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ひーちゃんのゼミナール 名古屋産業大学(現代ビジネス学科)・大学院環境マネジメント研究科)現代の社会・経済・環境・芸能・スポーツ・宇宙

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2019.11.01
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テーマ:政治と経済(377)
カテゴリ:推理小説
お断り この推理小説はフィクションであり、現実の団体や人物とは一切関係がありません。

 これまでのあらすじ
 ミュージシャンの藤堂麻里矢は、ディナーショーで、横浜の山下公園のホテルにきていたが、ショーの終了後、深夜に、ホテルの9階の部屋から、真下の山下公園内で、殺人事件が起きた現場を目撃した。神奈川県警の夏警部に、二人連れで歩いていたうちの一人が、男を海へ突き落としたと証言した。
 二人は傘をさして歩いていたが、赤い傘のほうが黒い傘の男のほうを海へ突き落したと、見た儘を教えた。捜査は始まったが、赤い傘を持った女性が、確かにホテルへ投宿はしていたが、偽名で泊まっており、顔も身元も分からなかった。
 被害者の沢田研一は、東京の芸能プロダクションのマネジャーをしていたが、会社では手掛かりになる事実は聞かれなかった。
 過去の事件で知り合いだった、藤堂麻里矢の友人の山梨玲子も加わって、神奈川県警に協力することになったが、そのころ、鳥取県の白兎海岸で別の殺人事件が起きた。大阪のコンサルタント会社の社長が、何者かに殺害されて海に浮かんだ。鳥取県警の仲村警部は捜査を開始する。
 横浜では、沢田研一の妻が探偵の山梨玲子に、極秘裏に事件の真相をあきらかにすべく調査を依頼した。山梨玲子は沢田のパソコンを手掛かりに調査を開始した。

(十)
 鳥取県警の二人は大阪府警へ寄ってから、君川俊夫の自宅を訪問した。息子の君川翔は会社へ出かけていたが、細君は在宅していた。仲村と瀧川は遺影の前に線香をあげ、手を会わせてから用件を告げた。
「主人も息子も会社や仕事のことは家ではめったに話しませんから、いったいどうなっているのか全然分かりませんし、息子に聞いても同じことで、ただただ、途方にくれています」
「ご主人はご自宅でパソコンはなさいますか?」
 瀧川が聞いた。
「いえ、主人はタブレット端末を持っていて、それで何でもやっていました」
「会社の仕事もですか」
「そうです」
「ご主人は、鳥取市内のビジネスホテルに宿泊なさっていましたが、何か心当たりはありませんか」
「仕事関係のことは一切口にしませんでしたし、でも、ビジネスホテルに泊まるとは申しておりました」
「ご主人は、以前に鳥取へ行かれたかことがあるとか、ご自宅で鳥取のことを話題にされたことはありませんか」
 君川敏夫の妻は、しばらく考えてから、
「鳥取市で人に会って、それからいい機会だから松江の方を回って帰る、と申しておりました。それでお泊まりはと聞くと、松江市内だと申しておりました」
と答えた。
「鳥取と松江のホテルは分かりますか?」
「いえ、主人はいつもネット予約で取っていましたから」
「奥さんは、ご主人とはメールのやり取りはなさっていましたか」
「はい、ショートメールですが」
「差し支えなければ、見せていただけませんか」
妻は訝しげな表情をしたが、いったん下がってケータイを持参して、
「どうぞここをクリックしてください」
と言って、ケータイを仲村に渡した。メールは専用のホルダに保存されており、若い瀧川が操作した。二人の目線が、あるメールに釘付けになった。
(つづく)

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​『夢を売る女』Kindle版





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最終更新日  2021.07.01 13:16:43



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