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せんだって日記

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2006.06.12
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 いやはや。
 いまや「ゲーム脳」は次の段階に進んでいるぞ。
 せんだって、森昭雄が鳥取まで行って風説の流布のドサ回り、恐怖を煽り解消法を提示するという北朝鮮ばりの脅迫をしてきたわけだが、森昭雄だけがゲーム脳脳セミナーしてるわけではない。

 驚くべき実態だ。驚いたもん。森昭雄だけチェックしてればいいという段階は、終わったのだ。

 調布市の市立小学校でも、父兄向けにセミナーが行われた。
 「ゲーム脳~ゲーム、携帯に熱中する子どもたちに障害は広がる~」と銘打たれたものだ。
 主催はこの学校のPTA。市の社会教育課が、企画を受けてカネなどを出すという仕組みのようだ。

 講師は竹江孝氏(国士舘大学非常勤講師)。
 元・警視庁勤務の臨床心理士。この辺に陰謀論の種があるが、それはともかく、日大文理学部出身。
 日大文理学部ってのはどうなってンだ? 全共闘時代、日大といえば学生同士がセクト対立して相手を針金で縛って市中引き回しリンチ殺人をした、人殺し集団じゃないか。破防法適用ならまず日大の森昭雄研究室からですなこりゃ、はっはっは。

 大人のジョークはさておき。

 セミナーは、小学校の視聴覚室で行われた。定員は50人。条件としては、あまり良くない。自己啓発セミナーや催眠商法と似た環境だ。こういうことはよして欲しい。
 案の定、始まる寸前には教室はぎっしりだ。みんなお母さん。
 主催の父兄代表と思われる女性があいさつをする。マジっぽい。マジでゲーム脳に恐怖を覚えてるような気配がある。こういう人が、市の社会教育課にお願いするのだろう。この人の愛読紙が聖教新聞や世界日報でないという保証はない。

 そして講師の竹江氏が登場する。後述するが、この人は話がうまく、ヒトクセある。森昭雄のように質の悪い人ではない。

●竹江氏は、まず、記憶に残るような凶悪事件の犯人少年の例を次々に話し、これらの共通点として先天的な脳機能障害と特殊な家庭環境の不幸な合致を挙げていた。そう。「キレる少年」「激増する少年犯罪」「治安悪化」などの実態のないバーチャルな不安は、遺伝的に稀な子供が暖かみのない特殊な家庭で傷つけられ続けたという極めて稀少な例を、マスメディアが毎日報道することからくる錯覚ではないか、と。これでいいはずなのである。ここで終われば、みなさん安心して帰るわけだが、ニーズはそこではないのです。ああ。

●竹江氏はここで、ゲーム脳の子と自閉症スペクトラムやADHDやアスペルガー症候群の子の振る舞いが似ている、と今日の本題に入った。「似ている」だ。森昭雄が「ゲームで自閉症になる」と言い切ったのに比べて、まともである。
 しかしその似ているという根拠は『ゲーム脳の恐怖』。竹江氏は、実際に森昭雄の3点式脳波測定を受けて、黒板を見る行為から携帯電話でメールを打つ行為に移行した途端に、脳波が変化したと、そのような経験をしたことが、ゲーム脳理論に対しての「信頼」につながっているのだろう。「瞑想してたら尊師の言う通りに光が見えた」的なことでオウムに転げてしまった人と似ているが、それはまあいい。むしろ、本当にケータイをいじっただけで「ゲーム脳」になったのだとしたら、それは非常に興味深い現象であり、森昭雄はこの大発見を世界中の科学者に追試してもらうべきであろう。ぐずぐずするな。

●竹江氏は、ゲームだから悪い、ゲームは脳障害を引き起こす、ということは明言しなかった。
 むしろ、ディスプレイを見続けることが脳障害を引き起こす可能性があるという立場だ。アメリカに、そのような研究があるという。アメリカにはその反論もあるだろうが、それはいわずじまい。これはこれで困ったものだ。
 だから、テレビもゲームも携帯電話もダメ。川島隆太DS脳トレも、ディスプレイを見てちゃ意味無いだろうとツッこんで一蹴。
 ディスプレイを見続けることと、前頭前野の活性は関係があるという。前頭前野は理性を司り、活性が落ちると「キレ」やすくなるというのが、ゲーム脳周辺のかがくてきこんきょだ。
 テレビ画面を見ると、催眠状態になり、脳の活性が下がると。なぜならば、眼球運動が少なく、想像する余地が無いからだと。その点、読書やお手玉や簡単な計算は、運動する部位も多く、脳が良く働くと。仮説の域を出ないことなのだが、リクツが通ってるっぽく聞こえるのがなんかなあ。

●竹江氏は、黒板に、脳波の拡大コピーを四つ並べて貼り付けて、例の「ノーマル脳~ビジュアル脳~半ゲーム脳~ゲーム脳」の恫喝をしてくれた。片腹痛い森式脳波計で計測したβ波レベルの低下のアレね。いずれも一例だけで、被験者の家庭環境などには言及しない。極端な例を四つ選んでるだけかもしれないが、父兄にそれを疑わせない話術。ペテンの手口。これは森昭雄の受け売りと見た。
 ただし、話しっぷりは竹江氏お上手で。自身の計測体験と、被験者のその後の成長譚(お手玉でゲーム脳が癒った! ってハナシ)と、おかしみのある身振り手振りでアトラクトしておいて、残る印象は「ゲームをすると脳が壊れる」となる。決して言い切らないのね、この人。ゲーム脳理論は借り物だし、なかなか曲者なんである。

●このセミナーで、聴衆が最高のリアクションを示したのは、あるデマを聞いた時であった。
「テトリスは、兵士が殺人を躊躇しないように洗脳するために作られた」
 竹江氏がこういうと、会場のお母さんたちが一斉にどよめいた。
 デマなのに。森昭雄のウソなのに。
 あれは、ソ連のKGBが、西側諸国のGNPを低下させるために作った経済兵器だ。ウソだ。
 まあ、このようなデマが簡単に信じられてしまう状況であったわけです。

●しかし、注意深く聞けば、竹江氏はゲーム脳理論からくるヒドい例示はするものの、結局は親子間コミュニケーションの重要性を説いていた。
 森昭雄のいう「ゲーム脳の治療法」を、実現不可能な理想論として紹介したり、ディスプレイが誘発する障害も「テレビばかり見せる親」への掣肘っていう意識があったかのように解釈もできる。
 失笑しちゃったのは「OA症候群」の例を出した時で、マイコンがオフィスに入りはじめた頃、キーパンチャーがこぞって肩こり不眠などを訴えたことがある、だからモニタ画面が危険って結論だったのだが、同じ姿勢で長い時間キーボード叩いてたら肩は凝るだろうし頭痛もするだろうよ。

●おそらくね、俺の想像なんだけど、竹江氏は長い臨床経験で、キレる子供の正体をつかんでるんだと思うのだ。
 先天性プラスちょっとアレな家庭環境とか。
 でさ、なんでもやり過ぎは良くない。幼児に毎日六時間以上テレビを見せるとか、一日七時間以上ゲームだけしてるとか、そりゃ、一日七時間以上毎日草サッカーするぐらいカラダに悪かろう。毎日八時間以上読書する子供が健康なわけがないように、○○ばっかりするってのは良くないよ、うん。
 一日は24時間しかなく、テレビやゲームなどのメディアが生活に入り込んできて、家族間の、ナマのコミュニケーションの比重が下がってきてることへの、危機感というか、使命感というか、奥底にはそういう気持ちがあるんだなと、思ったわけです。
 よくあるガンコオヤジ的なもんね。
 でもね、その説教は手垢がついてる。とくに、そういう言葉が届いてほしいDQN親は、なにしろ聞く耳持たない性質だ。

●実は、セミナー終了後、ひとりでいる竹江氏を偶然見つけたんで、話しかけたのだ。
 なぜ、ゲーム脳理論を用いるか、モロに聞いた。
 「インパクトがあるからです。説得力があるからです」
 ケロッと言った。
 自説を聞いてもらうための道具なのだ。彼にとってはゲーム脳は、便利な先制パンチなのだ。
 うーん、まいった。
 いやさ、ちょっとビリーバーな気配もあるけど、生活環境の変遷に伴う精神構造の変化に対して、あぶなっかしい気持ちをもってて、「もっと子供と触れ合う時間を確保しようよ」と言うための方便として、有名なゲーム脳理論を利用している様子がある。
 ナマなコミュニケーションの時間を奪うディスプレイやゲームは、竹江氏の伝えたい事柄にとってちょうどいい象徴なのだろう。

●セミナーに居合わせた市の職員に、以後このようなイベントが行われないことを希望する旨を伝えて帰った。
 親御さんたちに話しかけることはできなかった。これでも空気を読める方だと自覚しているのだ。竹江氏よりもゲーム脳脳なママさんたちに何を伝えられようか。


●ゲーム脳という言葉がママ連に定着し、こんどはそれを足場に利用するガンコオヤジが現われる段階に来た。
 めんどくせえええええええええええええええええええええええええええ!





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最終更新日  2006.07.08 02:44:55
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