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2017.04.09
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カテゴリ:書評・読書メモ

瀬口清之「日本人が中国を嫌いになれないこれだけの理由」

日経BP社

2014年刊




≪私は常に「中国の発展は日本の発展、日本の発展は中国の発展」

 という観点からは日本と中国の将来がどうあるべきかを考えている。

 そのためには現在何をなすべきか、

 日中双方の中長期の協力と努力の積み重ねによって何を変えることができるか、

 その中で日本が果たすべき役割は何かをということを考え、情報発信している。

 これは楽観論ではなく、期待と意志だ。≫



≪・・日本のグローバル企業にとって中国ビジネスでの成功はグローバル市場で生き残るための

 不可欠な条件である。

 仮に日本企業が中国市場で外国企業との競争に負ければ、2020年頃には収益力で圧倒的な
 
 差をつけられてしまうのは明白だからだ。≫


≪中国での事業展開に関して考慮すべきもう一つの重要な点は、中国経済の絶頂期は

 はそう長く続かないということである。≫

 2010年から2020年前後までは、中国経済は絶頂期を迎えた。

 しかし、2020年前後を過ぎると、そのチャンスは二度とやってこない。

 2020年までに中国市場で得られる利益を活用して次世代技術の開発を進め、

 アセアン諸国やインドなど2020年以降に訪れる次の市場を開拓していく必要がある。


 中国市場とアセアン市場との違い・・

 一言でいえば、アセアンは工場であり、中国は市場である。

≪アセアン諸国の中には、中国のように長期間にわたり高い実質成長率を維持し、かつ

 強い輸出競争力によって巨額の貿易黒字を保ち続け、自国通貨の切り上げに耐えることができる国はない。

 したがって、ドルベースの1人当たりGDPが中国のような速さで上昇することは考えられない。≫

 そのため、アセアン諸国やインドは、まだしばらく「工場」の時代が続き、「市場」の時代までは

 5~10年以上はかかる。

 その中での例外は、マレーシアとタイ。マレーシアは1人当たりGDPは既に1万ドルに達しており、

 タイも中国と同水準である。両国を合わせた人口は、1億人。

 これに対して、中国は13億人。高付加価値製品やサービスを求める消費者は、

 中国が3億人に対して、マレーシアとタイをあわせて3千万人にみたない。

≪以上の事実を考慮すれば、現在チャイナ・プラスワンにシフトしている企業は、

 中国を「市場」と捉えている企業ではなく「工場」と捉えていた企業である。


 中国を「工場」と考える企業にとって、中国の賃金や不動産コストは以前から高すぎる。≫

 そう考える企業は、2005年前後から、チャイナ・プラスワンへシフトしている。

≪一方で、2011年以降、日本企業の対中直接投資は急増した。

 これらの企業のうち、安い生産コストを利用して第三国への輸出を主目的として中国に進出した

 企業はほとんどない。・・

 すべての企業が、中国国内市場での販路拡大のために進出しているのだ。
 
 そうした企業にとって、アセアンには中国を代替できる市場は存在しないことから、

 特別な事情がない限りアセアンへのシフトは考えられない。


 中国市場で激烈なグローバル競争を覚悟のうえで中国ビジネスを展開している日本企業にとって、

 中国市場におけるビジネス展開はこれからが本番である。

 現在、中国でのビジネスを縮小または撤退し、アセアンへのシフトを検討している企業は

 中国市場での負け組企業である。≫




○チャイナリスク

 「チャイナリスク」という言葉がしばしば語られるが、その中身のほとんどは中国固有のリスクではなく、

新興国市場あるいは欧米市場でも同様に直面するリスクである。

 それは中国市場のリスクではなく、グローバル市場で戦う準備ができていない企業がグローバル市場に

間違って入ってしまった結果、直面した困難にすぎない。


<負け組企業の中国現地の体制>

・部長以上の主要ポストを日本人が独占している

・日本人が本社を見て仕事をしている

・中国人の優秀な幹部がいない

・パートナーとなっている中国企業に信頼できる中国人幹部がいない

・現地の地方政府との緊密な関係が構築できていない

・販売戦略、製品開発戦略(応用技術分野)を事実上日本人が決めている

・日本語が流暢、日本人との根回しがうまうために高い評価を得ている中国人幹部が目立つ

<負け組企業の本社の問題点>

・社長が年1、2回しか中国に来ない

・社長が中国の重要案件を自分の判断で決断することができない

・社長が中国ビジネスに関する重要決定に際して、中国をよく知らない経営企画、法務、財務などの
 担当役員に相談する

・2008年以前の中国しか知らない自称中国通が社長のアドバイザーとなっている

・現地への権限移譲が不十分(口先では委譲していると言っているが、実際には本部が重要案件を決めている)

・以上が原因となって、本社の意思決定が遅い

・現地のニーズを十分に理解せずに、日本国内の基準でいいものを作れば、中国でも売れると勘違いしている

・中国国内市場ニーズの急速な変化を理解していない

・市場ニーズの変化に関する情報が、販売部門の最前線から製品開発部門にタイムリーに伝わる連携の仕組みがワークしていない

・以上の問題が原因となって、売れないものを作っていながら売れると信じている





○現地のマネジメント

≪中国人との円滑なコミュニケーションは中国人に委ねるしかない。

 日本からどんなに優秀な人材を派遣しても多種多様な中国人(出身地により方言、食事の嗜好、

 生活習慣などが大きく異なる)を直接管理することは極めて難しく、一般的には不可能であると

 考えられている。

 そこで、現地に派遣された日本人幹部の右腕として、中国人従業員とのコミュニケーションを仲介し、

 様々な問題の解決を図ることができる優秀な中国人幹部社員の存在が不可欠になる。≫





○中国ビジネスを成功に導くために必要な資質

・現場に足を運び、自分の頭で考えて決断を下す

・難しい課題でもチャレンジする勇気がある

・困難に直面してもぶれない軸を持っている

・成功するまであきらめない




<目次>
【第1章】
日本企業の中国離れが進んでいるというのは本当か?
本格的に離陸した中国市場、ビジネスの本番はこれから始まる

【第2章】
なぜ中国のインフラ整備は途方もなく巨大化するのか?
3カ月、中国を離れたら中国を語ってはならない

【第3章】
なぜ多くの日本人が中国経済を理解できないのか?
地域間格差の激しい中国を一つの国と見てはならない

【第4章】
リーマンショックの前後で中国に何が起きたのか?
2004年以前の中国と2010年以降の中国は別の国

【第5章】
中国の高度経済成長はいつ終わるのか?
内需拡大を支えるメカニズムを解明しよう

【第6章】
なぜ日本企業ばかりで大規模ストが起きたのか?
労使トラブルを未然に防ぐ4つのポイント

【第7章】
賃金上昇は日本企業にネガティブか?
リッチになった中国市場は日本に有利

【第8章】
中国市場で日本企業の競争力が高いのはなぜか?
“チャイナノミクス"こそ日本の成長戦略

【第9章】
なぜ日本企業は中国進出に失敗するのか?
社長のリーダーシップこそ成功への最短距離

【第10章】
習近平政権は本当に中国の社会矛盾を解決できるのか?
中国の高度成長は2020年前後に終わる

【第11章】
中国が日本に戦争を仕掛ける可能性はあるのか?
かつての日本が示唆する中国暴走、最悪のシナリオ

【第12章】
日本と中国は真の共創関係を築くことができるか?
日中関係の融和を担うのは企業と個人の重層的な交流





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最終更新日  2017.04.09 12:36:43
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