よんきゅ部屋

2011/06/13(月)22:18

第11回 チャイコフスキー/交響曲第4番(再録&加筆)-その1

オーケストラ(240)

次回の演奏会で取り上げることになった曲。今回でなんと6回目。記念にというわけではないけれど、5年ぶりに触れてみたいと思う。ただし、原文は長い(全文はフリーページにあり)ので、分割して書いていくことにしよう。 この曲は本当に思い出深い。オーディションを受けて、当時は夢であったシンフォニー・ホールで演奏できる機会を得たこと。そしてそこに高校の同級生が同じパートでいたこと。さらには、市民オケで今や一生の友人ともいうべき人が入団してきて初めて一緒に演奏したのもこの曲。 チャイコフスキーの後期3大交響曲のうち、演奏される回数は少なめだと言われるが、これだけやっているというのは、やはり縁が深いからなのかな。今日は第1楽章の話。 ------------------------- この曲は作曲者本人の当時の状況が反映されているのか、かなり起伏の激しい曲だ(神経質な感じがある)。とはいっても、マーラーとは少し違うが。冒頭に出てくるホルン、トランペットによるインパクト十分のファンファーレは、この曲の「運命の動機」と呼べるもの。最終楽章のコーダの前にも出てきていることからも、曲におけるその重要性がうかがわれる。その後に出てくる第1主題は終わりが見えないような進行をしており、悩みを抱えている心を映しているような感じ。 その後しばらくしてクラリネットで始まるワルツ風の第2主題。ここになってやっと3拍子系の音楽であることが明瞭になる。そこを通り抜けると音楽は明るくなり(ロ長調、チャイコフスキーがここぞという場所で使う)、輝かしい感じになる。 ところがそこからすぐに表情は一変、冒頭のファンファーレが登場してそこからは複雑な展開部に入る。このあたりの音楽は複雑そのもの。聴いているだけでは小節線がどこにあるのかおそらくわからないであろうと思われる(延々と2拍子系でこられると本当に訳がわからなくなる)。その最も複雑になった場所を抜けたところがこの楽章のクライマックス。第1主題が激しく暗い調子で現れる(ニ短調)。その後も少し明るくなってはまた暗くなる状態の繰り返し。 3度目のファンファーレがあった後、最も安らかな音楽(変ニ長調、ここが大好き)を抜けるとジェットコースターのように楽章の終わりまでなだれ込んでいくという仕掛け。「なんだかんだ言ってもこの悩みは晴れなかった」という感じの音楽だ。この楽章だけで全曲の半分近くの演奏時間を費やす。チャイコフスキーの悩みはそれだけ深かったということか? この楽章は8分の9拍子という非常に変わった構造をしている。3拍子の中に3拍子が入っているのだが、さらにそこには2拍子系のリズムが数多く埋め込まれていて、リズムを体にたたき込むだけでも一苦労だ。 オケをやっていて他のオケからこの曲でエキストラのオファーがあると断りたいなと思う人が増えるという話を聞いたことがある。エキストラは合奏練習の回数が少ない分だけ難しいからなのだろうと思う。 もちろん、この曲を指揮するというのは非常に難しい。私もOBオケでチャレンジして、拍子を取ることはできるようにはなったし、練習の中でそれなりに表情付けもできるようになったとは思うのだが、この曲の拍子構造を完全に読み取った上で演奏を引っ張るというところまではさすがにちゃんとはできなかった。本番指揮者の指示を聞いて、いろいろ考えて、練習で試してみて何とかものになりかけたかどうかという感じだ。その経験でかなり勉強になったことは間違いない。 さあ、それ以来のこの曲、今回こそはもっとレベルアップした演奏をしたいと思う。

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