カテゴリ:システム・ソフトウェア
デジタル時代の知識創造 変容する著作権<角川インターネット講座3> (角川学芸出版全集) 監修 長尾真 2015年刊 序章 知識・情報の活用と著作権 長尾さん、1990年代から、懐かしの?!「アリアドネ」、国会図書館等の電子図書館の実験を手掛けられています。 国会図書館の電子化にあたっては、まず著作権法を改正して、国会図書館に限っては 著作権者の許諾なく資料のデジタル化をできるようにした、といいます。 その結果、膨大な数の本が電子化されていますが、 その一方、現在、ラジオやテレビで放送されたものを収集する機関がないこと、 また、ウェブサイトの情報、ブログ、ツイッターなどのデータも収集されていない。 各地に存在する貴重な古文書、絵画、襖絵、彫刻なども、個別にデジタル化されているものもあるが、 国として一括して把握できていない。遺産相続時の散逸や、災害や火災などでの消失の恐れもある。 現在の著作権法は100年以上前に作られたものであり、情報時代に合わなくなっている。 たとえば、歿後50年間も権利を保障するというが、実質的にその恩恵を受けるごく少数の著作権者 を手厚く保護することで、多くの利用者の制約をかけることがよいことなのか? 国会図書館の全蔵書の7割が、著作権者不明の孤児出版物となっているが、 そのための供託金と手間は膨大なものになっている。 世界での取り組み・・ グーグル・・2015年時点、すでに3000万点の書籍をデジタル化。 世界の出版物は1~2億点といわれており、残りの全てのデジタル化を目指している。 同時に、世界80以上の言語の機械翻訳システムも利用できるようにしている。 ハーティトラスト・・米国中西部の主要大学が連合して大学図書館のデジタル化をした電子図書館。 図書館によってデジタル化されたコンテンツだけでなく、グーグルブックスやインターネット・アーカイブによって デジタル化されたコンテンツを含む大規模協同作業リポジトリ。 クリエイティブコモンズ・・著作権者が自分の著作物をどういう条件で他の人の利用に供するかを 著作物につけて示しておくという考え方。 2001年、アメリカの法学者ローレンス・レッシグにより創始されたプロジェクト。 最もオープンなものは、著作物を利用したときに、その出典・著作名を明示しさえすれば、 商用にも自由に使ってよい、というもの。著者の名誉だけを尊重する名誉権ともいうべきもの。 <目次> 《第一部 知の共有と著作者の権利》 序章 知識・情報の活用と著作権 長尾真(元京都大学総長、前国立国会図書館館長、京都大学名誉教授) 第1章 インターネット時代の著作権制度 中山信弘(明治大学特任教授、東京大学名誉教授、弁護士) 第2章 万人が著作者の時代 名和小太郎(情報セキュリティ大学院大学セキュアシステム研究所特別研究員) 第3章 デジタルアーカイブのオープン化と著作権の新時代 岡本真(アカデミック・リソース・ガイド株式会社代表取締役/プロデューサー) 《第二部 出版と知識創造の未来》 第4章 電子書籍とは何か? 萩野正昭(株式会社ボイジャー取締役) 第5章 情報共有時代の社会制度 歌田明弘(大正大学表現学部教授) 第6章 ウェブと電子書籍は、作品と作者をどう変えたか 仲俣暁生(文芸評論家、編集者) 第7章 デジタルアーカイブとは何か 杉本重雄(筑波大学図書館情報メディア系教授) 第8章 メタ複製技術時代の〈世界脳〉 遠藤薫(学習院大学法学部教授) 第9章 デジタルの衝撃と文化のサスティナビリティ 吉見俊哉(東京大学大学院情報学環教授、東京大学副学長、東京大学文書館副館長) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.02.11 09:38:36
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