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せんだって日記

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2007.03.27
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カテゴリ:親不知
 せんだって、下顎の親知らずの抜歯手術を受けた。
 目を閉じるとスティーブ・マーティンに似た歯科医の歌う「coz I'm a dentist」が聞こえてきた。
 目を閉じる前に見たメスは、私の歯ぐきを切開した。
 ところでヴァイオリンとコントラバス、カタチは似ているのに出す音が大きく違う。
 小さい楽器は高い音を出し、大きな楽器は低く太い音を発する。
 歯医者の切削機が口の中に入れられた感触がして、癇に障る高い音が響いた。
 虫歯で穴があいて湯のみ茶碗のようになっていた私の親知らずが削られているのがわかる。
 歯科医の歌う「coz I'm a dentist」は、いよいよ興が乗ってきている。
 一度抜かれた切削機が再び差し込まれ、今度は低く太い音が、頭蓋骨を震わせた。
 さきほどの高い音をホンダの250cc並列四気筒エンジンが一万rpmでぶん回る様子だとすれば、今度はアイドリングしているドゥカティ900cc並列二気筒エンジンが口の中に突っ込まれたようだ。
 大きなリュータービットが、顎の骨を削っているのだ。
 でこぼこが大きなビットが、ゆっくりした速度で回転して、顎の骨を削いでいる。
 歯科医の歌う「coz I'm a dentist」のリズムに合わせて回転速度が変化する。
 助手の女の子が構えているバキュームの音が血で濡れている。
 顎の骨がうまく削れないのか、頭蓋骨を震わす重低音はなかなかやまない。そのうち、下顎に灼熱の痛みを覚えた。
 長引く手術で、麻酔が切れ始めたらしい。
 私は、生まれてはじめて歯医者で右手を挙げた。





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最終更新日  2014.09.03 15:49:28
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