれが地政学的なシナリオ戦略どうしのぶつかりあいになってきたというのです。≫
≪現在の日本はアメリカの地政学的戦略にほぼ閉じ込められた状態で、
新たな編集的展望を考えるしかないのです。≫
ルネ・ジラール『世の初めから隠されていること』で示されたのは、
ルネ・ジラール「世の初めから隠されていること」
ルネ・ジラール「世の初めから隠されていること」その2
「国家というものの本質は暴力である」
そのことを隠すために、国家はいろいろ装ってきた。
その暴力は、AがBを犠牲を強いたことに起因する。
AはBという相手の言い分を封じるために、暴力を用いて犠牲者の口を封じた。
その「世の初めから隠したこと」を国家は引き受けている。
だから、戦争をするしかないのではないか、という仮説を立てた。
ネーション・ステートとは、「戦争ができるみんなの国民国家」を示す。
ジル・ドゥルーズ&フェリックス・ガタリ『アンチ・オイディプス』
「欲望と機械がくっついた状態」を問題にした。
その状態と問題にして説明したことは、
われわれの身体や欲望はもはらサラのままには取り出せない、ということ。
したがって、「自由」もサラではなくなっている。
それらは悉く道具や機械やシステムとぴったりくっついていると言うのです。
われわれは通貨とくっつき、眼鏡とくっつき、コンピュータやケータイとくっついている。
いったんくっついたら、なかなかとれない。
この現象を、「機械状」(マシーヌ、マシニーク)という。
この機会状社会を分析しなければならない。
そして、そうだとしたら、資本主義は「欲望機械」とでもいうべきものになっていると断じた。
幕末・明治維新期の英仏の状況・・
イギリスは、「世界の工場」であり、「世界の銀行」であり、
オーストラリアやブラジルを「わがため」とし、さらに
アフリカを分割して「わがため」にしていた。
フランスは、ナポレオンの甥のルイ・ナポレオン三世がクリミア戦争でロシアを破り、
イタリア統一の際に加担し、オーストリアを破り、サルディニア、サヴィア、ニースを獲得する。
インドシア半島にスペインとともに出兵し、ベトナム南部とカンボジアを植民地とする。
≪これでわかるように、イギリスもフランスも日本が真似るにはあまりにもスケールの大きい
大工事・大博打をしているのです。
明治日本とはスケールが桁ちがいですし、その野望もバカでかい。
作戦も緻密です。
このことは、すでに幕末にイギリス公使パークスやフランス公使ロッシュが、
ほとんど一人で幕府と長州を動かしていたことを見れば、よく実感できるだろうと思います。
相手は一人、日本は100人、1000人です。≫
日清戦争後に出された、ジョンヘイの「門戸開放宣言」・・
「太平洋の突き当たりにある中国と日本を、新たなアメリカのコロンティアにしたい」という宣言だった。
≪日本はあきらかに狙われたのです。≫
<目次>
第1講 歴史的現在と編集力
第2講 「みんな」と国家と資本主義
第3講 プロテスタントとリヴァイアサン
第4講 華夷秩序の中の将軍の国
第5講 ナポレオン・アヘン戦争・国民国家
第6講 なぜ列強は開国を迫るのか
第7講 明治日本とアフリカ分割