賢者の贈り物
私の大好きな小説家O・ヘンリーの作品に「賢者の贈り物」というのがある。あるところに、とても貧しい夫婦がいた。二人は愛し合っており夫は妻に、妻は夫に何かクリスマスプレゼントをあげたいと考えた。夫は自分の唯一の財産である時計を売って、妻のきれいな髪を飾る髪飾りを買った。妻は、自分の髪を切って売り、夫の時計を吊す金鎖を買った。そしてプレゼント交換・・・というストーリーである。「ああもったいない」と言うか、愛情の深さに心打たれる感動のストーリーである。さて私の飲み友達にFさんという男性がいる。横須賀に住んでいる。私よりも大分年上であるが、ずっと独身である。当然モテない。今度の黒門町本牧亭の講談の会の時にりかちゃんを招待したので彼は女の子に縁がないから、一緒に呼んであげることにした。もっとも、ただ呼んだのでは面白くないのでりかちゃんが来ることは内緒にした。そして日も近づいたのでりかちゃんに待ち合わせ場所の打合せの連絡をしたらりかちゃんからの返事のメール「その日の昼、Fさんとお会いするのですがいっしょにお誘いしてもいいでしょうか」が~ん何で? 何で一番持てなさそうな男がりかちゃんとデートなわけ?夜の日程に合わせて東京に出てくるから、昼はついでにりかちゃんを誘った、という構図だろうが、人は見かけによらぬものだ。びっくり。そしてたまたま別の用で昨日F氏が来社。実は前回の宴会の帰り、ずっと電車でりかちゃんと一緒だったので色々話をしてそのあと2回もデートしたそうな。そしてそしてF氏が言うには「急にりかちゃんを黒門町に連れて行ってびっくりさせてやろうと思ったのに、残念」とのこと。「ああもったいない。別々の日だったら二回楽しめたのに」と言うか、友情の深さに心打たれた。冒頭の「賢者の贈り物」を思い出してしまったのであった。