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システムエンジニアの晴耕雨読

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2017.11.19
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カテゴリ:書評・読書メモ
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河瀬誠「海外戦略ワークブック」

日本実業出版社

2014年刊


 ・・日本本社をからめると、見積り金額が2~3倍に化けて逸注した。

 ・・日本本社の稟議決裁のための資料作りに、現地ローカル社員のモチベーションが激下がり・・



○日本本社の役割の設計

 OKY・・「お前が、来て、やってみろ!」という怒りの言葉。

≪現地を知らない本社の若造が、「リスクをなくせ! もっと調査をして報告しろ」

 と過剰な要求をしてくる。

 国内のスピード感で仕事する部長たちは、火急を要する稟議にも悠長に時間をかける。

 そして役員は、過去の常識と成功体験に基づき、間違った判断をくだす。

 
 現地に赴任した責任者・担当者は、そんな本社との対応に時間とエネルギーの大半を

 すり減らし、本来の仕事をする時間を奪われる。

 日本企業は、本社という重荷を抱えたまま競争せざるを得ない。≫

 ・・といっても、なんともやりきれないのが、本社はそれを「よかれ」と思ってやっていることにあります。

 海外ビジネスのリスクや他社事例を学んだ本部組織の善意の連鎖が、

 海外事業に強烈なブレーキをかけることになります。


○本社に介入させるな

≪OKYが起きる原因の本質は、現地の決裁権限が小さく、本社が頻繁に介入することにある。≫

≪しかし、現地で本格的に事業展開するには、製品開発やマーケティングなども、

 現地の市場に適応しなければならない。

 組織運営や人事評価も現地の文化や価値観に根ざしたものでなければならない。

 日常の意思決定を、現地の市場にも文化にも疎い本社が握ってしまうと、現地はすぐに機能不全に陥る。

 本社としては、現地担当者の能力が心配になるのかもしれない。

 だからといって、そこに本社が介入して結果がよくなるわけではない。≫


≪現地の判断は、現地に任せるしかない。

 本社との関係の設計では、「出来る限り本社に介入させない」というのが大原則だ。≫


○現地の本社の役割分担

 本社からの介入を最小にするためには、「投資家」的な関わり方とすることにある。

 出資した海外の会社に対して、

 ・売上と利益などの財務的な報告
 
 ・新規借り入れの承認
 
 ・新たな幹部の採用の承認

 のみを要求するといった関わり方に限定する。

 しかし、事業会社の立場で、現地法人に役立つ支援をするのであれば、「投資家」的な関わり方

では弱すぎます。
 
 そこで、現地法人の自立のための支援を踏まえた本社と現地法人の役割分担と決める必要があります。

 本社に残す最低限の役割を定義し、現地での事業運営や意思決定はすべて現地に任せることにします。

1.本社と現地で共有すべきもの

(1)全社の目指す価値観やビジョン

(2)最先端の技術やノウハウ

(3)標準的な仕事の進め方(技術標準やカイゼン手法など)

(4)会計や共通ITシステム、会計や管理方法・用語の定義統一

(5)グローバル人材に関する人事情報

2.本社が担う役割

(1)上記の共有すべき価値観・ビジョンの全社へのコミュニケーション

(2)最先端技術の開発(研究所等)と、全社での共有

(3)技術標準やカイゼン手法などの、全社へのコミュニケーション

(4)共通サービスや共通ITプラットフォームの提供
 ・会計やITなどの共通プラットフォーム開発と教育普及

(5)グローバル人材育成の支援
 ・全社共通の研修プログラムの提供
 ・全社のグローバル人材の育成・交流・評価のサポート
 ・海外事業人材のデータベース(タレント・マネジメント・システム)の作成

(6)本社レベルのマネジメント
 ・現地法人の財務的モニタリング(最低限の投資家的関与)
 ・大きな戦略投資の意思決定

(7)現地の営業展開の支援
 ・大規模な政府関連プロジェクトの支援
 ・グローバル調達(規模のメリット)


≪とくに、現地市場に合わせた製品のローカライズやマーケティング、および

 現地の価値観にもとづく人材採用・評価・育成などは、本社任せにせず

 現地が担当すべき仕事だ。≫

≪また、全社の共通基準といっても、たとえば日本の厳しい品質基準を現地のニーズに

 関係なく全世界に適用すると、成長国市場に合った安価な製品が作れないという

 可能性も出てくる。

 これらの基準については、

 「自社の価値観としては譲れないものは何か」、また

 「現地の市場ニーズに合わせるべきことは何か」という「せめぎ合い」の中で

 決めていくのだ。≫
 








<目次>
第1章 過去の常識を捨て新しい「世界」を見よう―20世紀の日本の成功を21世紀につなげる
第2章 海外戦略の作り方―戦略ステップ((0)WHY→(1)WHERE→(2)WHAT→(3)HOW→(4)WHO)の手順を学ぶ
第3章 成長国の市場を知る―成長国各国の現在と未来
第4章 戦略策定STEP1 WHERE 攻める市場を決める―地域戦略を検討する
第5章 戦略策定STEP2 WHAT 提供価値を定める―何で戦うのかを決める
第6章 戦略策定STEP3 HOW ビジネスモデルを考える―ビジョンを定め、事業を動かす仕組みを設計していく
第7章 戦略策定STEP4 WHO 組織を作り人を置く―組織の設計と人材の配置
第8章 世界で活躍できる人になる―「グローバル人材」は英語力よりも仕事力





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最終更新日  2017.11.19 16:54:39
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