カテゴリ:脳科学
東京藝大物語 [ 茂木健一郎 ] 茂木健一郎「東京藝大物語」 講談社 2015年刊 小説もどきですが、茂木さんが、藝大の講義を頼まれて、 学生たちと交流したことを表現するためにも、こういうかたちが自然だったのかもしれません。 つき合ったのは、美術学部の学生たち。 藝大は、二浪三浪四浪が当たり前の世界。 その理由は、油絵科は、30倍、40倍、50倍だから。 一次試験は、両国の国技館で、テーマを与えられて絵を描く。 実に7時間! 二次試験は、上野校地の絵画棟で三日間にわたり、油絵を描く。 教授たちが、デッサンや油絵をずらりと並べて、これがいい、あれがいいと、 順番にとっていく。選ばれれば、合格(^^♪ センター試験は、200点くらいでも受かった人もいる((+_+)) 卒業制作で最優秀の作品は、大学により「買い上げ」となる。 アーティストしての将来有望のお墨付きでもある。 そのため、卒業制作は、学生たちにとって、アーティストになるという「芸術の夢」を ふくらませる、大切な現場となる。 そんな学生たちに向けた、茂木さんのメッセージ・・ 「幸福と、才能は似ているところがありませんか。・・」 「才能が十全に発揮されている状態は、幸福だと言える。 最も高いパフォーマンスを実現しているフロー、ないしはゾーンの状態においては、 人間は限りない幸福を感じるのです。・・」 「一方、人間というものは、根拠もなしに、万能感に浸ってしまうものでもあります。 ダニング=クルーガー効果という言葉を、聞いたことがあるでしょうか? これは、成績下位者の学生の方が、かえって、自分の相対的順位は高いと勘違いし、 逆に、成績上位者は、自分のパフォーマンスについて、控えめな評価しかしないということです。・・」 「まとめれば、幸福には、二種類ある、ということです。 自分の才能を、最大限に発揮している、フロー、ないしはゾーンの幸福。 一方で、自分の足りないところを直視せず、これで大丈夫だと勘違いしてしまう、 偽りの幸福。 みなさんには、ぜひ、前者の幸福を、目指して欲しいと思います。 才能のフルスイングによってしか、到達できない至高の幸福と、 才能を小出しにして、送りバントを繰り返すことで、達成される幸福と。 君たちは、どっちを選ぶのだろう。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.10.30 14:29:37
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