MATRIX7

2010/07/02(金)14:32

イングランドの大敗

サッカー(305)

 南アワールドカップの記憶に残る事件の一つは、イングランドの惨敗になる。南米のブラジルやアルゼンチンに対抗できる国は、事実上イングランドしかないと思われてきたのに、あっさりとドイツに敗北している。実に情けない戦いぶりで、本領をほとんど発揮できていない。自信満々だったカペッロ監督の首も、風前のともしびになっている。敗因はさまざまから語られているけれど、はっきりしているのは、主力選手が年をとって、走りまわれなくなっていることに尽きる。ドイツのカウンター攻撃を二度も食らうなどは、テリーはどうしたかと疑うしかない。  イングランドの弱点は情報収集にある。ドイツのサッカーをあまり研究していないことが露骨に出ている。ドイツのサッカーはめっぽう速い。攻撃も守備も、惜しむことなく動く。このサッカーを確認していたならば、鈍足のMFを起用することは危険を招く。実際に試合の中では、オジルとミューラーのカウンターの速さに誰もついていけない。これでは簡単に守備網を破られてしまう。スタミナを持たないベテランを重用すると、こういう弊害が避けられない。  カウンター攻撃の新戦法を見せたのがドイツだった。こういう新戦法を見ると全員攻撃は失点の原因になる。点を取ろうとして、前に出れば出るほどカウンターが決まる。ドイツは何度もシュミレーションを繰り返して、決定機を生み出すように仕掛けた。ボールを奪い取ると、素早くパスを出す。どこの地点に出すかを事前に決めてあるので、ドイツ側は全く迷わない。快速二人組の速さは群を抜いていて、イングランドのDFはミューラーのシュートを見守るしかなかった。  ワールドカップを勝ち抜くことは難しく、実績や名前はほとんど役に立たないことも証明された。あらゆる知恵を絞って勝つしかなく、情報の収集によって、細かな対策を立てておくことが必須になる。不調の選手は、たとえルーニーであっても使わないという判断を下さねばならない。それができて、ようやく五分に戦える。アルゼンチンは遠かった。  

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