000000 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

せいやんせいやん

その13(10話)

121
【寝床で】


‘宇宙の果て’ってあるのかな、無いのかな。

あるとしたら、むこう側はどうなってるのかな。

夜、寝床で考える。

そして、「果てはある」とおもい始めると、眠れなくなる。

動悸が激しくなり、呼吸が荒くなり、汗びっしょりになる。

わたしは閉所恐怖症なのだ。

(ほぼ実話)。


---------------------------------------------------

122
【あの世~カエサルの場合】


ユリウス・カエサルが元老院にて

ブルータス他の刺客の乱刃を浴びて惨死すると──



目の前にルビコン河があった。

いや違う、三途の川だ。

(んん~、渡るべきか渡らざるべきか……)。

二千年以上経った今も、彼は迷い続けている。


---------------------------------------------------

123
【シワ】


由梨絵の顔にはシワがない。

1本もない。

朝起きると鏡の前で化粧をする。

1時間する。

化粧がおわると家を出る。

道ですれ違う人に大声であいさつをする。

「あけまして、おはようございます」

脳ミソにシワをつくる努力は怠ってきた。


---------------------------------------------------

124
【人それぞれ】


「ふぅ~。やっと4人とも片付いた」

           by 殺し屋



「ふぅ~。やっと4人とも片付いた」

           by 4人姉妹の父



「ふぅ~。やっと4人とも片付いた」

    by 祖父母・父母を看取ってきた独身男


---------------------------------------------------

125
【来世~地球の場合】


地球が、膨張してきた太陽の熱に焼かれて消滅すると──



チーン、ジャラジャラ。

パチンコ玉に生まれ変わっていた。

元水星や元金星やら、仲間がいっぱい。

にぎやかで楽しい。

たまに自転しながらパチンコ台内を公転する。

なつかしくてたまらない。

「痛てえ、痛てえ、痛て痛て痛てててて……」

運が悪いとクギに衝突しまくるのが、たまにキズだ。


---------------------------------------------------

126
【孫2】


佐恵子には孫がいる。

食べちゃいたいくらいかわいい。



「お義母(かあ)さま。お願いがありますの。

 わたし、美容院に行こうと思いますの。

 そのあいだ、彩夏(あやか)のめんどうを──」

「ああ、いいよ。みててあげるよ。

 おや、ねむってるのかい。

 ♪ねんねこ すなおに 育てよさー

  ねんねこ あかるく 育てよさー

  ……」



14年後──

「やべえ、やべやべやべ、やべえ~。

 ばばちゃ~ん、なにげにチョーやべえ~。

 あたしぃ~、彼氏とぉ~、デートしてくっからぁ~、

 この子のめんどうを~」

「ああ、いいよ。みててあげるよ。

 ♪ねんねこ すなおに 育てよさー

  ねんねこ あかるく 育てよさー

  ……」

ひ孫もまたかわいい。


---------------------------------------------------

127
【来世~照子の場合】


照子が失恋して首を吊ると──


てるてる坊主になっていた。



---------------------------------------------------

128
【来世~こび郎の場合】


ちんぴら社員のこび郎(係長代理補佐)が、

接待ゴルフ中にギックリ腰で頓死すると──



ぶ~らり、ぶ~らぶ~ら……

婆さまの腰にぶら下がっていた。

前世はりっぱな腰巾着になるための修業だった。


---------------------------------------------------

129
【来世~尿一の場合】


うちのむかいの道場で傍若無人に空手の練習をしている

似非武道家の極道斉藤尿一が、

誤って頭で受け身をし、脳内出血で3日後にくたばると──



畳の中にいた。

社会のダニだった前世は修業期間だった。


---------------------------------------------------

130
【生還~源太郎の場合】


源太郎が出来の悪い社員を叱っている最中に

高血圧で倒れると──



「おとうちゃま」

目の前に、夭逝した息子がいた。

「お手てだして」

差し出した手のひらに、息子はキャラメルの箱をのせてくれた。

「あげるぅ」

箱は軽かった。

ゆするとカタカタと音がして──



気がつくと、ベッドによこたわっていた。

「あなた、だいじょうぶ?」

「あ、ああ……」

息子にもらったオマケの人生、老妻と長旅でもしてみるか。





Copyright (c) 1997-2019 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.