『知っていますか、任那日本府』大平裕著
書籍の紹介です。『知っていますか、任那日本府』大平裕著書評:渡辺利夫(拓殖大総長)本書は、著者が精魂傾けて連続出版した『日本古代史 正解』(全3巻、講談社)に続くものである。第3巻の「渡海編」では、日韓の古代史学会がその存在を否定する神功(じんぐう)皇后の新羅征伐が、まぎれもない歴史的事実であることを突き止め、さらに倭国の朝鮮半島進出の橋頭堡(きょうとうほ)として半島南部沿海地域に手を伸ばし、ここを任那(みまな)日本府とした事実を立証している。碑文や石碑の位置関係、さらに歴史的文脈からこの事実を初めて証(あか)したことの意味には圧倒的なものがある。今回の著作は、この任那日本府という、古代日本人の大陸進出の軍事的要衝(ようしょう)が、これも日韓の古代史学会による否定にもかかわらず、確実に存在し、その存在のありようにまで想像力を働かせた意欲的作品である。立証の基点は、朝鮮半島南西部の全羅北道、全羅南道の、任那日本府とその周辺地域で、1980年代に相次いで発見された前方後円墳(14基)である。これだけの数の発見は、前方後円墳が半島を経て日本に伝わったものであることの証(あかし)だとする説となって流布したものの、古墳の造営の年代が、全土で多数発見されている日本のものより新しく、この説は受け入れられないという。神功皇后の新羅征伐などは玄界灘の中央に位置する沖ノ島を経由、ここで安全祈願の儀式が朝廷により執り行われた後に半島に向かう海の道が当時すでに確立していたことを、著者はこの島に残る遺物の中に精細に観察している。「古代の日本人、倭人は、 現在のわれわれが想像する以上の航海民族でした」という記述から本書は始まる。海洋への進出は、そのための国内条件が整えられていたことを示す事実なのであろう。国内統一が完成するや、そのエネルギーが隣国に向けて放射されていくというのは経験則でもあろう。「記紀」(古事記・日本書紀)は天皇家支配のために「造作」されたものだという観念を払拭できない日本の古代史家や、半島の一部が日本の統治下におかれたことなど認めたくない韓国の古代史家に阿(おもね)って、歴史の真実が隠蔽(いんぺい)されていいはずがない。【楽天ブックスならいつでも送料無料】知っていますか、...価格:1,728円(税込、送料込)