2005/09/03(土)20:42
『高峰譲吉とその妻』飯沼信子(新人物往来社)
1993年に発行されたこの本は、タカジアスターゼやアドレナリンの発明をされた高峰譲吉(1854~1922年)について書かれています。
高峰譲吉について詳しいことは、高峰譲吉博士顕彰会のHPをご覧下さい。
以下に【この本からの引用】と【征野の感想】を書いてみます。
【この本からの引用】
どこの家にも、「タカ・ジアスターゼ」の箱があったといっても過言ではない。戦争中の救急袋の中にも、「アカチン」と共に入っていたことを思い出す。
【征野の感想】
「タカ・ジアスターゼ」とは何かというと、三共株式会社によって販売されている胃腸薬とのこと。
そこで三共のHPの中の三共の歩みをのぞいてみると、しっかりと書かれていました。
それによると、「タカヂアスターゼ」は三共株式会社の登録商標とのこと。
深入りはしませんが、三共の登録商標では、「ジアスターゼ」ではなく「ヂアスターゼ」のようです。
ここでは、胃腸薬「タカヂアスターゼ」の写真を見ることができます。
私の年齢は40代前半ですが、さすがに「タカヂアスターゼ」というのは今まで知りませんでしたね。
最も、「アカチン」には子どもの頃に、しょっちゅうお世話になっていましたけど。
【この本からの引用】
高峰譲吉の名は薬品関係の世界では知られているが、一世紀も過ぎた今では、すっかり忘れられている。
【征野の感想】
確かにそのとおりです。
【この本からの引用】
動産・不動産を含めて高峰譲吉の残した財産は3千万ドルといわれる。現在の価格にすると、約6兆円に相当する財産が、どのようになっていくのか、興味のあるところである。
【征野の感想】
著者は6兆円の遺産に興味をもちましたか。
確かに興味をひかれます。
高峰譲吉はアメリカ人と結婚し、アメリカに帰化し、ニューヨークで没しました。
要するにアメリカで生活していたのですが、住居は想像を絶するほどの豪華趣味であったらしい。
高峰は、松風殿と命名された御殿をこよなく愛したようです。
そのような生活でしたが、著者は次のように詩的に書かれています。
「富と名声の象徴である松風殿の中でくりひろげられる人間模様は、しだいに色を濃くしていった。その陰影は長く尾を引いていく」と。
さらに、「陽の当たる時間は短く、絢爛にして、もろい一輪の花なのだ」と。