・「どうだああ、俺様の力を見ろおっ!」イルファは渡したロープでぎりぎりと亀を縛り上げる。大人が数人かかって抱えなくては ならないような大きさだ。 「さてどうして連れ帰るかな」 連れ帰るのかとぎょっとしていると、 「そうしなければ異変はおさまらないだろう」 忘れていたが、どんな異変が起きたのか。 「洞窟が大きく揺れて崩れるそうだ」 それは亀が身動きしてただけではないのか。 「……なら、いいか、放っておいても」 イルファは不承不承ロープを解き、亀はのっそりと何事もなかったように去っていく。 ふと気づくと、周囲に焼き菓子が散らばっていた。 「あいつ、誰かに飼われているのか」 イルファは訝しげに首を捻る。 ジャンル別一覧
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