異論・極論・直言――マスコミが言わない解説、提言

2013/07/24(水)11:29

ネット検索をすると、アクセス者の個人情報が裸になるという話

(ネット検索情報で個人情報を蓄積)  少し前に、グーグルを検索などで使っていた中央官庁の役人から、役所の情報が誰でも見える状態になっていて、官庁の情報漏洩がわかり、マスコミも大きく取り上げた。  ただ、マスコミの取り上げ方は、役所の情報管理が問題というトーンであって、この問題の本質を伝えていない。  個人が検索エンジンで何か情報を調べると、その人が何に興味を持っていて、どんなことを調べたという個人情報がネットの検索サイト側に蓄積されていく。  サイト側は個人の基本情報を持っているので、検索経歴情報を重ねることで、その人がどんな人で、何に関心を持っているかなどがわかってくる。  そうなると、サイト側はそうした情報を下に、DMメールを送ったり、検索エンジンのバナー広告に、その人が興味がある情報を載せるようにする。  私自身のそうしたバナー広告を見せられたり、DMを送られた経験がある。初めは、どうしたと不思議に思ったが、少し調べ、コンピューターに詳しい人の話を聞いて、事情がわかった。  ネット社会の情報は片方向ではなく、双方向であり、アクセスしている個人の情報は丸裸になる。しかも、それが蓄積されて行くし、メールアドレスを経由して、その人が別にアクセスしている役所や会社の情報までに、容易にアクセスできるのである。  怖いのは、誰かが意図的にその作業をしているのではなく、システムがそうなっていることである。個人宛のDMメールも誰かが作業して送って来るのではなく、システムが自動で送ってくるのである。 (米政府がネット、携帯を傍受は公然の秘密)  こんな話もある。ある人が会社の同僚と、有名レストランに行ったという話を自分のブログで書いた。その人はブログでは固有名詞も会社の名前も書いていない。しかし、一緒にレストランに行った別の人が自分の会社の名前もわかる状態で、ブログに話を書いた。更に、別の人はレストランの名前とメニューをブログでアップした。  この3つの情報を重ね、ネットサイトの個人情報も加えて、最初の人は所属する会社も住所も把握されて、ストーカーに狙われたというのである。  CS放送で「パーソン・オブ・インタレスト」というテレビドラマがある。これは、アメリカ政府がテロ対策などで、個人のメール、携帯のやり取りなどを全部チェックしているので、そこから、誰か個人が命を狙われているということがわかる。そこで、このシステムを開発した人が命を狙われている人を助ける活動をするという話である。  元CIAの職員がアメリカ政府が個人のネットや電話などを盗聴しているというのを暴露して大きな問題になっているが、これは公然の秘密で、だから、「パーソン・オブ・インタレスト」のようなドラマができるのである。 (個人情報を極力開示しない努力)  日産自動車が差別的な情報を掲載している不適切なネットのページに広告を出したとして問題になったが、これも、サイトを1つづつチェックして、広告を提供するのではなく、アクセス数が多いサイトに自動的に広告が出るシステムになっていたから起きたのである。  担当者は自社の広告がどこのサイトに掲載されているか知らなかったのである。  コンピューター社会はこうしたシステムをどんどん開発して行き、想像もできないようなことがどんどん進行しているのである。  サイト側や企業は商売だから、コンピューターのシステムをどんどん進化させるし、省力化のために、人力ではなく自動でものごとが行われるようにしていくのは止めようがない。  では、政府が規制をできるかと言えば、ここまでコンピューター社会が進めば、それは無理である。ネットの怖さは、一度ネットに公開された情報や映像は誰も消すことができないということである。  それなら、個人はどう防衛するかと言えば、ネットのシステムがそうなっているということを知って、個人情報や個人が用意に特定できるような話はネットで提供しないことである。  いくつもの情報から思わぬところで、ひどい被害に遭う危険があるのだから、それを意識して、検索やメール、ブログを書くことなどを行うべきなのであるが、周囲の人たちを見ると、あまりに無防備で、個人の情報を平気で書いている。  私自身は、そうした意味で、フェースブックは利用していない。参加しろと散々誘いのメールやDMが来るが、無視することにしている。  

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