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テーマ:政治と経済(377)
カテゴリ:推理小説
お断り この推理小説はフィクションであり、現実の団体や人物とは一切関係がありません。
これまでのあらすじ ミュージシャンの藤堂麻里矢は、ディナーショーで、横浜の山下公園のホテルにきていたが、ショーの終了後、深夜に、ホテルの9階の部屋から、真下の山下公園内で、殺人事件が起きた現場を目撃した。神奈川県警の夏警部に、二人連れで歩いていたうちの一人が、男を海へ突き落としたと証言した。 二人は傘をさして歩いていたが、赤い傘のほうが黒い傘の男のほうを海へ突き落したと、見た儘を教えた。捜査は始まったが、赤い傘を持った女性が、確かにホテルへ投宿はしていたが、偽名で泊まっており、顔も身元も分からなかった。 被害者の沢田研一は、東京の芸能プロダクションのマネジャーをしていたが、会社では手掛かりになる事実は聞かれなかった。 過去の事件で知り合いだった、藤堂麻里矢の友人の山梨玲子も加わって、神奈川県警に協力することになったが、そのころ、鳥取県の白兎海岸で別の殺人事件が起きた。大阪のコンサルタント会社の社長が、何者かに殺害されて海に浮かんだ。鳥取県警の仲村警部は捜査を開始する。 横浜では、沢田研一の妻が探偵の山梨玲子に、極秘裏に事件の真相をあきらかにすべく調査を依頼した。山梨玲子は沢田のパソコンを手掛かりに調査を開始した。 (十) 鳥取県警の二人は大阪府警へ寄ってから、君川俊夫の自宅を訪問した。息子の君川翔は会社へ出かけていたが、細君は在宅していた。仲村と瀧川は遺影の前に線香をあげ、手を会わせてから用件を告げた。 「主人も息子も会社や仕事のことは家ではめったに話しませんから、いったいどうなっているのか全然分かりませんし、息子に聞いても同じことで、ただただ、途方にくれています」 「ご主人はご自宅でパソコンはなさいますか?」 瀧川が聞いた。 「いえ、主人はタブレット端末を持っていて、それで何でもやっていました」 「会社の仕事もですか」 「そうです」 「ご主人は、鳥取市内のビジネスホテルに宿泊なさっていましたが、何か心当たりはありませんか」 「仕事関係のことは一切口にしませんでしたし、でも、ビジネスホテルに泊まるとは申しておりました」 「ご主人は、以前に鳥取へ行かれたかことがあるとか、ご自宅で鳥取のことを話題にされたことはありませんか」 君川敏夫の妻は、しばらく考えてから、 「鳥取市で人に会って、それからいい機会だから松江の方を回って帰る、と申しておりました。それでお泊まりはと聞くと、松江市内だと申しておりました」 と答えた。 「鳥取と松江のホテルは分かりますか?」 「いえ、主人はいつもネット予約で取っていましたから」 「奥さんは、ご主人とはメールのやり取りはなさっていましたか」 「はい、ショートメールですが」 「差し支えなければ、見せていただけませんか」 妻は訝しげな表情をしたが、いったん下がってケータイを持参して、 「どうぞここをクリックしてください」 と言って、ケータイを仲村に渡した。メールは専用のホルダに保存されており、若い瀧川が操作した。二人の目線が、あるメールに釘付けになった。 (つづく) 夏光一郎警部シリーズ(既刊)(既刊) 『野獣の美学殺人事件』文芸社、2011年 『リオの蝶殺人事件』文芸社、2011年 『磯の香りの謎殺人事件 夏光一郎警部巨大地震と戦う』文藝書房、2011年 『夏光一郎警部 猫の一分 美人博士とブッチーの活躍』Kindle版 『夏光一郎警部 夏光一郎警部 湯河原発量子力学の女』Kindle版 『連続僧侶殺人事件(上)夏光一郎の試練』Kindle 版 『連続僧侶殺人事件(下)』Kindle版 『夏警部 ブラック企業を追え 中国塩城に舞う鶴の化身』Kindle版 『夢を売る女』Kindle版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.07.01 13:16:43
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